まずは、本日の日経金融新聞5面に結構面白い記事がありましたので、それをご紹介。
ポイントは次のとおりです。
・ 2つのファンドを介したことで、クリスタルの林元会長をまんまと騙した
(←語弊がありますけど、この表現が分かりやすいので)
・ しかも、林元会長らに支払ったのは約500億円。グッドウィルの公表出資額との間には
300億円以上の開きがあると。
前者については、これでファンドを2つも噛ませたことが理解できました。
というのも、林元会長は、「同業他社には株を売らないこと」を売買契約の条件
にしていたそうです。
「投資ファンドならイイだろう」と思わせたのでしょうね。
しかもそのファンドのメイン出資者が別のファンドでしたので背後にグッドウィルが
いることまでは気が回らなかったかも知れません。非常に巧いですね。こういう仕掛けは。
で、本日、グッドウィルが投資家向け説明会を開いたようでして、
HPに“クリスタルグループの連結対象子会社化について”というプレゼン資料がup
されておりました。まずはご覧あれ。
http://www.goodwill.com/gwg/pdf/20061129080703.pdf
で、もちろん私は出席しておりませんので、どういう質疑応答が行われたのかは
一切分かりません。そういう制約がありますが、少々ツッコミを入れたいと思います。
■スキーム図がp.22にありますが、出資額は従来通り883億円となっております。
では先の記事のように林会長らが500億円しかもらっていないとすると、
差額300億円超はどこへ行ってしまったのでしょうか?
■ コリンシアンファンドに出資している「外部投資家」って誰?
林元会長に株式譲渡を承諾してもらうための一種のダミーとして機能したのでしょうが、
ちょっと気になる存在ではあります。
■ で、クリスタルの業績実績とか予想が資料にガンガン書き込まれておりますが、
買収時ないし買収後のデューデリジェンスは十分になされているのでしょうか。
先日も書きましたが、監査法人による会計処理の適正化、
親・グッドウィルの会計方針への統一などからこの青写真が
「画餅」とならないことを祈ります。
■ 今回の買収では、林元会長を欺いたこと、クリスタル幹部にとっても寝耳に水であったこと
などを踏まえますと、クリスタルグループにとっては敵対的なものと見えます。
そういう状況だとしますと、今後は、東証一部として相応しいガバナンスレベルにすべく、
色々な改革も当然必要なのでしょうが、
かなり大きな企業グループでもあり、
社内融和に至るまでかなりの紆余曲折が予想されます。
そして、一番気にしなくてはならないのが、「人材の希薄化」ではないでしょうか。
つまり、グッドウィルの幹部社員投入により、グッドウィル本体の営業力が低下
するなどの弊害が出てくる可能性はあると思います。
あのレックスホールディングのように・・・ね。
■人材の希薄化・・・・で思い出しましたが、かなりのカネを投入してますので、
ファイナンス(株式の希薄化)の可能性もあるんでしょうね。
今月に入って株価もかなり上がっているので、チャンスかもしれませんよね。
・・・・・ということを総合的に踏まえますと、今手を出すべき株ではないと個人的に思いますけどね。
(・・・・・っていうか、私の頭の中では、既に投資不適格ですけどね。)
タックスヘイブンに設立された林一族の資産管理会社だったら笑えます。