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理科の先生をいぢめるな(「指に針」騒動)

2004-11-07 15:41:37 | 政治・事件
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 和歌山県橋本市の市立中学校の男性教諭(41)が2年生の理科の授業で、生徒24人に針で指を刺させて採取した血液を実験に使っていたことが分かった。保護者の抗議を受けた市教育委員会は「配慮が足りなかった。今後、このようなことがないよう徹底したい」としている。

 市教委によると、教諭は10月下旬、「血液とその循環」をテーマにした授業を実施し、2年の3学級が受講。熱消毒した針と消毒液を生徒に渡し、針で指を刺させて採取した血液をガラス板に塗り顕微鏡で観察させた。

 4、5人のグループの中から話し合いやじゃんけんなどで針を刺す生徒を選ばせたという。針を刺し出血する様子を見てショックを受け泣きだす生徒もおり、保護者から学校に抗議があった。

**********11/2付【生徒の血液使い理科授業 和歌山・橋本の男性教諭】(共同)

この話を聞いて,正直,私,アホかと思いました。

41歳の理科教師に色々手落ちがあったのは明らかですし,
過去に何度も同様の騒ぎがあったこの御時世にこんな実験をやるなんて
迂闊にもほどがありますが,
指に針を刺して血が出て,ショックで子どもが泣いたから「非常識だ」
親が教育委員会に怒鳴り込んだ
のだとしたら,
それこそ日本の教育をダメにする張本人だといいたいです。

この手の報道は,記事の書き手側が
問題の本質を全く把握せずに配信してしまうことも多々ありますし,
このような“事件”でやり玉に挙げられる教師というのは
ふだんから問題行為を行っていたとか(数ヶ月前,「イヌノフグリのフグリとは
キンタマのことである」とテストに出した
教師などはこれみたいです),
場合によっては日教組潰しの策略というケースもあったりしますので,
新聞などで書かれている内容だけで判断するのは早計といえるのですが,
ただの意思疎通トラブルで,新聞記事になるまで(騒ぎ立てるような)問題じゃないだろうと
思うのです。

もちろん理科の実験にあたって,先生は生徒の安全に細心の注意を払い,
全責任を負って行う必要があるのは言うまでもありません。

今回の観察の場合,
(1)血を採る人は希望者のみとし,場合によっては先生自らの血や動物の血で済ませる。
 (希望以前に,血友病で不可能という場合もある)

(2)感染症を防ぐため,針の使い回しが絶対行われないよう注意し,
 血のついたガーゼや器具の廃棄・洗浄には十分配慮する。

(3)生徒には実験の意義をよく理解させ,学校の管理職や教育委員会などの了解も得ておく。

といった配慮が最低限必要となります。
和歌山・橋本の先生は採血する生徒を班ごとに話し合いやじゃんけんで決めさせたとのことで,
(1)と(3)が欠けていたわけですが,一番肝心なのは(2)ですので,
保護者は,まず(2)が適切に行われたかを確認すべきで,(1)と(3)については
むしろ教師・学校と保護者がこれを機に協力し合って解決・改善していってほしいと思います。

最近,サイエンスエンターテイナー・米村でんじろう氏が
やたら頻繁にテレビに登場して話題となっていますが,
理科の実験というのは学ぶものに本当に感動・学ぶ動機付けを与える
すばらしいものなのです。

特に,生物関係では,動物や植物などの材料がある中で
ほかならぬ自分の体について
顕微鏡観察などふだん見ることのできないものを見て感じ,
新たな知見を得るというのは,教科書からは得られないものを
学ぶ者の中に残してくれるものなのです。

そもそも採血のためにつける程度の傷など,日常生活で
誰でも経験しているわけで,その程度の血を出す
ことで理科の実験を禁止するというのなら
図工や技術でのこぎりを使ったり家庭科で火を使うこともできなくなってしまいます。

ある程度危険を伴うことを,きちんと決めごとを守ってこなしていくというのも
学校という団体行動の場で学んでいく勉強のうちではないだしょうか。

 ※といいつつも,自分も中学か高校で指にカミソリのような針を
  刺して採血し,実験を行ったのですが,
  正直言って指を指した記憶はあっても何の実験をしたか覚えていないので,
  自分の血を採って観察・実験したかといって大きな異議があるかと
  いうとそれほどでもないのかもしれませんね。
  やり方しだいと思います。

  自分の血でやることで一番効果があるのは
  血液型判定(凝集素を使った凝集反応)の実験ですが,
  これも今では家庭事情のある生徒への配慮が必要だったり
  色々な理由で間違った判定が出たりして混乱が起こったり
  と,なかなかむずかしいようです。

  今,可能で生徒にとって一番感動があるのは
  精子の観察
のようです。なんと言っても動きますから。
  自分のを見るのが一番インパクトがあるわけですが,それは
  おおっぴらにやるといろいろ差し障りがありますので
  自分のを見たい男子は(ばれないように)朝早く先生に提出させ,
  先生のものということにして授業で使ったりしている
そうです。w

  …生理的食塩水で薄めてプレパラートに広げますので,
  1人分あれば,1クラス分はまかなえます。
  冷蔵庫に入れておけばお昼の授業までは元気でいることでしょう。

近年の情勢の変化で,動物の解剖やウシの目玉の観察
(BSEのため事実上禁止に)など,行えなくなった生物の実験
は数多いです。

学校の先生は今回のような「事件」や不適格行動などについての
抗議に対処するために,日頃から何をするにも(出張,自己研鑽の
ためですら休暇にはレポートが必要,予算の申請etc…)膨大な量の書類を
作成する雑務に忙殺されています。

保護者の方々もくだらないことで騒ぎ立てると
回り回って教育の質を下げることになります
し,
訴えられる方も,ことの核心について見極めようという努力をまるでせず
事なかれ主義でとりあえず「配慮が足りなかった。
今後このようなことがないよう努力したい」
と謝っておく
教育委員会
などの責任はことのほか重いと考えます。

■理科の先生方の意見が交わされている
理科メーリングリストのアーカイブ(一般公開)
※「血液 実験」で検索すると29件ヒットします。
 最新の話題(2004年11月)は11/7現在このトップページからは見られませんが
 URLに規則性がありますので,末尾をいじれば見ることができます。
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1 コメント

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はじめまして (daria)
2004-11-07 22:32:01
トラックバック、ありがとうございます。

精子って、理科の実験で見れるんですか!?

見てみたいかも、動くところ・・・。
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