昨日の「ためしてガッテン」、「大腸性過敏症」がテーマだったんですけど、なんと、腸の動きを制御してるのが「セロトニン」だったんだそうで、セロトニンってこんなところでも働いていたのか~と意外でした。セロトニンって、ゲームで勝った時とかに出る神経伝達物質でしたよね。
番組では、脳がストレスを受けてしまうと、腸のセンサー細胞がセロトニンを大量に放出させてしまい、それによって腸が目茶苦茶に収縮してしまうということでした。普段は、センサー細胞がセロトニンの量を調節して、巧みに腸を動かしているんだそうです。「腸は第二の脳」って言っていましたね~。
平滑筋は単純に動くだけじゃなく、それ自身でシグナルを隣に伝達していく、神経に近い機能が発達しているそうで、波打つように滑らかに動けるということが特徴です。人間の大腸は、動力系とスイッチ・ブレーキ系が見事に調和した究極の姿なのかもしれません。
新緑の頃、木の枝で蛾の幼虫がグロテスクなウェーブダンスをしていますけど、あの気持ちの悪い動きも平滑筋なのかも!?
さて、ストレスにさらされて、腸が制御不能な状態になっても、人によっては、元の状態に回復する人と、そうでなくて、いつまでも腸が異常な動きをし続けてしまう人とがいるそうです。
セロトニンには痛みを増強する作用があるそうですので、腸のちょっとした動きが痛みとして知覚され、これによって、ポジティブ・フィードバックみたいになって、ストレス状態そのものが持続して暴走してしまうとも考えられますね。ある意味無限ループみたいな。
セロトニンというと、どうしても「やる気」とか「優越感」みたいなものを連想してしまいますけど、実際には人体の様々なところで働いていそうですね。
よくアフリカとか中近東の方でバッタの色が変わって集団で大飛行したりする現象があって、「ヨハネの黙示録」でも連想するのか海の向こうではとても気味悪がられますけど、これが実は、セロトニンと関係があるんだそうです。(※今月の「Newton」、下に記事全文)
人間の気分感情でいうと、セロトニンが不足するとモチベーションが低下したり、不安感、欠乏感、焦燥感が起こってきますが、そこへセロトニンが供給されるとそれらの↓な気分は収まり、達成感や安心感に満たされたり、気分が朗らかに↑なってきます。だから人間はそういうときに甘いものを食べたり、お酒を飲んだりするんですね~。
人間はお腹が空くとイライラしたり、集中力が低下したりしますが、血糖値が上昇すると一時的にセロトニンが出るんだそうです。でも血糖値が上がりすぎると、今度はインシュリンが出すぎてしまうので、血糖値がガクンと落ちて、気分が低下してしまいます。だから飲み過ぎはよくないんですね~。
いつも貧乏揺すりをしたり通路を行ったり来たり、無意味な反復動作をしてる人、お金でも何でも他人より多く確保していないといられない人や、自分の部下がいつも無駄なくフル稼働していないと不安でたまらないといった人も、やっぱりセロトニンを欲しがっているんでしょうね。けれどもこうした向セロトニン的行動は、かえって周囲にストレスを与えてしまいますので、困ったものです。
せっかく自分がいい気分になっても、それで周りの人のストレスが溜まってしまうんじゃ、ジレンマではないかと…。
やっぱり他人に迷惑をかけないストレス解消法は、ゲームとかスポーツ、そしてやっぱり釣りですね~!
ほかにも猿山のボスザルだとか、テキパキ系のキャリアウーマンなどのセロトニンレベルが高いという話もありますし、また、セロトニンレベルが高い人は太りにくいという報告もありますね~。
セロトニンは近年うつ病との関連性が高いといわれ、研究が進んでいる物質です。といっても、セロトニンの受容体に問題があるのか、それとも再取り込み輸送体なのか、あるいはセロトニンの量そのものなのかハッキリとしません。
複雑なセロトニン伝達系のシナプス
うつ病とセロトニンの研究が進んだのは比較的最近のことで、1960年代頃はセロトニンではなくノルエピネフリン(ノルアドレナリン)で説明されてきたほどで、セロトニンとうつ病との関連性が高いことはほぼ間違いないものの、まだまだわからないことが多いということなんですね。
アメリカでは高額な国家予算が投じられてきたそうですし、また日本でも、こういった研究は盛んに行われていますが、どうしても“効くのか、それとも効かないのか”という、新薬の創出の方向へ行ってしまうので、原因の究明から遠ざかっていくようで、何だか抗うつ剤が投薬されてる人が実験動物みたいでかわいそうになってしまいます。
さて、人間の場合、この症状にはこの伝達物質が関係してるというところまでは分かるわけですけど、神経・ホルモンネットワークがあまりにも複雑すぎて、さらにまた、高度な学習能力のせいで、自分が混乱してるのにもかかわらず、混乱した状況そのものに順応してしまうという可能性もあるんで、つかみ所がないというところが厄介ですね。あっちこっちで“無限ループ”みたいになってる可能性も否定できないわけです。
でもバッタみたいな下等動物でもセロトニンを作り出して、何かの目的に利用してるわけですから、エビとか、イカとか、お魚さんの刺激に対する反応とか、記憶・学習といったものを調べていけば、いろいろ役に立つことが分かるかもしれません。
※「Newton」2009年5月号より
「群れさせる化学物質」
砂漠地帯に生息するある種のバッタは、単独で行動するときと集団で群れをなしているときでは、外見や行動の様子がまったくことなる。このような変化が起きる仕組みについては、これまでよくわかっていなかった。
イギリス、オックスフォード大学のアンステイ博士らは、バッタの行動の変化に「セロトニン」という神経伝達物質が関与していることを発見した。単独でいるバッタを集団の中に置くと数時間で行動が変化し、その間に体内のセロトニン濃度が上昇していた。また単独でいるバッタにセロトニンを注射したところ、バッタの行動が集団型に変化した。バッタは集団の中に置かれることで、ほかのバッタを見る、においを感じる、接触するといったさまざまな刺激を受け、セロトニン濃度が上昇するのだという。
さらに研究が進めば、バッタが群れになったり単独で行動したりすることを制御できるかもしれない、と博士らは考えている。(出典:Science 2009年1月30日号)
番組では、脳がストレスを受けてしまうと、腸のセンサー細胞がセロトニンを大量に放出させてしまい、それによって腸が目茶苦茶に収縮してしまうということでした。普段は、センサー細胞がセロトニンの量を調節して、巧みに腸を動かしているんだそうです。「腸は第二の脳」って言っていましたね~。
平滑筋は単純に動くだけじゃなく、それ自身でシグナルを隣に伝達していく、神経に近い機能が発達しているそうで、波打つように滑らかに動けるということが特徴です。人間の大腸は、動力系とスイッチ・ブレーキ系が見事に調和した究極の姿なのかもしれません。
新緑の頃、木の枝で蛾の幼虫がグロテスクなウェーブダンスをしていますけど、あの気持ちの悪い動きも平滑筋なのかも!?
さて、ストレスにさらされて、腸が制御不能な状態になっても、人によっては、元の状態に回復する人と、そうでなくて、いつまでも腸が異常な動きをし続けてしまう人とがいるそうです。
セロトニンには痛みを増強する作用があるそうですので、腸のちょっとした動きが痛みとして知覚され、これによって、ポジティブ・フィードバックみたいになって、ストレス状態そのものが持続して暴走してしまうとも考えられますね。ある意味無限ループみたいな。
セロトニンというと、どうしても「やる気」とか「優越感」みたいなものを連想してしまいますけど、実際には人体の様々なところで働いていそうですね。
よくアフリカとか中近東の方でバッタの色が変わって集団で大飛行したりする現象があって、「ヨハネの黙示録」でも連想するのか海の向こうではとても気味悪がられますけど、これが実は、セロトニンと関係があるんだそうです。(※今月の「Newton」、下に記事全文)
人間の気分感情でいうと、セロトニンが不足するとモチベーションが低下したり、不安感、欠乏感、焦燥感が起こってきますが、そこへセロトニンが供給されるとそれらの↓な気分は収まり、達成感や安心感に満たされたり、気分が朗らかに↑なってきます。だから人間はそういうときに甘いものを食べたり、お酒を飲んだりするんですね~。
人間はお腹が空くとイライラしたり、集中力が低下したりしますが、血糖値が上昇すると一時的にセロトニンが出るんだそうです。でも血糖値が上がりすぎると、今度はインシュリンが出すぎてしまうので、血糖値がガクンと落ちて、気分が低下してしまいます。だから飲み過ぎはよくないんですね~。
いつも貧乏揺すりをしたり通路を行ったり来たり、無意味な反復動作をしてる人、お金でも何でも他人より多く確保していないといられない人や、自分の部下がいつも無駄なくフル稼働していないと不安でたまらないといった人も、やっぱりセロトニンを欲しがっているんでしょうね。けれどもこうした向セロトニン的行動は、かえって周囲にストレスを与えてしまいますので、困ったものです。
せっかく自分がいい気分になっても、それで周りの人のストレスが溜まってしまうんじゃ、ジレンマではないかと…。
やっぱり他人に迷惑をかけないストレス解消法は、ゲームとかスポーツ、そしてやっぱり釣りですね~!
ほかにも猿山のボスザルだとか、テキパキ系のキャリアウーマンなどのセロトニンレベルが高いという話もありますし、また、セロトニンレベルが高い人は太りにくいという報告もありますね~。
セロトニンは近年うつ病との関連性が高いといわれ、研究が進んでいる物質です。といっても、セロトニンの受容体に問題があるのか、それとも再取り込み輸送体なのか、あるいはセロトニンの量そのものなのかハッキリとしません。
複雑なセロトニン伝達系のシナプス
うつ病とセロトニンの研究が進んだのは比較的最近のことで、1960年代頃はセロトニンではなくノルエピネフリン(ノルアドレナリン)で説明されてきたほどで、セロトニンとうつ病との関連性が高いことはほぼ間違いないものの、まだまだわからないことが多いということなんですね。
アメリカでは高額な国家予算が投じられてきたそうですし、また日本でも、こういった研究は盛んに行われていますが、どうしても“効くのか、それとも効かないのか”という、新薬の創出の方向へ行ってしまうので、原因の究明から遠ざかっていくようで、何だか抗うつ剤が投薬されてる人が実験動物みたいでかわいそうになってしまいます。
さて、人間の場合、この症状にはこの伝達物質が関係してるというところまでは分かるわけですけど、神経・ホルモンネットワークがあまりにも複雑すぎて、さらにまた、高度な学習能力のせいで、自分が混乱してるのにもかかわらず、混乱した状況そのものに順応してしまうという可能性もあるんで、つかみ所がないというところが厄介ですね。あっちこっちで“無限ループ”みたいになってる可能性も否定できないわけです。
でもバッタみたいな下等動物でもセロトニンを作り出して、何かの目的に利用してるわけですから、エビとか、イカとか、お魚さんの刺激に対する反応とか、記憶・学習といったものを調べていけば、いろいろ役に立つことが分かるかもしれません。
※「Newton」2009年5月号より
「群れさせる化学物質」
砂漠地帯に生息するある種のバッタは、単独で行動するときと集団で群れをなしているときでは、外見や行動の様子がまったくことなる。このような変化が起きる仕組みについては、これまでよくわかっていなかった。
イギリス、オックスフォード大学のアンステイ博士らは、バッタの行動の変化に「セロトニン」という神経伝達物質が関与していることを発見した。単独でいるバッタを集団の中に置くと数時間で行動が変化し、その間に体内のセロトニン濃度が上昇していた。また単独でいるバッタにセロトニンを注射したところ、バッタの行動が集団型に変化した。バッタは集団の中に置かれることで、ほかのバッタを見る、においを感じる、接触するといったさまざまな刺激を受け、セロトニン濃度が上昇するのだという。
さらに研究が進めば、バッタが群れになったり単独で行動したりすることを制御できるかもしれない、と博士らは考えている。(出典:Science 2009年1月30日号)