濁泥水の岡目八目

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落語「芝浜」でわかる日本の近代化成功

2015-09-02 22:53:24 | エッセイ

 芝浜は多くの人に解説されているが、この話の中に日本が近代化出来た重要な鍵が含まれていることに誰も気付いていないようだ。そして日本人が気付かない事の中に、日本が近代化して現在の繁栄を招く事が出来た理由があると思う。「水と安全はタダ」と同じく、無くなって始めてその価値がわかるものがある。
 では、その重要な鍵とは何か。海辺で拾った大金の入った財布を役所に届けたら、落とし主が現れぬとして全額拾い主に届ける様な、規律正しく公正な役所が存在するという事実である。日本人には当然の事かもしれないが、そんな役所があるとは信じられないと言う人々が、世界中に多くいるはずである。 
 もちろん芝浜はフィクションであるが、百年以上も語られていながら大金が届けられた事について誰も疑問をいだいていない。個々の汚職や腐敗はあっても、日本人は江戸時代から役所を信じていたし信じるにたる役所を持つ事ができた。これこそが日本が近代化出来た理由の一つだと私は思う。