週刊なんとか

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不確定性原理

2015-04-30 07:51:52 | 社会科
シュレーディンガーの猫という思考実験がある。

実験はこう。
猫を箱に入れる。
箱のなかに、30分後に1/2の確率で毒ガスが出てくる装置を
一緒に入れる。
1時間後、猫は生きているか死んでいるか。
箱には窓はなく、中を覗くことは出来ない。

これに対して、答えはこう。
箱に猫を入れてから30分後から、箱を開けない現在までの間、
猫は生きているのでも死んでいるのでもない状態にある。
箱を開けた瞬間に生きている状態か死んでいる状態に
なり、30分前に遡って猫の状態が決定される。

以上。

・・・

さて、ここで殆どの人が混乱するのは、
「現実の世界」と
「観測系」
を混合しているからだ。

「現実の世界」では、もちろん30分後に猫は死ぬ(あるいは死なない)
のであり、それ以上のものはない。
上記のへんてこりんな状態(生きているのでも死んでいるのではない)は、
「観測系」、つまり、「観測者の頭のなか」の状態だ。
観測者から見ると、猫は箱をあけてみるまで
生きているとも死んでいるとも言えない。

アタリマエのことを随分難しく言ったものだ。

ややこしいのは、「現実」という言葉をどう定義するか、ということ。
物理学の観点から言う時、「現実」というのは「観測された世界」
を指す。
「観測されたデータ」でない以上、議論したり計算したり出来ないからだ。
言い換えれば、「議論する人の頭のなかにある世界」
と言ってもいい。

本当の現実の世界とは、もちろん別。
だから、「生きているのか死んでいるのかわからない状態の猫」
は、頭のなかだけに存在するのであって、
そんなものが本当に存在するのか心配する必要は全くない。

たとえば、あなたの奥さんにとって、
あなたが会社に行ってから帰ってくるまでは
「ダンナは生きているか死んでいるかわからない状態」
ということ。それだけのことだ。
あなたは今生きているか死んでいるかわからない状態?
生きてるだろ?

困ったことは、数学や哲学を専門にしている人でも、
この「頭のなか」と「本当の現実」をごっちゃにしている人が
少なからずいるということだ。

「生きているか死んでいるかわからない猫」などといわれたら、
猫だってたまったものじゃない。
・・殺されちゃったらもっとたまったものじゃないが。

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