CP80レストア記

YAMAHA CP80のレストア記です。素人が行っておりますが、良かったら見てって下さい。

出会い・バラし編

2007-11-04 03:48:10 | Weblog
もう何年もずっと欲しいと思っていたCP80。サウンドだけならずルックスにも惹かれちゃったんですよねぇ。
しかしなかなか中古市場には出ない機種の上、稀に出たとしても中古楽器屋では結構な値で取引されているのでなかなか手が出なかったんです。
それでもある時、「家で本物のピアノの鍵盤で練習するにはこれしかない」と思い立ち、色々ネットを通じて探していると、あるブログに「持って行ってくれるなら無料でお譲りします」との話が。大急ぎでメールを送ると、快く譲っていただけるとの事!感謝感激雨霰でした。
CPの所在は山形県だったため、友人にお願いし丸一日かけて神奈川から山形へ。自宅へ運び込むときにはあまりの重さに友人と二人だけでは搬入出来ず、もう一人応援をお願いしてしまった次第。

CPが我が家にやって来たときの状態は、外見こそ綺麗なものの(旅館のステージのような所で使われていたものらしい)、肝心の鍵盤が結構ガタついており、左右に傾いていたり、一度弾くと上がってこない鍵盤もありました。

そんなことで、大手術を決意!素人ながらどこまでやれるかやってやろうと思いレストアを始めました。

というわけでその時のレストア記です。同じような事をする人の参考になればと思いますが、何ぶん僕も素人のため、自己責任でお願いします。あと作業中に適当に撮ったため写真が結構ピンぼけです、すみません、、、、。
(写真はクリックすると拡大します)



まずは蓋をあけて、鍵盤なんかを外して行きます…






ホコリ溜まりまくってますね…虫とか出てこないかヒヤヒヤ






カビもうっすら生えてます。水の跡があるので、誰か鍵盤の上からこぼしたのでしょう。べとついてないとこ見るとただの水だったようです。安心。






後ろの棒がペダルを踏んだときにダンパーフェルトを持ち上げる棒。サビで曇りまくってます。






鍵盤の支点となるバランスピン、手前にあるフロントピンです。これがサビサビ…鍵盤がガタ来てるのも無理はないです。
こんな状態で弾き続けるとフェルトがすぐダメになります。後で死ぬ気で磨きました。









分解途中の一コマ。レールを支える部品(?)に「CP80」の文字が。なんだか誇らしげじゃないですか。







レールに「YAMAHA」の文字。これもなんだかかっこいい。






鍵盤がハマる部分の木枠を外します。






奥の方にあるダンパー機構一式も外してしまいます。






しかしその時この奥のネジをナメてしまって大変でした…。他の3本も同じようにナメてしまいました。おそらくここのネジの材質が違ったりしたのではないでしょうか。もっとも僕が未熟なのがいけないのですが!
ここを外すときにはお気を付け下さい。






代わりにハンズで買って来たネジ。若干長さが違った(同じのはなかった)のですが、うまくハマってくれました。






地獄の清掃・研磨編に続く…

清掃・研磨編

2007-11-04 02:57:32 | Weblog
おおかたのバラしが終わり、内部のホコリなどもきれいさっぱり除去したところで、各部パーツの研磨を行いました。

これはダンパー機構の一部。こういう細かいのを磨く積み重ねでスムーズなダンパーペダルへと変身を遂げて行きます(多分)。






死ぬほどピンぼけですが綺麗になりました。






この棒はペダルを踏んだときにダンパーフェルトを一気に持ち上げます。錆びたままだとスムーズに動きません。接しているフェルトも痛めてしまいます。






きれいきれい。でもかなり長いので結構時間がかかりました。ちなみに金属部分はピカールや、ひどいものは耐水ペーパーで磨いてます。







鍵盤の一番奥についている金属部品。「ダンパースプーン」と呼ぶらしいです。もともとはアップライト用の部品。CPに巧く流用しているところに関心!






これも研磨。真鍮部品は磨くとピッカピカになって気持ちがいいですね。






鍵盤が押されたときにこのダンパースプーンから力を伝え、ダンパーフェルトを解除するための部品がこれ。CPは鍵盤部分と弦部分を分ける事が出来る特殊な作りなので、ダンパーまわりが非常に凝っています。






これも研磨。フェルトに挟まれるような形で動くので抵抗を出来るだけ減らします。ただでさえCPは鍵盤が重いので、こういうところで少しでも抵抗を減らさねば!!






ペダルと本体をつなぐ部分。なぜか折れ曲がっていたので、タオルにくるんで外でトンカチでガンガン。でもかなり強度がありなかなか真っすぐに戻りませんでした。虫に刺されながら30分以上叩き続けたかな…なんとか真っ直ぐに。






フロントピンとバランスピンをひたすら磨きます…かなりサビサビだったのでかなり時間がかかりました。フェルトと紙パンチは高さが変わると後で一から合わせるのが非常に面倒くさいので、ごちゃ混ぜにならないように外しながら磨きます。

磨き前のフロントピン




磨き後のフロントピン
ピカピカ!!!!





このピンは微妙な高さにあるので腰にキましたね~^^;





鍵盤整備編に続く!!

鍵盤整備編

2007-11-04 01:18:21 | Weblog
これまでは本体整備のため外した鍵盤を部屋の隅に88本全部置いていたので、結構邪魔でした(笑)
これから鍵盤の木口、ブッシングクロスの交換などをして行きます。

まずは木口の交換。ヤマハの昔(ある時期のみ)のピアノに使われている木口の素材は、時間が経つと変色してしまいます。たしかセルロイドだったような気が…。

CP80も例に漏れず変色していました。研磨剤の磨きでなんとかならないかと思ったのですがどうしようもなかったので交換に踏み切りました。





これをニッパーを使って剥がして行きます。





実はこのニッパー作戦は途中で思いついたもので、最初は剥がすのにカッターや鑿をつかってがんばって剥がそうとしていたのですが、木口を剥がすだけでなく勢い余って鍵盤を割ってしまったりしました…





他にも木にヒビを入れてしまいあわてて木工用ボンドで止めたりしてます。





まぁ無理にやると良くないってことですね。
割ってしまった鍵盤はイトーシンミュージックで買えまして、無事貼り替えが出来ました。
鍵盤貼り替えのスキルが身に付いたのも怪我の功名という事で。
↓レストアのために買った部品





鍵盤を剥がすにはアイロンがあればいいのですが、残念ながら持っていませんので、台所の電気コンロに濡れ雑巾をかぶせてその上に鍵盤を押し当てて熱します。接着剤が溶けて剥がれやすくなります。





先ほどのニッパー作戦で取り除かれた木口たち。おつかれさま。





一個だけ剥がれてるとなんか寂しいね…





これから貼り替える木口はこんなのです。青いフィルムが表面に貼ってあり、剥がすとピカピカの面が現れます。





これを貼って行きます。白鍵の接着に使うのと同じアセトンを使いました。





しかぁし、そんなにうまく行くもんじゃないです。もともと少し大きく作られているので余ります。





というわけで、ヤスリを使ってひたすら削る!大きく余っているところはニッパーも使いつつ、割れてしまわないように慎重にやりました。



木口の説明が無駄に長かったですが、たまたま写真が多かったのでお許し下さい(笑)



さて、フロントブッシングクロスとバランスブッシングクロスの貼り替えです。こいつらが減っていると鍵盤がガタつきまして、古ぼけた感じのタッチになってしまいます。ブッシングピンが錆び錆びだったのでブッシングクロスもだいぶ削れて減っていますので総貼り替えです。

これはフロントブッシングクロス。これを沸騰したヤカンの水蒸気に当てて剥がして行きます。ホントに、面白いくらいに簡単に剥がれます。





貼り替えにつかった接着剤はニカワ。動物の骨とかを煮詰めたものです。接着剤付きのブッシングクロスもあったみたいですけどニカワの方がいいよと後で調律師の方に言ってもらえたのでちょっとニンマリでした。
これが粉状のニカワです。





これを水につけておくと、一時間くらいで水を吸収してトロトロになります。
これに熱を加えながら使用するのですが、熱すぎると接着力が弱くなり、かといって加熱しないと固まってしまうので、こんな装置を考えてみました。
ウチになぜかあった超ミニホットプレートと、百均で買った茶碗蒸し用の器。
この組み合せだと温度が上がりすぎる事もなく冷えすぎる事もなくグッドな感じで作業を進める事が出来ました。





ニカワを塗って、専用のジグを使ってしばらくフェルトを固定しておきます。









本当はこの後きちんとフェルトの厚みを専用の器具を使って調整しなくてはいけないのですが、結構高価で買えないのと、そんな繊細な演奏しないから大丈夫だろう!と思い、鍵盤をはめ込んでからキツそうな鍵盤だけ左右にグリグリッと揺らしまして、適当に調整しました。とりあえず普通に演奏する分には今のところ支障が出ていないですが。でも多分結構ダメな方法なので自己責任で。



鍵盤を一個一個はめ込んでいきます…ワクワク





調律をやろうという気がない訳ではなかったのですが、やはり餅は餅屋という事で、きちんと調律師の方にお願いしました。細かいアクション調整とかは専用器具や経験が必要なのでとりあえずは手を出さないことにしています。リスクが高そうなので…。
んでもって、とりあえずレストア完了!!




音の方は……エクセレント!!まさしくあのCPの音です!!(当たり前だけど)
生音も適度に小さくて、昼間ならアパートでもなんとか練習出来るかなと言う感じです。頑張って良かった!!
CPについて質問などがありましたら、cp80mania@mail.goo.ne.jpまで送っていただければ、わかる範囲でですがお答えいたします。といっても別に詳しい訳ではないので期待しないで下さい…。そしていつメールボックスをチェックするかもわかりません!(笑)