かってに“手塚治虫版”『華麗なる一族』（後編）

『華麗なる一族』，読み終わりました！

　うううううう…きついわ。
　鉄平に対して大介がした仕打ち，
　徹底的に潰しまくる容赦のない攻撃，過酷にもほどがある。
　そして，念願かない，野望に一歩駒を進めた大介も
　手の中で転がす権力者たちの巨大さ…。

さて，前回「かってに“手塚治虫版”『華麗なる一族』」前編をUpしまして
もう１週間がたってしまいました。
絵自体は前回の「万俵一家編」と同時にできていたのですが
鮮度重視のエントリーを優先したのと，ここへ来て熱が出てダウン気味…。
とにかく第９話が放送される前にはUpしておかねばと思いますので
書いておきたいと思います。

Black Jack 300 stars’ encyclopedia 手塚プロダクション, 山本 敦司 秋田書店　780円

今回も山本敦司著『Black Jack 300 stars’ encyclopedia』（右）を参考書に
「かってに“手塚治虫版”『華麗なる一族』」を考えてみました。（

手塚作品ファンの皆さん，それぞれ愛着のあるキャラも多いでしょうから
「あのキャラをこんな昼ドラみたいなドロドロの話に登場させるな！」
というお叱りもあるでしょうがここはひとつご勘弁を。
※絵のほうは，私が描いたものです。
　絵好きを自認するわりに意外と実際に描いたことがなくって，
　ほとんど初めて描いたキャラばかりなので，似てないとか下手だ
　という点につきましては何卒ご勘弁を。


■阪神特殊鋼

左から

石川社長…チック（「ＢＪ」には新聞記者の役などでしばしば登場） 　銭形常務…カオー・セッケン（『ビッグＸ』『勇者ダン』など） 　一ノ瀬工場長…クーマ医師（BJ「ブラック・ジャック病」） 　一ノ瀬四々彦…ケン一（『新宝島』ピート，『ロストワールド』等。 　　　　BJでは「アリの足」「二度死んだ少年」「タイムアウト」等） 　沖仲仕・荒武玄…力有武（BJ「上と下」「消え去った音」「報復」等）

石川社長は万俵大介の妹の夫で，鉄平が専務を務める阪神特殊鋼のお飾り社長。
この手の頼りないオジサンのキャラも手塚作品では豊富だと思いますが，
お人好しで気が弱そう，『火の鳥ヤマト編』のタケルの従者役や『珍アラビアンナイト』
の主役で活躍したチック・タックの片割れを指名
（お恥ずかしながら，どっちがチックでどっちがタックなのかわからないのですが…）。

阪神銀行から経理担当常務として送り込まれ，
鉄平をはじめとする技術系が先行して設備投資に走る
資金の手当に奔走する一方，大介の陰謀の片棒をかつぎ，
阪神銀行からの見せかけ融資を隠し，高分の貸し金に手をつける銭高常務。
ドラマの西村雅彦さんのイメージに引きずられている感がなきにしもあらずですが
BJ「Ｕ－１８は知っていた」で偽ＢＪを演じようとして瞬殺される男，
カオー・セッケンを指名します。
ナイロン卿や東南西北でもいいかもしれませんね。

鉄平の片腕として現場を支える一ノ瀬工場長。
BJ「ブラック・ジャック病」のモハメド・クーマ博士を，
ヒゲをとって肌色を日本人風にしてみました。

一ノ瀬工場長の息子で，鉄平の後輩にあたる若き有能な鉄鋼マン・四々彦（よしひこ）。
身分の差を超え，鉄平の妹・二子（つぎこ）のハートも射止めるわけですが
ここは若さとまっすぐな心意気，潔癖・純情さをもったケン一君で。
『ミクロイドＳ』の主人公・ヤンマ（BJでは「研修医たち」の
研修医グループのリーダー役）とか
『火の鳥 未来編』の山野辺真人（BJでは「執念」で
家族を奪ったがんと戦おうとする医学生を演じる。ちょっと悲壮感が
強いキャラなので鉄平役もいいかな）もかっこよくて適役かもしれません。

ドラマオリジナルのキャラクター・沖仲仕（おきなかし）の
荒武玄（あらたけ・げん）さん。
原作では荒武は阪神銀行の幹部の名前なんですけどね…
高炉建設の爆発事故で壮絶な最期を遂げるあの姿は
リキさんこと力有武（ちから・ありたけ）を指名。
『火の鳥』『ブッダ』『新撰組』など非常に多くの手塚作品に登場するほか
BJでも「消え去った音」「ダーティージャック」など頻繁に登場。
やっぱ代表作は「上と下」ですかね。


■政治家

左から

永田大蔵大臣…マグー（『きりひと賛歌』の竜ヶ浦教授） 　大川一郎・前通産大臣…ヒゲオヤジ

大蔵官僚出身の代議士で，冷や飯を食っている時期から
大介の娘婿である美馬中ともども阪神銀行・万俵大介の支援を受けて
大蔵大臣まで上り詰めた永田格。
長年さんざん恩を受けておきながら，いざ大介側から便宜をはかってほしい
接触があっても「こっちが上，貴様らは下」という感じで
なんだかんだもったいぶって千万，億単位の金を見返りに受け取らないと
ほんの小さな口利きすらも動かない腹黒男。
ここはBJでも「六等星」「呪われた手術」など悪徳院長役の多いマグーで。

鉄平の義理の父親で，『白い巨塔』の財前又一よろしく実の息子のように
彼の夢の実現に支援を惜しまない政治家・大川一郎。
今よりも規制が厳しく省庁の許認可の壁に多くの企業家が涙を呑んでいた当時
彼の鶴の一声で高炉建設への通産省の認可が下りることに。
これはヒゲオヤジしか思い浮かびませんでしたね。
恰幅がちょっと足りないかもしれませんが，情が深くエネルギッシュなキャラは適役。
和服姿で「いよぉ，鉄平くん！」とあの声で話しかけてくる姿…しっくりきませんか？


■大同銀行

三雲頭取…メイスン（ＢＪでは「めぐりあい」「笑い上戸」など） 　綿貫常務…ベガー少佐（『ノーマン』特殊訓練所所長）

阪神銀行は大介が頭取，融資課長が銀平と既に万俵家編で扱っていて
あとは大亀常務とか芥川常務くらいなので割愛。

三雲頭取にはメイスンを。
BJでは医大時代の院長，先輩として若きBJを指導。
生真面目そうなキャラが日銀出身の潔癖・純情居士，
バンカーとして鉄平の夢を支えようとする三雲頭取にピッタリかと。

『華麗なる一族』終盤で主役級の存在感を示す綿貫千太郎常務役は，
BJ「奇妙な関係」「おまえが犯人だ」で犯人を追跡する刑事役を演じた
ベガー少佐を。
ベガー少佐自体は地位やお金には執着するタイプではなく
仕事上の目標に強く執着するタイプですが，
あの分厚い唇と上向きの鼻から貪欲さを感じたので。


さてさて，こんなところですか。
手塚治虫先生の生みだしたキャラクターは本当に千じゃきかないくらい
存在しますから，かなり数多くのキャスティングパターンが考えられますね。
手塚ファン兼『華麗なる一族』視聴者ということでいささか範囲が限られますが
あなたの考えるキャスティングはどんなですか？


TBS日曜劇場『華麗なる一族』

BLACKJACK.JP

『Black Jack 300 stars’ encyclopedia』感想記事
（この本はマジ面白いですよ～。文庫本ながら情報量は非常に濃いし，
本当に各キャラの出演作や性格などを俳優のように紹介していて，すごく愛情を感じます）

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