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ねこ寺にて

2013-10-15 14:11:55 | 日記

10月の初め、ある研修会があり、福井県越前市武生の御誕生寺(ごたんじょうじ)に行ってまいりました。

御誕生寺というお寺は、瑩山禅師(けいざんぜんじ)がお生まれになられた地に前の大本山総持寺の禅師様、板橋興宗禅師がお建てになられたお寺でございます。猫がたくさんおり、現在は三十人の雲水に対し八十匹の猫がいる「ねこ寺」で、私も猫好きなものですから非常に心安まるお寺です。

そこに参りまして禅師様にご挨拶にお伺いしたところ、禅師様が私の顔を見るなり「あれ!角田の長泉寺の住職か?本物か?」と、こう言うわけです。禅師さんと私は何度もお会いをしておりますので、今さら本物の住職かと言われて私も閉口したのですけれど、これは禅で言う常套手段でございまして、即座に私は「はい、住職という職の辞令を戴いてはおりますが、本物の住職か本物の僧侶かと言われますと自信がありません」と、こう答えたら「上手いこと言うな」と、にやりと笑われました。

修行と言う話を皆さんよくされるようですけれど、修行に参りますと最初に「あなたは何処からやってきたのですか?」と老師から大体質問されます。そこで、「私は仙台から新幹線に乗り総持寺にやってまいりました」などと返事をすると、「そうですか、それならお茶でも飲んで帰りなさい」、まあこういう具合に言われてしまいます。それは、あなたはどういう境涯(きょうがい)、すなわちどういう心境でやってきたんですかと質問されているわけです。ですからそこで「はい、私は大本山総持寺で修行する。そういう心境でやって参りました」と答えると、「そうか、じゃあちょっと修行でもしてみるか」と許されるわけです。

さて最初の話に戻りますが、「あなたは本当の住職ですか」と質問されるのと「本物の住職ですか」と質問されるのでは、言葉は似てますけれどちょっと質問の内容が違います。「あなたは、誰々さんのお父さんですか」こう聞かれ、更に「本当のお父さんですか」と聞かれたのと「(お父さんとして)本物のお父さんですか」と聞かれたのではちょっと質問が違うことに気づかれるでしょう。私も「本物の人間」「本物の自分」になるように生きたいものだなと思いながら、禅師様とお話をさせていただき帰ってきました。