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「不正会計」報告書作成マニュアル

2016-01-20 | 会計・株式・財務
本日出席した会計関連セミナーの資料に、こんなものがありました。
それは直近の会計不正事件における「第三者委員会調査報告書」「改善報告書」「改善状況報告書」などから、①実際の不正行為の発生原因、②再発防止策の内容を、整理・分類した表です。

自分の備忘を兼ねて、以下、ポイントだけざっと書き出してみます。これから調査報告書を作らないといけない会社は、チェックリスト的に使って総花的な再発防止策を打たれると、結構いい報告書が出来るかも・・・。


■不正行為の発生原因

①公表値至上達成主義/利益至上主義/実現不可能な至達の付与
②モノが言えない企業風土
③業績評価制度(業績評価部分の割合の高い報酬制度)
④従業員のコンプライアンス教育の軽視、
⑤内部通報制度の形骸化
⑥監査役による監視の形骸化
⑦子会社管理の体制不備
⑧経理等管理部門の機能の軽視
➈人事の固定化
⑩業務のブラックボックス化
⑪J-SOXの形骸化/社内規程の形骸化
⑫外部会計監査の機能と限界


■再発防止策の内容

①役員のコンプライアンス研修・意識改革
②従業員のコンプライアンス研修・意識改革
③コンプライアンス委員会の設置
④内部通報制度の設計、運用の改善
⑤内部監査の改善・強化
⑥企業風土の改革
⑦取締役会の在り方の改善
⑧社外取締役の登用・増員
➈監査役(監査委員)の在り方の改善
⑩子会社管理の強化・改善
⑪会計基準の見直し/原価管理の実施
⑫経理部門等管理部門の強化
⑬人事ローテーションの実施
⑭社内規程・職務分掌の見直し、改訂
⑮業務プロセスの改善


結局、言いたいことは、「原因も、対策も、ある程度のものに収斂する」ということです。
そして重要なことは、改善策をいかに適切に「運用」していくかといこと。


えっ、これだけじゃぁ芸がないって?
ついでに「不正会計手法」にどんなものがあるか知りたいって?
わかりました。
それでは「金融商品取引法における課徴金事例集~開示規制違反編~」をご覧下さい。毎年色んな手口が追加されております。次回も・・・・・確実でしょう。そして、案の定といいましょうか、『財務の火薬庫』と言ってもよい「のれん」を巡る手口が結構多いことに注目ください。


足元の各種相場急落により、2016年3月期決算は予期せぬ減損損失の発生など大荒れの予感がします。
上記「発生原因」のリストを見て「コレってウチかも!」と思っている会社では、特に不正リスクにご注意あれ。

またいきます。


















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