ポートランド日記

米オレゴン州ポートランドでの生活模様

蒸留所ツアー!/Rogue Distillery

2009年08月15日 | 食事情
ポートランド及びオレゴン州には地酒文化が根付いていて、良質なぶどうが生み出すワインや良い水から作られる地ビールが有名だけれど、この水の良さと地産地消を基本とした“少々高くても良いもの”を求める地元ポートランド人という消費者をターゲットに、スピリット等の小規模醸造所も意外と多い。

ローグ蒸留所”は、オシャレなパール地区にある小さな醸造所で、元々は1980年代後半にオレゴン州南部のアシュランド(シェイクスピア演劇で有名)及び海沿いの町ニューポートでビール醸造所だったが、2003年にポートランドの同社パブの2階に小さな醸造所を開設、国内外のスピリッツ大会で各種メダルを獲得するまでに成長した。

ツアーはまずパブ2階の醸造所から始まり、10畳程度と思しき、アメリカにしては非常に狭い作業場と、その横に隣接された6畳間と思われる醸造機器が置かれた部屋に案内され、それぞれ熱せられた原料が蒸気となって細い管を通り、横の冷却タンクで水化し、更に2度目の醸造を行うという説明が、製造者本人からなされる。製造者のメルさんはこの醸造所に来て1年足らずながら、そのウデを買われて製造を統括するマスターで、数々の賞を受賞したヘーゼルナッツのラムをはじめ、材料の粉砕から製造まで全て彼女の手によるものらしい。

2階での説明が終わると、階下のパブで試飲大会。お酒のことは良く分からないけど、手作りならではのまろやかな味わい。お値段は一般に売られる同種のお酒の2倍近いらしいけど、彼女曰く、安酒との一番の違いは、二日酔いしないこと。原料の良し悪しはもちろん、蒸留の過程でキチンと雑味を取り除く地道な作業が決定的という。

ちなみに、この蒸留所ではラム、ジン、ウォッカを製造中。作り方(蒸留)は殆ど同じで、最大の違いは、その原料。ここのラムはサトウキビとシャンパンの酵母(と水)が主な原料で、それに様々な風味付けのための原料をプラスする。ジンは穀物と11種の草根木皮などを加えたもので、この植物が独特の風味を生み出すという。ウォッカについてはあまり説明がなかったのだけど、一般的にはトウモロコシ、小麦、大麦などの穀類、ジャガイモなどのイモ類を原料として糖化、発酵、蒸溜し、得られたスピリッツを白樺炭で濾過したもの、らしい。

ポートランドは域内の最大都市にして強い消費力を持つ土地だけれど、何といっても水の良さが蒸留所開設のポイントになった由。本当に小さな蒸留所で作られる、大量生産では出来ないお酒。やっぱりポートランドって良いところだなぁ(笑)

なお、マスターのメルさんは、蒸留の技術で有名な存在で、若干20才代で地域新聞“ウィラメット・ウィーク”が選ぶ“ベスト・オブ・ポートランド”の一人に選ばれた人。アメリカと言えども、まだまだ女性の醸造マスターは珍しいのだけど、彼女はオレゴン州最年少の9歳で黒帯を獲得した空手有段者らしい。う~ん、最強ナリ(笑)


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