NHKスペシャル 同時3点ドキュメント 第4回「煙と金と沈む島」-NHK
見て本当にやるせない思いになりました。
■南太平洋の島国・ツバル。
海中を見ながら魚を1匹1匹釣っていく漁と,
ヤシの実や木を食料や工芸材料などすみずみまで使う
長老の教えを皆が尊敬し,自然の恵みに感謝して
一家一族が暮らしていく,そんな何の罪もない人たちが
海面水位の上昇で国家水没の危機に瀕している。
大潮の日には満潮時の水圧で
珊瑚礁の隙間に含まれている海水が島のあちこちで噴出,
標高2mのツバルでも洪水など70歳の長老も経験のないことだったのに。
洪水は住民の生活に被害を与えるだけでなく,ゴミや汚物を海に流し去り
環境に敏感なサンゴの生命にもダメージを与え,
珊瑚礁のなりたちそのものにも影響を与える…。
そして最も水位が上がる2月29日の満潮時には
これまで出水のなかった地区でも水が出,
30分余りの間に数十センチも水位が上昇。
高床式の住居まで床上浸水の憂き目に。
■これに対して,温暖化ガス(温室効果ガス)排出量
世界1,2位を占める米国と中国は,排出量抑制を取り決めた
京都議定書に参加しない(米は脱退)ばかりか,
排出権ビジネスで金を儲けている。
米国のナット・ソース社は温暖化ガス排出権が金になると
いち早く注目,同排出権売買のビジネスを立ち上げ
数百億円規模の資金を動かして巨万の富を稼いでいる。
■一方中国有数の炭鉱都市・重慶では
炭坑坑夫と石炭を運ぶ汽車の機関士の兄弟が
「増産すればするほど給料が増える。我々だって
豊かになる権利がある」と主張。
この炭坑に日本の三井商事がアプローチ。
炭坑から出るメタンガス(二酸化炭素よりも強力な温室効果ガス)を
発電に使うことで温暖化ガスの排出量を抑制し
その削減分を排出権として,削減義務が未達の日本企業に売る
というビジネスを持ちかけてきたのだ。
排出権というものが何かすら知らないところから始まった
商談は,メタンガスの排出量を検出するメーターを
炭坑の負担で設置しないといけない/そんなことできない
などすったもんだの末,なんとか商談成立。
で,メタンガスの排出量を削減したことで発生する排出権は
中国に所属するんですよね。三井はその売買を仲介すると。
中国は法律で排出権を国の財産と位置づけ
「我々は排出権の輸出大国になる」と豪語。
ちがうだろ。
一番温暖化ガスや汚染物質をまき散らして
地球に迷惑をかけている国が,京都議定書に加わらないばかりか
ガス削減の義務を果たそうと努力している国(の企業)から収入を得る,
まさに泥棒に追い銭。
バンバン化石燃料を燃やして温暖化ガスを排出すればするほど
(削減する余地が生まれて)排出権で儲けられるなんて
矛盾にもほどがあります。
「ゴミが増えれば増えるほどリサイクル用の資源が増えて
地球にやさしい」という「健康のためなら死んでもいい」的な
ブラックジョークがありましたが,悪い冗談としても
これらとは別格といってもいいくらいのたちの悪さです。
炭坑のトップも,排出権売却で得た収入を
増産に回して,炭坑も労働者ももっと儲けると宣言。
前出の機関士のおじさんも自動車ディーラーに
乗用車を見に行き「この調子で収入が上がれば車が買える。
休みの日には家族で旅行に行ける」とほくほく顔。
皆一生懸命生きていて,豊かになろうと思うのはもっともだけど
なんともやるせない…。
■「ツバルの人たちは何の罪もない素敵な人たちなのにかわいそう
アメリカや中国の連中は自分の金儲けのことばかり考えている」
というのは,番組をつくる過程で取材対象の選定・情報の取捨・
映像の編集によってつくり出された構図であり,
あくまで世の中の出来事の一部を切り取ったものにすぎない,
そもそも,二酸化炭素(CO2)やメタンといったガスの放出が
地球温暖化や海水面上昇の本当の原因なのか,
そもそも今から温暖化対策を進めたところで,
既に大潮の満潮で海水に浸ってしまうような状態のツバルを救えるのか
など,言い出したらきりがないことばかりなのですが,
そういうことを含めて見ても,考えさせられる番組でした。
********************
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5/1朝現在,テレビラジオ部門14位!ありがとうございます。
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■南太平洋の島国・ツバル。
海中を見ながら魚を1匹1匹釣っていく漁と,
ヤシの実や木を食料や工芸材料などすみずみまで使う
長老の教えを皆が尊敬し,自然の恵みに感謝して
一家一族が暮らしていく,そんな何の罪もない人たちが
海面水位の上昇で国家水没の危機に瀕している。
大潮の日には満潮時の水圧で
珊瑚礁の隙間に含まれている海水が島のあちこちで噴出,
標高2mのツバルでも洪水など70歳の長老も経験のないことだったのに。
洪水は住民の生活に被害を与えるだけでなく,ゴミや汚物を海に流し去り
環境に敏感なサンゴの生命にもダメージを与え,
珊瑚礁のなりたちそのものにも影響を与える…。
そして最も水位が上がる2月29日の満潮時には
これまで出水のなかった地区でも水が出,
30分余りの間に数十センチも水位が上昇。
高床式の住居まで床上浸水の憂き目に。
■これに対して,温暖化ガス(温室効果ガス)排出量
世界1,2位を占める米国と中国は,排出量抑制を取り決めた
京都議定書に参加しない(米は脱退)ばかりか,
排出権ビジネスで金を儲けている。
米国のナット・ソース社は温暖化ガス排出権が金になると
いち早く注目,同排出権売買のビジネスを立ち上げ
数百億円規模の資金を動かして巨万の富を稼いでいる。
■一方中国有数の炭鉱都市・重慶では
炭坑坑夫と石炭を運ぶ汽車の機関士の兄弟が
「増産すればするほど給料が増える。我々だって
豊かになる権利がある」と主張。
この炭坑に日本の三井商事がアプローチ。
炭坑から出るメタンガス(二酸化炭素よりも強力な温室効果ガス)を
発電に使うことで温暖化ガスの排出量を抑制し
その削減分を排出権として,削減義務が未達の日本企業に売る
というビジネスを持ちかけてきたのだ。
排出権というものが何かすら知らないところから始まった
商談は,メタンガスの排出量を検出するメーターを
炭坑の負担で設置しないといけない/そんなことできない
などすったもんだの末,なんとか商談成立。
で,メタンガスの排出量を削減したことで発生する排出権は
中国に所属するんですよね。三井はその売買を仲介すると。
中国は法律で排出権を国の財産と位置づけ
「我々は排出権の輸出大国になる」と豪語。
ちがうだろ。
一番温暖化ガスや汚染物質をまき散らして
地球に迷惑をかけている国が,京都議定書に加わらないばかりか
ガス削減の義務を果たそうと努力している国(の企業)から収入を得る,
まさに泥棒に追い銭。
バンバン化石燃料を燃やして温暖化ガスを排出すればするほど
(削減する余地が生まれて)排出権で儲けられるなんて
矛盾にもほどがあります。
「ゴミが増えれば増えるほどリサイクル用の資源が増えて
地球にやさしい」という「健康のためなら死んでもいい」的な
ブラックジョークがありましたが,悪い冗談としても
これらとは別格といってもいいくらいのたちの悪さです。
炭坑のトップも,排出権売却で得た収入を
増産に回して,炭坑も労働者ももっと儲けると宣言。
前出の機関士のおじさんも自動車ディーラーに
乗用車を見に行き「この調子で収入が上がれば車が買える。
休みの日には家族で旅行に行ける」とほくほく顔。
皆一生懸命生きていて,豊かになろうと思うのはもっともだけど
なんともやるせない…。
■「ツバルの人たちは何の罪もない素敵な人たちなのにかわいそう
アメリカや中国の連中は自分の金儲けのことばかり考えている」
というのは,番組をつくる過程で取材対象の選定・情報の取捨・
映像の編集によってつくり出された構図であり,
あくまで世の中の出来事の一部を切り取ったものにすぎない,
そもそも,二酸化炭素(CO2)やメタンといったガスの放出が
地球温暖化や海水面上昇の本当の原因なのか,
そもそも今から温暖化対策を進めたところで,
既に大潮の満潮で海水に浸ってしまうような状態のツバルを救えるのか
など,言い出したらきりがないことばかりなのですが,
そういうことを含めて見ても,考えさせられる番組でした。
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ツバル―地球温暖化に沈む国神保 哲生春秋社 | 地球温暖化 日本はどうなる?環境庁地球環境部読売新聞社 | 新・地球温暖化とその影響―生命の星と人類の明日のために内嶋 善兵衛裳華房 | コレラが街にやってくる―本当はコワーイ地球温暖化藤田 紘一郎朝日新聞社 |
この番組を見て実に色々な事を考えさせられました。
私もTBさせていただきますね。