アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

タミル語映画2本立ての日(下)

2017-08-16 | インド映画

続いてもう1本、『Vikram Vedha(ヴィクラムとヴェーダー)』をご紹介。ヴィジャイ・セードゥパティとR・マーダヴァンの主演作です。


『ヴィクラムとヴェーダー』 は古代の説話「ヴィクラマーディティヤ王とヴェーターラー」に基づいているそうで、冒頭、このお話がアニメで示されます。ヴィクラマーディティヤ王に幽鬼のヴェーターラーが取り憑き、耳元でお話を語る、というのが元の物語なのですが、映画では刑事ヴィクラムに対し、こんがらかった謎を解かせるためにヴェーダーが「その背後にはこんな話があるんだ」と語っていくというシーンが何カ所か用意されています。

ヴィクラム(R・マーダヴァン)は捜査チームのリーダーを務める有能な刑事ですが、悪人を逮捕するというよりも、いかに悪人を一掃していくかに心を傾けています。悪人のアジトに踏み込むと、ヴィクラムは情け容赦なく彼らを撃ち殺し、時には投降している人間に対しても銃を発射して、その後矛盾がないように偽装工作を整えます。チームのメンバーもだんだんと彼のやり方に慣れていき、逮捕よりも殲滅を目指すようになりました。

ヴィクラムたちが捕まえようとしてもなかなか捕まえられないのが、ここ数年の間に頭角を現してきたギャングの頭、ヴェーダー(ヴィジャイ・セードゥパティ)でした。ところがある時ヴェーダーが自首して来、その弁護士となったのがヴィクラムの妻プリヤ(シュラッダー・シュリーナート)だったので、ヴィクラムは驚きます。そんな時、ヴィクラムの親友である同僚の刑事サイモンが殉職する、という事件が起こります。サイモンの幼い息子は病気で、これから治療が必要な時に彼が殺されるなんてどういうことだ、とヴィクラムは怒りに燃えます。また、先にアジトに踏み込んだ時、ヴィクラムが殺したのがヴェーダーの弟だったことも判明、様々な謎が立ち現れてくるのですが...。

一度見たぐらいではなかなか理解が追いつかないストーリー展開で、カーヴェリ川長治さんのブログも参考にさせていただきました。時制も行ったり来たりするため、もう一度、しかも日本語字幕で見てみないと本当の面白さはわからない感じです。とはいえ、大好きなヴィジャイ・セードゥパティがたっぷりと拝めて、至福の映画でした。特に終盤に彼らしさが出ていて、それまでの強面の顔から飄々とした行動に移った時は、思わず拍手したくなりました。拍手と言えば、一番最初にヴィジャイ・セードゥパティが画面に登場した時、場内から拍手が起きましたっけ。やっぱり彼のファンは、シンガポールでも熱いんですね。

それにしても、タミル語映画は少し前から、悪人は殺して当たり前、という描写が目立ってきた感じがします。ヴィジャイ・セードゥパティ主演の『Sethupati(セードゥパティ)』(2016)でも、主人公の警部が逮捕者を人気のない野原に連れて行って後ろから頭をぶち抜く、というシーンが出てきましたし、警察が法律に依拠しないのではリンチと変わりません。それを映画で推奨してはだめじゃん!と思うのですが、面白ければOK、という感じなのでしょうか...。予告編はこちらです。

Vikram Vedha Official Trailer | R.Madhavan, Vijay Sethupathi | Sam C.S | Pushkar & Gayatri


レックスから外に出て、夕闇迫る中をセラングーン・ロードに沿ってムスタファ・スーパーマーケットに行ったのですが、途中のバザールの所でテレビドラマのロケらしき現場に遭遇しました。ご一家でお買い物、というシーンみたいで、タミル語放送のドラマのようです。

ロケ見物を終えてそのまま歩いて行くと、素敵なインド舞踊ウォール・ペインティングを発見しました。マレーシアでは、ペナンやイポーでウォール・ペインティングが人気になっていますが、シンガポールも始めたのでしょうか。

 

ムスタファは、セラングーン・ロード沿いにあった古い建物が取り壊され、今度は19階建てのビルに生まれ変わるようです。今のところ奥の方の建物だけで営業しているムスタファですが、いっぱい品物があって手狭なので、新しいビルの下層階を何階分か使ってデパートのようになってくれるといいなあ、と思っているのですが、はてさて。とはいえ、今回もムスタファではほしいDVDは3分の1ほどしか手に入らず、DVD棚のスペースもぐっと減っていました。そのうち、DVDの発売自体がなくなるかも知れませんね...。



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