取材日記

税金のむだ遣いについて取材過程を書いてます。かなりきわどいことも書いてるので他言無用。

内部告発。

2005-07-14 | Weblog
郵政民営化の政府広報で「スリード」という小さな会社が1億5千万円もの受注を受けた。何の実績もない会社がなぜ受注できたのかというと竹中大臣の口利きがあったのではないかという疑惑がもたれている。

随意契約という不透明な方法、契約書を作ったのが2月8日にもかかわらずその日付は前年の12月28日。スリードからの請求書には日付がない。スリードは竹中大臣の岸博幸秘書官(経済産業省出身)の推薦でこの仕事を受注している。しかも、広報のターゲットとしてIQの低い層、具体例として「主婦&子供」「シルバー層」とわざわざ例示されている・・・。サンデー毎日の記事に詳しい↓

http://www.mainichi.co.jp/syuppan/sunday/tokusyuu/news/20050713-182250.html

ちなみに郵政民営化特別委員会の筆頭理事の山崎拓は「竹中のスキャンダルばっかりやらずに、麻生を叩いてくれ」と言ったそうだ。

でも、竹中も竹中で自民党参議院の議員総会に出席したことがなかったり、本会議に出席しなかったりで、自民党参議院内でも評判が悪い。

この問題のきっかけは実は内部告発。郵政民営化準備室有志という名前で、あるところにメールが送られてきた。政府の幹部職員が送っているようだ。この問題の経緯もよく分かるし、どれくらい詳細な内部告発だと役に立つかを考えるために、一部を転載する。

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メールにお返事頂きありがとうございます。新聞折り込みチラシ(1500万部、2月20日に地方紙への折込)作成にかかる経緯をくどくなりますが、まとめたものです。別添1,2,3,5はメールにて別途お送りします。また、別添4,6は明日ファックスいたします。

途中から準備室内での情報がシャットアウトされているため、不十分な部分もあろうと思いますが、聞いている限りでできるだけお伝えする次第です。

【経緯】
1.昨年8~9月前半頃の時点までは、内閣府の協力を得て、地方懇談会(タウンミーティング)の実施、「時の動き」「にっぽんnow」「パンフレット(いまだから民営化)」など既存の政府公報媒体を利用した基本方針の内容を広報する程度(この時期は基本方針が与党の了承を得ていないこと等に配慮していたところ)

2.竹中大臣就任(9月末)以後、郵政民営化の重要度認識が低いことが懸念され、政府をあげて積極的に広報を進めよとの指示があり、10月末に郵政民営化広報トータルプランを策定、諮問会議に提出(諮問会議のHPの資料参照)。郵政民営化のTVキャラバンの実施、準備室、政府広報室、内閣広報室などの連携をタスクフォースとして立ち上げる。(キャラバン事態の実施は竹中大臣のご発案だが、この時期ではまだ準備室、政府広報室の事務ペースで進んでいた状況。)

3.11月以降、竹中大臣から広報活動を進めるにあたり、民間人の意見を聞くようにとのアドバイスがあり、内閣広報室などの推薦で長澤忠徳(多摩美大)、田中里沙(宣伝会議)、川上和久(明治学院大学)、竹村健一のご子息、村尾信尚の意見を聞く。これらは別段、竹中大臣の推薦があった方々というわけではなく、参考意見として聞くにとどまった。

4.12月、積極的広報の展開を進める中で、政府広報室が統一キャンペーンマークを使えるからといった理由でTVキャラバンを含めて、電通を多用していることについて、竹中大臣が「電通の仕事は時々いいかげんだから・・・」とコメントし、同じキャンペーンマークを使いつつ、他の代理店も利用すべきなのか・・・といった雰囲気が生じた模様。

5.このような状況に置いて、内閣広報室・斉藤参事官より、12月15日に斉藤参事官が受領した「東ハト・コーポレートブランド室の谷部さんというから、積極的な提案」という資料が16日にメールにて送付(別添1メール)。注:このメールは前々から(内閣広報室が)意見を聞いていた、と書いてあり、確かに以前に一度、郵政民営化について数行の簡単な提案を聴取した様子がありますが、かなり型どおりのコメントであったと思います。

なお、この添付資料(パワーポイント資料)は「郵政民営化にあたってのコミュニケーション戦略提案」というもので、既に朝日新聞、週刊文春なども紹介したものです。

6.12月中旬以降、スリード社は岸秘書官の推薦であることが判明し、断りにくいものの、政府広報室はスリード社の契約実績がないことから利用を渋り、年始に欠けて、準備室との間でかなりもめた様子。何時の時点で電通とスリード社の間のデマケが決まったかは明確には分かりませんが(別添2メール)によると、電通から送られた資料(1月6日、7日)には電通分としてチラシが含まれていません。

7.このチラシ(フライヤー)は第一弾を竹中大臣とテリー伊藤の対談、第2弾を竹中大臣と村上龍との対談で2回やることが決まり、1月18日にラジオでテリー伊藤と対談を行う際に、併せてチラシのための対談をやることになりました(別添3メール)。その後、1が注を使いチラシを作成、2月3日には最終版をセット。

*明日(6月13日)、別添4としてスリード社ヤベ氏と岸秘書官が接触した内容についての資料をファックスします。

8.1月19日に政府広報室(山本参事官)からスリード社についての想定問答が送付(別添5メール)。竹中大臣了解。「日付の整理」として「スリード社からは12月15日にラフな素案が出てきて、24日に頼具体的な案をもとに先方からヒアリングもし、28日に幹部まで了解を取ってゴーサインを出した。契約の日付も28日までさかのぼってもらう」とされています。

*政府広報が実際に何月何日にどのような内容で随意契約を結んだかは不明。

9.2月6日に配布予定のところ自民党総務部会から民営化広報の中止決議が出され、逡巡するも、当面配布を延期。その際、竹中大臣からは一旦「2行分修正して再配布するためにはどの程度時間がかかるか」と聞かれ、3週間と答えたところ、そこまで待てないとのこと、また政府広報室より修正版の作成は予算的に無理との判断があり、結局、2月20日に修正なしで配布。