福助の部屋

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伊坂幸太郎『終末のフール』

2008-09-12 00:26:13 | 雑記
久しぶりに本を読みました

伊坂さんの作品は、『陽気なギャングが地球を回す』と『アヒルと鴨のコインロッカー』の
映画を見て、原作は『オーデュボンの祈り』しか読んだことがなかったんですが、
久しぶりに活字から小説の風景を頭の中に作り上げる読書の楽しさを思い出させてくれました

“8年後に小惑星が衝突して地球が滅亡する”と発表されて5年。
人々は混乱し、正気を失い、もはや秩序も崩壊し荒れ果てた世の中。
あと3年で世界が終わろうとしている時、人々は何を思いどう生きるのか。

物語は、“ヒルズタウン仙台”と言うマンションを舞台に、そこに住む人たちの
それぞれの生き方を描いた「終末のフール」「太陽のシール」「篭城のビール」
「冬眠のガール」「鋼鉄のウール」「天体のヨール」「演劇のオール」「深海のポール」の
8編からなる連作短編。
基本的に、『アルマゲドン』とか『ディープインパクト』とか苦手なんです
なのでこの本を最初開いた時も、3年後に世界が終わる非現実的な状況なんてちょっと微妙…
と思ったんですけど、物語に出てくる人たちはみんな弱くて脆くて、絶望して嘆きながらも、
やっぱり最後の日まで懸命に生きていこうとする、人間的な人たちの物語でした
韻を踏んであるタイトルだったり、それぞれの登場人物がそれぞれの物語に関係していたりする
伊坂流の“仕掛け”にもワクワクして、でも言いたい事はストレートに伝わってくる
そこが伊坂さんの作品の面白さかなと思います
しかも伊坂さんは仙台市在住でいらっしゃるので、風景も目に浮かびやすくて親近感がありますね

8編の中では「鋼鉄のウール」が好きでした
キックボクシングのジムに通う少年と、ジムの会長、少年が憧れるキックボクサー・苗場の物語。
世界の滅亡と言う状況の中、いつ実現するとも知れないタイトルマッチに向けて黙々と
練習を繰り返す苗場。不器用だけれど強い信念を持った人で、この物語を読みながら、
“この苗場ってボクサー、武田幸三さんに似てるなぁ”と思ったんですよね
私の好きな武田幸三さんと言うキックボクサーがいて、“超合金”と呼ばれるほど鍛えた体と
キックに対するストイックな感じが何となく修行僧みたいな風情で、でも普通に話をする時は
とても優しくて人間臭いところがある素敵な人なんです
K-1の試合にも出てKOされることが多かったんですが、負けた試合でも何か心に残って
また応援したいと思う魅力を持っていて、苗場の姿と完全に重ねて物語を読んでました
そしたらあとがきで伊坂さんが、“「鋼鉄のウール」は武田幸三さんをモデルに書きました”と
書かれててビックリ
伊坂さんも私と同じような感覚を武田幸三という人に持っていたんだと思うと
なんかとっても感動しました
そんなところも親近感が湧いて、ますます伊坂作品のファンになった1作です



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