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マクドナルドの2012年12月期決算に思う

2013-02-08 | 会計・株式・財務
マクドナルドの1月既存店売上が前期比▲17%と大きく沈んだらしい。マイナス幅は02年7月(17.6%減)以来の大きさ。季節限定商品の販売をやめたことが客数減につながったとのことであるが、「あのキャンペーンの影響も大きかったのではないか」と見ている人は、かなり多いのではないか。

そう、「60秒キャンペーン」。ビックマックなどを注文して60秒以内に出せないと、無料サービス券がもらえるというものだ。
「マック 60秒」の「画像」をググると、出るわ出るわ、60秒に間に合わせるためなのかヒドい作りのビックマックの数々。こんなものを食わされるのか、とネガディブに思わない者はいないだろう(もっともネタも相当数含まれているのかもしれないが)。


さて、そのマックであるが決算を発表した。
ちなみに私は、4年以上も前にこの会社について2本のネタを書いている。

2008年12月10日
『ご一緒に店舗はいかがですか?』~マクドナルド店舗売却益に思う

2009年2月5日
続・「ご一緒に店舗はいかがですか?」~マクドナルド決算に思う

いずれの記事も、要するに、この会社は自社店舗の売却益で営業利益を嵩上げしているんですよ、しかもこの会社の「商品」の中で実は採算性も相当高いのでは?という趣旨でした。


あれから4年、どうなったのか思って決算短信を見ると・・・・

2012年12月期 決算短信


7期ぶりの営業減益って言いますけど、前年の2011年12月期の営業利益の増益率は僅か+0.2%増益ですよ。こんなの増益記録更新のために「作った」可能性大ですよね。


では、店舗売却益でどれだけ嵩上げしたのかを見てみると・・・・・開示が無くなっています。
過去の短信も遡って調べたところ2011年12月期から、損益計算書注記にあった店舗売却益の金額の開示が無いのです。そして2012年12月期も開示がありません。


2011年12月期で店舗売却益の金額が解ってしまうと、「この売却益で営業増益を演出していたんだな?」などと私のようなひねくれ者から指摘を受けるのがイヤだったのかも知れません。あくまで邪推ですけれど。
いずれにせよ、開示内容が後退した場合にはその背景、理由を考える必要があると思います。。

過去の事例からしますと、概ね固定資産払出簿価の4割程度が店舗売却益として計上されていますので、2011年は約10億円、2012年は16億円程度が売却益として嵩上げしていたものと推定されます。

2013年12月期は営業利益252億円、前期比+1.7%と増益を計画しておりますが、いきなり1月既存店売上が▲17%です。利益確保のためにさらなる店舗売却の上積みを想定しているのかも知れませんね。


<4年間の店舗売却状況>

2009年 フランチャイズ契約の締結に伴う店舗運営事業の売却により
    他勘定へ振り替えた固定資産の帳簿価額 10028百万円

    店舗売却益     4239

2010年 固定資産の帳簿価額 4024
    店舗売却益     1667

2011年 固定資産の帳簿価額 2742
    店舗売却益     開示なし

2012年 固定資産の帳簿価額 3,973
店舗売却益     開示なし


なかのひと



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1 コメント

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Unknown (ktbep)
2013-07-16 11:34:46
随分、更新されてませんね。本を執筆されているんでしたっけ。

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