一晩寝かせた生地は、思いのほか柔らかかった。パスタマシンのローラーでもみ込んでゆけばしっかりしてくるかと思って試したが、かえって生地がヘナヘナになるばかり。要するに生地が完全にヘタれているのである。これまでに経験のないこと。原因を考えてみた。加水率は悪くないはず。寝かしも充分。そこで思いいたったのが温度である。冷蔵庫で熟成させたあと、そのままでは固くて伸ばせないので、しばらく室温でおいておいた。そしてその室温をはかってみたところ、夜の8時を過ぎているのに32度を超えていた。日中の温度を推し量るべしである。そう、おそらく熱にやられたのである。
なんとか無理やり伸ばして、打ち粉をして麺にする。麺にしてもヘタっている。隣どうしの麺がすぐにくっついてしまう。また打ち粉をしながらからんでいるところをほぐしてゆく。状況は最悪に近い。加水率が低くて生地がボソボソのときでも、まだ麺は麺の形をしている。これに対して生地がヘタってしまうと、フニャフニャになってしまって、麺の体裁を維持できない。すぐに食べる予定もないので、しばらく寝かしておかなくてはいけない。夜風にさらし、て水分を飛ばして、少しでも状況が変わることを祈る。
さて冷やしでたべるときのつけ汁のことだが、私は薬味に刻んだ青唐辛子を添えるのが好きだ。鮮烈な辛さが口の中をさっぱりさせてくれる。甘辛のダシと麺の甘味とベストマッチ。東京にいるころは、近所で青唐辛子が手に入ったので、夏の間は常備していた。さて、この近所では青唐辛子がなかなか手に入らない。アピタで韓国産青唐辛子を売っていたので試しみたが、まったく甘くも辛くもなくて、味のないピーマンみたいだった。高蔵寺農協で愛知産の青唐辛子があったが、これも辛くなかった。同じく高蔵寺農協に青ハラペーニョがあったが、おそらくこれなら辛いだろう。辛いだけなら、粉末の一味唐辛子を加えればいい。しかし、粉末唐辛子はざらっとした食感があり、麺をチュルチュルすすろうというときに邪魔である。わずかなことだが、これは大きい。チュルチュル感こそが冷やし麺の命なのだから。というわけで、刻み青唐辛子のかわりになるものはないかと考える。そして過去をふりかえる。そういえば、爽やかな辛さを出すいい方法があった。通称「赤水」と呼んでいたアレである。何も難しいことはない。サヤの唐辛子を刻んで、種も一緒に水で煮るのである。唐辛子の辛み成分はアルコールや油によく溶け出すが、煮込めば水にもある程度解け出す。しっかり煮込めば結構辛くなる。それも、苦味のない爽やかな辛さになる。これでゆこう。というわけで、鍋でお湯をわかし、そこへ刻んだ唐辛子、削り節、煮干しを投入し、弱火でじくじく煮込む。うまみと辛みがでていいダシになるだろう(と期待する。)。一通り煮込んでから濾して、みりん、酒、醤油で味付け。冷ましておく。さてどうなることやら。
麺を茹でてみた。やはり最悪の状況はかわらない。一部で麺がフヤフヤになっているのに、その他ではまだ芯が残っている。どうにも収集がつかない。適当なところで麺をあげる。茹で足りない部分が6割、茹ですぎが4割。
食べてみた。まずかった。モソモソして、冷やし麺のチュルチュル感がまったくない。最悪だ。付け加えると、つけ汁に唐辛子の辛みが出すぎた。食べるたびに口の中に辛みがまして、最後の方はとても苦痛だった。過ぎたるは及ばざるごとしである。
麺も汁も失敗。たまにはこういうこともある。次はうまくやろう。
なんとか無理やり伸ばして、打ち粉をして麺にする。麺にしてもヘタっている。隣どうしの麺がすぐにくっついてしまう。また打ち粉をしながらからんでいるところをほぐしてゆく。状況は最悪に近い。加水率が低くて生地がボソボソのときでも、まだ麺は麺の形をしている。これに対して生地がヘタってしまうと、フニャフニャになってしまって、麺の体裁を維持できない。すぐに食べる予定もないので、しばらく寝かしておかなくてはいけない。夜風にさらし、て水分を飛ばして、少しでも状況が変わることを祈る。
さて冷やしでたべるときのつけ汁のことだが、私は薬味に刻んだ青唐辛子を添えるのが好きだ。鮮烈な辛さが口の中をさっぱりさせてくれる。甘辛のダシと麺の甘味とベストマッチ。東京にいるころは、近所で青唐辛子が手に入ったので、夏の間は常備していた。さて、この近所では青唐辛子がなかなか手に入らない。アピタで韓国産青唐辛子を売っていたので試しみたが、まったく甘くも辛くもなくて、味のないピーマンみたいだった。高蔵寺農協で愛知産の青唐辛子があったが、これも辛くなかった。同じく高蔵寺農協に青ハラペーニョがあったが、おそらくこれなら辛いだろう。辛いだけなら、粉末の一味唐辛子を加えればいい。しかし、粉末唐辛子はざらっとした食感があり、麺をチュルチュルすすろうというときに邪魔である。わずかなことだが、これは大きい。チュルチュル感こそが冷やし麺の命なのだから。というわけで、刻み青唐辛子のかわりになるものはないかと考える。そして過去をふりかえる。そういえば、爽やかな辛さを出すいい方法があった。通称「赤水」と呼んでいたアレである。何も難しいことはない。サヤの唐辛子を刻んで、種も一緒に水で煮るのである。唐辛子の辛み成分はアルコールや油によく溶け出すが、煮込めば水にもある程度解け出す。しっかり煮込めば結構辛くなる。それも、苦味のない爽やかな辛さになる。これでゆこう。というわけで、鍋でお湯をわかし、そこへ刻んだ唐辛子、削り節、煮干しを投入し、弱火でじくじく煮込む。うまみと辛みがでていいダシになるだろう(と期待する。)。一通り煮込んでから濾して、みりん、酒、醤油で味付け。冷ましておく。さてどうなることやら。
麺を茹でてみた。やはり最悪の状況はかわらない。一部で麺がフヤフヤになっているのに、その他ではまだ芯が残っている。どうにも収集がつかない。適当なところで麺をあげる。茹で足りない部分が6割、茹ですぎが4割。
食べてみた。まずかった。モソモソして、冷やし麺のチュルチュル感がまったくない。最悪だ。付け加えると、つけ汁に唐辛子の辛みが出すぎた。食べるたびに口の中に辛みがまして、最後の方はとても苦痛だった。過ぎたるは及ばざるごとしである。
麺も汁も失敗。たまにはこういうこともある。次はうまくやろう。