がらにもなく
和裁などに手を出したことがある
縫うのはゆかたまで、
と心していたはずなのに
お友達にさそわれて
おしゃべりするだけでいいや、と
その気になった
ざっと ひと昔にも
なるかなぁ
のんびり針を
持っているどころで
なくなって
そのまま
仕上げ 一歩てまえの
袷が 待っている
このあと、どうすればいいかは
ちゃんと教わったはずなんだけど
連休が明けると
治療にはいる
お友達が 快くなったら
きっと
いつか 手伝ってくれるさ
しょうがないひとね、
って・・・
いつか
かならず
和裁などに手を出したことがある
縫うのはゆかたまで、
と心していたはずなのに
お友達にさそわれて
おしゃべりするだけでいいや、と
その気になった
ざっと ひと昔にも
なるかなぁ
のんびり針を
持っているどころで
なくなって
そのまま
仕上げ 一歩てまえの
袷が 待っている
このあと、どうすればいいかは
ちゃんと教わったはずなんだけど
連休が明けると
治療にはいる
お友達が 快くなったら
きっと
いつか 手伝ってくれるさ
しょうがないひとね、
って・・・
いつか
かならず
とりどりの端切れが、でっかいファンシーケース3個分もある。
しかも、縫いかけ、作りかけがたくさん。
この洒落たピースは、どれと縫い合わせるの?
いったい何が完成する予定だったの?
身頃はどう見ても男物。
どうやらこの袖丈は父のらしいが。
続きはどうすればいいの?
不器用な娘にはまるで難解な模様編み。
でも、喜ぶはずだった人はもう旅立ってしまった。
パッチワークと編み物、洋裁に刺繍。
一日中、何かをしていたね。
「春になって家に戻ったら、朝から晩まで針仕事をするの」
認知棟の母は、今日も春を待っている。
手さげ袋、タペストリー、ベッドカバー。
父に着せたかったセーター。
時々取り出して眺めては溜息をつき、また同じ場所に仕舞うことしかできない、私は愚かな娘。
ねえ、おかあちゃん、どうすればいい?
天の河のごと流れゐらむよ