♪♪ 私の お寺ライフ ♪♪

 ブログアップして8年目に突入。相変わりませんが、私の「如是我聞」をお送りします。南無阿弥陀仏

慶聞抄 2017年11月号

2017-10-20 16:08:41 | 随想
慶(きょう)聞(もん)抄(しょう)  2017(平成29)年11月号
(NO・48) 了雲寺 釈幸華


 
満願 親鸞聖人 縁の旅

5年前に始まった津村別院「縁の旅」。とうとう最後の年となりました。10月4日からの2泊3日。定例の仏女の集まりを変更してもらって臨みました。 

関東での布教を終え、その帰途のあちこちを巡るのだと勝手に想像していたところ、随行の今井先生からそれだけでなく、55、56歳ごろから帰京される60歳ころまで、布教伝道にあたられた神奈川(相模国)の縁の地を訪れるのだとお聞きしました。42歳の時に越後から関東へ移られたのは、一般の人たちは勿論のこと、鎌倉幕府の執権に教えを説くことだったようです。以下にとりわけ印象深く思われたところを記します。

真宗大谷派 永勝寺


住職さんが手に取っておられるのが、親鸞聖人が枕に使っておられたという木だとか。境内には、親鸞聖人が仏前にお供えするご飯を炊くために掘ったとされる井戸が、今も清水を貯えていました。

第3代執権・北条泰時は、伯母の政子(源頼朝の妻!)の供養のために、一切経奉納を計画しました。その校合(きょうごう=校正)の依頼が聖人にあって、住職が門弟であるこのお寺で作業されたということです。数年前に承久の乱があり、朝廷軍を打ち破った鎌倉武士の拠り所、鶴ケ丘八幡宮の真北約6キロの地点にあります。

本願寺派 弘徳寺

厚木市飯山の当寺は、聖徳太子の発願で建てられた地蔵堂で、そこに訪れた聖人が念仏道場としたのが始まりとされています。二十四輩と呼ばれる、聖人のお弟子の第5の信楽(しんぎょう)に託されました。寺伝では。

この信楽は、若いとき京都で聖人の指導を受けていましたが、経典の読み方で自分の意見に固執して聖人に叱られ、門下にいられなくなり故郷に帰りました(口伝鈔)。長い年月の後、聖人の曽孫の覚如が関東に来た時、老年になった信楽がかつての振る舞いをお詫びして門下に戻してもらったそうです(遺徳法輪集)。寺伝では聖人在世中に京都に行ってお詫びして許されたとされています。

また、お寺の墓地には聖人の息子・善鸞のお墓がありました。聖人のご法義とは違うことを言って義絶されたあの人です。墓地の崖を利用した鎌倉時代の豪族の墓所に特徴的な土饅頭型のお墓ですが、現在は表面がコンクリートで固められています。その上に植えられた楠が繁茂して困っていると言う住職さんに、今井先生がここを掘ったら、いろんなものが出てくるのではと、半ば本気で学者らしく迫っておられました。

真宗大谷派 真楽寺・勧堂(おすすめどう)

小田原市国府津。時の住職が相模国を布教していた聖人に帰依したといいます。境内の帰命堂内に、聖人が指で記したとされる十字名号などが彫り込まれた帰命石。

門前は東海道、斜め向かいに聖人が教えを説いたと伝えられる勧堂の址。その裏手には相模湾が広がっています。ただでさえ風光明媚で気持ち良いところに、ご法話が聞けると多くの人々が寄り集まられたことは想像に難くありません。

蓮如さんの謡曲にも謡われています。
     
       「あら嬉やこれは早や相模国江津にてありげに候。所の人を相待ち、御旧跡を尋ふずるにて候」(国府津)

笈(おい)の平

いよいよ聖人が帰京される道筋に向かいます。箱根峠へ上って行く途中の国道に旧道が現れ、平らな面が直立した大きな岩に聖人の旧跡を示す字が彫られています。ここが伝承に名高い、見送ってきた門弟の性信と別れたところです。お別れの時、聖人が詠まれたとされる歌の一つ。

        恋しくば 南無阿弥陀仏と となふべし
        我も六字の 道にこそすめ

箱根神社

 
明治初年までは、箱根権現と呼ばれていました。帰京される時、ここを訪問して歓迎されたことが「親鸞伝絵」に記されています。それは、ここの領主が聖人の法兄である聖覚だったからです。彼は、北条政子の三回忌が鎌倉で行われた時の導師でもありました。聖覚が著した「唯信抄」を聖人は何度も書写して門弟に与えているし、「恩徳讃」は法然聖人が亡くなって六七日の法要に彼が書いた「表白(ひょうびゃく)」の文がもとになっているといいますから、聖人はよほど聖覚さんを尊敬しておられたのですね。
   
妻の恵信尼さまをはじめお子たちと共に暮らされた壮年期の足跡を辿ることで、グッと身近に聖人を感じることができました。このような機会をくださった津村別院と、随行の先生方や係の方々には、本当に感謝です。願わくは、後の人々のためにも、聖人の聖跡が失われることのありませんように。 南無阿弥陀仏。

*お寺カフェ 11/15 12/20     合掌
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