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猫と言葉

2016-04-09 21:52:38 | 猫の伝説



☆彡 こんにちは。


かつて世界は猫が支配していた。そういう言い伝えが中国にあるそうです。経済学者の竹内靖雄さんの本『イソップ寓話の経済倫理学―人間と集団をめぐる思考のヒント 』の中に出てきます。この本によれば、猫は言葉をしゃべり、地球の管理に関する日常業務をすべて行っていましたが、そのころ、人間は、ことばをしゃべることのできない低級な生き物だったとされています。


ところが、ある日、猫たちは地球を治めるよりも日向ぼっこをしていたほうがいい、という結論に達し、後任者に人間を選びました。猫は人間にしゃべる能力を与えなければなりませんでしたが、人間がしゃべれるようになると、猫自身はしゃべれなくなりました。だから、猫は人間にいつも微笑みかけている、というのです。


同じ、竹内さんの本の中に、面白い仮説も出てきます。哲学好きの野良には、とても面白いのですが、近代哲学の祖、デカルトは、猫はほんとうはしゃべれるのだが、仕事をさせられてはかなわない、というので、黙っているという仮説を持っていた、というのです。もちろん、人間の仕事をさせられるということでしょう。


人間の言葉をはなせるのが知れると、労働をさせられるから黙っている、というデカルトの仮説は、なかなか、意味深長です。言葉と労働に、関連性があることに気がついていた点は、さすがデカルトですね。人間も地球に登場すると同時にいきなりしゃべれたのではなく、集団で働く必要上、しゃべるようになっていった、というのがほんとうではないか、と野良は思いますが。


さて、日本にも、猫と言葉について、面白い伝説が伝わっています。18世紀、江戸の牛込のとある寺。寺の飼い猫が庭先の鳩を狙っているのを和尚が見つけて、追い散らすと、猫が悔しそうに「残念!」と口走った、というのです。驚いた和尚が、どうして人間の言葉をしゃべれるようになったのかと、猫に詰問すると、次のように答えたというのです。


「猫が人の言葉を話すというは、なにもわたしに限ったことではありません。十年あまりも人間に飼われて一緒に暮らしてれば、ほとんどの猫は話すことができるようになります。それよりさらに四、五年も生きれば、神変を得て、人間がいうように化けることもできるようになるのです、けれど、それほど長く寿命を保てる猫はまれでございます」


たしかに、長く一緒に生活してれば、どこか似てくるでしょうね。脳や顎、舌の構造が、人間と猫では異なるから、長く一緒にいても、人のことばはしゃべれない、などとリアリストになっては、面白くないですね。むしろ、ひとが猫に似てくる点に、野良は注目してみたいですね。ありえない? 


ではまた ☆彡



(参考文献)竹内靖雄著『イソップ寓話の経済倫理学―人間と集団をめぐる思考のヒント 』(PHP研究所)
谷真介著『猫の伝説116話』(新泉社)





イソップ寓話の経済倫理学 人間と集団をめぐる思考のヒント (PHP文庫)
クリエーター情報なし
PHP研究所



猫の伝説116話―家を出ていった猫は、なぜ二度と帰ってはこないのだろうか?
クリエーター情報なし
新泉社









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