水月光庵[sui gakko an]

『高学歴ワーキングプア』著者 水月昭道 による運営
※お仕事連絡メールに一両日中の返事がない場合は再送願います

「自己責任」などくそくらえ

2009年06月24日 | 庵主のつぶやき

世の中に、自己責任なんて言葉が猛威を振るうようになって、まこと窮屈になったもんだと思う。仕事がないのは「自己責任」。住む家がなくなっても「自己責任」。資産を失ったら「自己責任」。就職できないのも「自己責任」。なんでもかんでも自己責任。。


湯浅誠は、こんな自己責任一辺倒の世の中に、もの申す。
「自己責任と言ってる人だって、そもそも家族や社会や同僚といった誰かの支えを受けて生活をしているはずだ。そういう意味では、ホームレスの人たちのほうが、よほど自己責任での生活を全うしている。なぜなら、誰にも頼らず、社会のどんなシステムや制度からも離れ、自分一人で生活をしているのだから」


自己責任を究極の所まで突き詰めた人たちがホームレスの人たちである、という湯浅の視点は斬新であるだけでなく、そこに深い「愛」が見え隠れする。私たちは、人と人との関わり合いのなかで生かされている。この当たり前のことを、「自己責任」という言葉は見えなくしてしまう。


困ったときはお互い様。袖すり合うも多生の縁。人の世は、こうした愛と助け合い、そして不思議なご縁があってこそ満ち足りるのではなかろうか。自己責任と言って、「人」を何もかもから切り離して独りぼっちにしてしまうような社会には〝No〟を表明し、慈愛に満ちた人の世をもう一度取り戻す「言葉」を紡ぎ出すことが今こそ必要だろう。私たちの社会に、今、最も足りていないものは、「愛」の一文字ではないのか。だからこそ、日曜の夜のアノ大河ドラマに人々は惹かれるのだろう。無いからこそ欲しくなる。人の持つそんな複雑な気持ちが視聴率に現れているのかもしれない。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 就活してますか | トップ | 本サイトについて »

庵主のつぶやき」カテゴリの最新記事