【解説・非法家族】 子は嫡出に非ず!子の国籍を剥奪し国外に放逐しようとした司法から子を奪還した違法者が語る異説

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7.日本民法の婚姻無効制度

2013年11月03日 | 重婚無効レポート
【7.日本民法の婚姻無効制度】

 では先ずは、馴染みの有る日本民法で「成立要件説方式」と「婚姻無効制度」がどのように実現されているかを見てみます。日本民法は、婚姻届けが創設的届出なので成立要件説方式です。
 本来自然発生するべき「一対の男女の夫婦となる意思を持った関係の形成」を見事に届出1本で法律上でも成立させ効力も生成する荒業を成しながらそれでいて簡潔明瞭。この1点だけでも日本民法は芸術的だと思います。

 日本民法の742条婚姻無効には事由が二つあります。

  1.当事者間の婚姻意思不存在
  2.婚姻の届出欠如

 民法742条第1項「当事者間に婚姻をする意思がないとき」は婚姻無効。
 「婚姻する意思」は効力発動の実質的要件ではありません。民法にはそのような規定は存在しません。
 しかし、結婚するためには婚姻意思を必要とする規定がちゃんと別にあります。

 日本国憲法 第二十四条
 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
 ○2  配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

 ここで云う“成立”が「法律婚の成立」という意味でないことは、第2項でそれらを法律に委ねていることからも明らかです。仮に「法律婚の成立」という意味だとしたら、民法の婚姻周りの規定は全て憲法違反になってしまいます。
 憲法24条は「婚姻の成立」を定義し、民法742条(婚姻無効)で再定義して個別の婚姻に適用できるように規定する。そういう構造になっています。
(はい,「婚姻の定義」は憲法24条でした.両性の合意のみに基いて成立した実体が婚姻でした)
 即ち、民法742条の「婚姻は、無効とする」の“無効”は「婚姻の成立」を無効としているわけです。
 だから「婚姻は無効とする」。「婚姻効力を無効とする」でも「婚姻に効力は無い」でもなく「婚姻という実体の成立が無効」。そういう意味の表記になっています。
 婚姻効力有無の規定はもちろん、実質的要件に違反した婚姻に適用される「取消し可能な婚姻」です。

  * 婚姻の成立を問う規定 → 婚姻無効
  * 婚姻の効力を問う規定 → 取消し可能な婚姻

 憲法24条「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立」する。その意を享けた条文こそが民法742条です。
 憲法24条と対比することで、民法742条婚姻無効は「婚姻の成立」を問う規定であることがわかりました。

 民法742条第2項「婚姻の届出をしないとき」は婚姻無効。
 婚姻届けをしないと効力は発動しないのですから、一見、もの凄く無意味に見えますが、実は重大な意味があります。
 民法742条は「婚姻の成立」を規定しているのです。
 だから、届出をしないと「婚姻が成立」しないのです。

 日本民法 第742条第2項
 当事者が婚姻の届出をしないとき。ただし、その届出が第739条第2項に定める方式を欠くだけであるときは、婚姻は、そのためにその効力を妨げられない。

 この規定が「但し書きを引き出すためだけの無意味な規定である」という珍説があります。
 但し書きの“その”が指すものは何でしょうか?
 1番目の“その”は万人一致で「第739条第2項に定める方式を欠く」でしょう。
 2番目の“その”は、“婚姻”ですか?
 だとしたら、742条は婚姻の効力を規定することになるから739条とセットでダブルスタンダード。嬉しいことに憲法の規定通り、婚姻意思を持つだけで婚姻の効力が発動してしまいます。
もちろんそんな訳はないのです。
 2番目の“その”の属性は“効力”。1番目は「739条」を指す。やはり「第739条」を指すことは明らかです。届出に瑕疵があったからといって実体である婚姻の成立を否定もできないから、わざわざ但し書いているのでしょう。後述しますが、「婚姻の成立」という法律状態には重要な効果が有るのです。
 但し書きを付けるのが目的なら、739条に1項増やして書き足せばよろしい。そのような目的のためにわざわざ742条に書き足す必然性が全くありません。
 上記珍説とセットで「民法は届出主義だから,739条にある“効力を生じる”という文言で“同時に成立もする”のだ」という駄節もあるようです。739条のドコから成立が出てくるのか全然わかりません。
 憲法で定義しその定義に照らして特定された実体である婚姻のその成立が、何処から出て来るのか。
 742条第2項を「意味が無い」と切り捨て、739条に有りもしない効果を後付ける?
 そのような判断は、法律を恣意する行為に他なりません。

 日本民法では「婚姻意思の存在」下で「婚姻届け」をすると742条に拠って「婚姻が成立」し、同時に739条に拠って「効力が発生」する。
 そういう構造になっています。
 「婚姻意思の存在」と「婚姻届け」、どちらが欠けても婚姻は不成立で実体がありません。
 当然に「一切の効果がない」こととなります。

 婚姻の成立: [婚姻意思] and [届出] → [婚姻成立] ・・・ (民法742条)
 効力の発生: [届出] + [婚姻実質要件] → [効力発生] ・・・ (民法739条)
 法律婚成立: [婚姻意思] + [届出] + [婚姻実質要件] = [婚姻成立] + [効力発生] → [法律婚成立]
 婚姻の無効: not[婚姻意思] or not[届出] → not[婚姻成立] ・・・ (民法742条)

 婚姻成立と婚姻無効は単純な論理式で示してみました。
 ある命題が真であるならば、その命題の対偶(裏の逆)もまた真です。(注:論理学の基本中の基本ですね)
 婚姻成立の対偶となる論理式は、“not[婚姻成立]→not[婚姻意思] or not[届出]”です。
 民法742条の条文は、この論理式を文章化したものであることが分かります。
 民法742条が真であるならば、婚姻成立の論理式“[婚姻意思]and[届出] → [婚姻成立]”は真です。
 これを文章化すると、「両性が婚姻する意思を持って届出すると婚姻は成立する」。
 こんなところでしょうか。
「法律は論理である」と云うのなら、[婚姻意思]+[届出]で742条に拠り法的に婚姻は成立します。
「いや,しない」と云ってしまうと、それは「法律は形式である」と云うも等価です。

 つまり、日本民法は742条第1項で「婚姻の成立要件」を規定することにより「婚姻無効制度」を実現し、742条第2項で「届出により婚姻成立」と規定することによって「成立要件説方式」を実現していることになります。後述しますが、成立要件説方式の実現は法律婚主義の実現にもなります。

 依って、日本民法婚姻無効は「婚姻の成立」を否定するが故に、見かけ上、遡及して婚姻は消滅し嫡出推定も作用しないので、認知がないことには父子関係は断絶します。婚姻成立と思っていたら実は婚姻ではなかった、ということです。
 法律婚成立即ち婚姻効力発動を否定するのではなく、効力発動の前提となる「婚姻という実体の成立」を否定するが故に民法742条にはその効果を記述する必要はない、一切の効果はないこととなります。
 ここで云う“婚姻成立”は本来当事者の自由意思によるべきですが、その成立要件は“婚姻意思”なので矛盾はありません。
 民法742条婚姻無効の根拠は憲法24条なので、法律内にはその根拠となる条文はありません。あえて云うなら、それは742条自身です。
それでも成立と発効の時間的ズレが気になるのでしょうか?
 日本の婚姻届けの署名欄近傍には小文字で「署名した当日中に提出云々」の文言が添えられていますが、よもや、このような文言で婚姻の法的成立を担保するわけもありません。
 この文言は婚姻届に、成立と発効、2種類の法律効果があることを示しています。但しこの「婚姻成立」と「婚姻効力発動」という2種類の法律効果は届出により同時発生します。


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