小うつな人・ケアマネな人、を応援する日記

小うつな方・ケアマネな方、どっちでもある方のために捧げる、ネタのたわごとです。めざそう癒し人!?

「上野先生、勝手に死なれちゃ困ります 僕らの介護不安に答えてください」を読んで その1

2012-05-18 08:47:54 | 弱さへの思考
この本は、光文社新書から2011年10月に出版された。
著者は上野千鶴子と古市憲寿である。

上野千鶴子さんは、団塊の世代であり、独身であり、女性学・ジェンダー研究で、東大の教授だった人だ。椎名林檎とかが好きだ。
古市憲寿さんは、団塊ジュニアで、1985年生まれ。専攻は社会学。東大卒業。

ぜひとも、介護業界にいる方々に読んでもらいたい!

読みやすいし、安い(800円ぐらい)し、図書館でも借りられることでしょう。

結論から言うと、「介護不安はなくならない」ということ、加えて、社会不安は、よりいっそう増えるということが、よくわかる。
東日本大震災と原子力発電所問題もはさみながら、対話は進んでいる。時々共感しながら、そして相反しながら。

タイトルにある介護保険については、上野先生の詳細な解説がある。しかも、意外と現実を知っておられるので、その話もとても興味深い。さすが「おひとりさまの老後」の著者だ。すばらしい。その上で、上野先生は「介護保険支持者」である。

片や、古市さんは、「こんなにもアタマのいい人でも、介護保険や社会保障について、ほとんど知らないのかよ!」というツッコミを入れたくなるほど(たぶん)バカなふりをしながら、上野先生から巧みに引き出している。

古市さん、とても信頼・期待している。彼らの世代が、様々なことを考え、行動することで、社会は変わっていくと思う。


なぜ、介護業界の人に読んでもらいたいかというと、
「一般の人、特に、若い人は、業界にいない限り、介護に関する情報は全く持っていない」ということを、私たちが理解するためである。
古市さんは、「介護において情報格差のある無能な若者」を「演じる」ことで、「若者は知らない」ということを明確にした。
この前提なしで、たとえば「うちのおじいちゃんがぼけちゃって」などという相談が、私たちに来たとする。
業界の人は、さも当然のように「あぁ~またか」というように、事務的に(つまり法律とか流れとかの説明)、かつ、相談援助技術を使って話をするが、
これだけでは絶対に、双方の話はかみ合わない。分かち合えない。理解しあえない。ずっと平行線。挙句の果て、相談者を怒らせることとなる。
本当に「知らない」のだから、業界の人は、1つ1つ丁寧に、説明をする必要がある。

皆様も知らないでしょ?いろんなこと。
仮面ライダーの誕生とかイカ娘の体重とか今流行っているTVアニメとか宇宙の誕生とか死後の世界とか青色申告とか新宿歌舞伎町の実態とか…
要は、そういうことです。知らないことは、最初から分かりやすく説明を受けないと、分からない。
加えて、介護を受けるということは、ややネガティヴな状況での相談である。
共感しつつ、よりいっそう分かりやすく説明する必要がある。

そんなことを感じた本でした。

この本の内容のパーツを紐解きながら、連載します。