病院設計者のブログ

病院・診療所の新築・建替・リフォームに関する事や、その他色々な事について書いていきます。

診療所を開業する場合のスケジュールの立て方

2013-09-17 | 医業経営

今回は診療所を開業する時に

気をつけなければならない事に

ついて書いていきます。

 

診療所を開設する時には、保健所や

厚生局等へ様々な書類を提出しなけ

ればなりません。

 

まず最初に、保健所へ開設届けを提出

する必要があります。その後、社保や

国保から診療報酬を受取る為の、保険

診療機関指定申請書を地方厚生局へ

提出します。

その後各厚生局から、保険診療機関指定

を受け、始めて診療が行えるようになります。

 

ここで重要なのが、保険診療機関指定申請

のタイミングです。

 

各厚生局は、それぞれ、締切日を設定して

います。

 

たとえば、7月1日に開業予定のクリニックが

あるとします。

締切日が10日の厚生局の場合、7月1日に

指定が必要になりますので、前月の10日

である6月10日までに保険診療機関指定

申請を提出しなければならないという事です。

 

6月11日に指定申請を提出したら、指定を

受けられるのが、8月1日となり、1ヶ月も

開業が遅れてしまうことになります。

 

ですので、この締切日を最重要ポイントとして

スケジュールを立てる必要があります。

 

保険診療機関指定申請書には保健所

へ提出した開設届けの写しが必要とな

りますので、指定申請までに、開設届け

を提出して、写しを手に入れておかなけ

ればなりません。

 

開設届けの写しは、保健所の受付印

が押されているものでなければなりま

せんので、同じ内容の開設届けを2部

準備して保健所へ提出します。

 

ここがまた、重要ポイントです。

 

医療法では、「診療所を開設した場合、

10日以内に開設届けを提出しなけれ

ばならない」とあります。

 

ということは、言い換えれば、届出なの

だから、クリニックを開設した後に書類を

提出すれば良い。

という事になりますから、診療所の建物

が完成していれば、開設届けを提出す

れば、受付印を押して返却してくれると

思ってしまいます。

 

しかしながら、実際は、異なる場合が

ほとんどです。

 

開設する前に保健所へ建物プラン

や診療時間、診療内容等の事前

打合を行い、開設届けを前もって

提出し、保健所の職員がクリニック

に立入り検査を行い、問題が無い

ことを確認した後に、保健所の印

を押した開設届けの写しを返却

する。という、形をとる保健所が

かなりの数あります。

 

ですので、保険診療機関指定申請

の締切日の数日前に、開設届けを

保健所へ持って行っても、建物に

問題指摘があったりして、受付印

を押した写しを返却してもらえず、

締切日に間に合わず、開業日が

遅れてしまう事になってしまうことが

有り得ます。

 

これは、届出制ではなく、実質許可制

になっているので、保健所のやっている

ことは、おかしいのですが、ここでは

その是非はおいておきます。

 

大切なことは、これらの状況をしっかり

踏まえて、開業までのスケジュールを

たて、建築工事や、機器の発注などを

調整を行う必要があるという事です。

 

保健所の立入り検査が行われる

段階では基本的には、すぐに診療

が開始できる状態である必要があ

ります。

 

ということは、指定締切日前に保健所

検査を受けていなければならないので、

建築工事は少なくとも開業1ヶ月前に

は終わっている必要があります。

 

建築工事や内装工事が終わっている

だけではなく、X線機器等の医療機器

はもちろんの事、診察机や処置ベッド等、

全て整っている必要があります。

 

院内掲示や室名表示なども全て準備

していなければなりません。

 

建築工事はこれら以外にも、消防署や、

役所などの建築検査もありますので、

全てをトータル的に把握することが、

大変重要になってくると思います。

 

予定のスケジュールがたった1日づれても、

指定申請が1ヶ月遅れ、開業が延びてしまい、

明日にでも開業できるという状態をつくっ

ていながら、2ヶ月間も診療ができずいる。

という事が起こる可能性があるのです。

 

それに、従業員の給料の問題も大きく

関わってきます。

 

病院・診療所の建築設計を行う設計者は

建築・内装工事の工程管理だけでは無く、

医療機器の搬入時期との調整や、その他

申請関係のスケジュール調整など、開業

までの一連のスケジュール管理をしっかり

行ってもらう必要がありますので、開業日に

ついては、設計者とは最初の段階から、十分

に話し合って進めていくことが、大変重要で

あると思います。

 

医療環境デザイン研究所

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただし、完全自費のみで保険診療をしない

場合は、異なります。

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医業経営について

2013-09-11 | 医業経営

今回は、病院・診療所の建築設計に

ついての話ではなく、医業経営に関して

の事柄を書いていきます。

 

私は病院・クリニックなどの建築設計を

専門にしていますが、それらを設計

するには、医業経営に関しての知識を

持っている必要があります。

 

建築の設計だから、医業経営なんて

直接関係無い様に思えますが、

実はそんな事は無いのです。

 

たとえば、設計者が、特別療養環境室、

いわゆる差額ベッド、について知識が

ないまま病室を設計した場合、全く差額

ベッド代が取れない、という事もありえます。

 

それ以外にも、診療報酬についての

施設基準の知識が全く無いと、

リハの算定ができない。

部屋が足りないので加算が取れない等、

あれができない、これができない。

という事が出てくる可能性があります。

 

細かな部分まで、知っている必要は

ありませんが、ある程度の医業経営

の知識は最低でも持っている必要

はあると思います。

 

私は、建築に関する事だけでなく、

より多くの医業経営の知識を

積み重ねる事で、より良い病院の

建物が、設計できると考えております。

 

それらを勉強するため、

医業経営研鑽会という会に

所属しております。

 

医業経営研鑽会とは、正確な知識、

高い見識及び社会的責任感や倫理観を

持ったプロフェッショナルと呼べる医業経営

コンサルタント育成を目的とした非営利団体です。

 

税理士、公認会計士、行政書士、経営

コンサルタント、一級建築士等、医業に

特化したプロフェッショナル達を主メンバー

とし、医業経営に関する様々な知識や情報

を提供共有し、その知識を活かす見識を

備える為の研鑽を積む場です。

 

そこでは、会員の顧問先など実際の医業の

現場で現在起こっている、具体的な問題が話し

合われ、それぞれの立場から、様々な意見や

アドバイスが得られるので、他の病院・診療所にも、

すぐに役に立つ情報がたくさん集まってきます。

 

今後は、それらについても、「産婦人科の設計」、

「病院の建築設計」とあわせて、書いていきたいと

思います。

 

医療環境デザイン研究所

 

 

 

 

 

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