ひさしの日記

ゲーム、本、映画、音楽、景色

秋晴れ

2017-08-19 12:18:53 | 文章

鳥栖の町は北から流れてくる34号線と17号線が交わる地域で、その交わりでバッテンに切り裂かれた4つのスペースの北部分がいわゆる鳥栖の中心である。

私の住むアパートもその一角にあり、町並みは古く新興的ではないが、駅やフレスポ鳥栖が近いのでわりかし人気のエリアとも言える。

私の住む地点は、鳥栖の町を東西南北に網の目に区切る道路と、それにあわせて斜めに塗っている昔ながらの小道の、交わるところにある。
自然、土地自体が四角ではなく三角になっており、その影響があるのか駐車場の地面が穴ぼこになっていたり、緩い地盤に建物も歪むのか、部屋にいると蟻がいつのまにやら忍び込んだりもするのだ。それだけの隙間がある。

妙に家賃が安いのは立地的に抜群ながらも隣は幼稚園、裏は小学校という土地柄から、騒音がやかましく、かといってこどものそれなので、平日の夕方にラッパや木琴でアニメ音楽を弾いたり、土日の昼下がりに「ねぇねぇ」式の他愛ない話が聞こえてくるくらいなのでイラつきはしない。
(いつかはズシンと野球の軟式ボールを窓に当てられたときはあったが。そのときは私はその「こども」に向かい軽いたしなめを柄にもなくしたが、ボールを当てたのはそのこどもではなく違うこどもで、少しその子は面白くなさそうだったが。)

夏の暑い時期は中部屋とあいまって蒸されて暑く、私はエネルギーを使うエアコンは使わず扇風機のゆるい風に、身動きひとつとらず当たり、額に汗をにじませながら、端末機械を弄りながら無為な一日をすごしたものであった。

それが梅雨が明け、夏の蝉の盛況も静まり、空はどこまでも高くぽっかりと青く、小さな敷地にの垂れ死なずに生きている興梠がちりりと淋しい鳴き声をあげる秋になると、いくらか私の部屋も涼しい風が入るようになり、そうなると妙に意味もなく虚しさのしずくが心に一粒落ちるような、そんな気分で独り部屋にたたずんでいるのだ。

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