ひざっこぞうのがんばるブログ

スキルス胃ガンになっちゃったバツイチ母の闘病メインだけど他にもいろいろ書いちゃう日記

がん相談室なるものに行ってきました

2008-07-25 | 闘病生活
セカンドオピニオンを取るほどではないけれど
やはり違う病院の医師の話も聞いてみたいと常々思っていたところ
都心にがん相談室「蕩々(とうとう)」なるものを見つけ
思い切って予約を取り、昨日行ってまいりました。
主治医の紹介状や資料があればもちろんのこと
なくても相談に乗ってくれますし
患者の家族がこっそり来てもOKというところです。
私は、とくに治療内容については疑問を持ってはいないので
I医師には内緒で行ってみました。

いつ解体されてもおかしくないような古びた雑居ビルの一室。
取ってつけたような、そこだけ重厚な扉を開けると
我が家がそっくり飲み込まれてしまいそうな巨大な応接セットがあり
適度にお若く、非常に美しく、過剰に愛想のいい女性が2人
満面の笑みで出迎えてくださいました。

ソファへ案内されましたが、いったん背もたれに体を預けてしまったら
二度と立ち上がれなくなりそうなほどクッションはふかふか。
これまた巨大な液晶テレビには、滝やせせらぎの映像が優雅に流れ
その隣にある、ここまで大きい必要があるのかと思うほどの柱時計は
まるで除夜の鐘のような時報を打ち鳴らしておりました。
私はなんというところへ来てしまったのだろうと、ちょっとドキドキ。
ここはひょっとして、治療に多額のお金をかけられるような
セレブな方々が利用なさるところなのでしょうか。。。

問診表に記入し、診療の経過をワープロでまとめた資料と主な検査結果と
デジカメで写したレントゲン写真を女性スタッフさんへ手渡し
いざ診察室へ。

担当してくださったのは、癌研有明病院の顧問で消化器系専門のN医師。
HPの写真で見るよりちっちゃい、いや、小柄。
立場上あんまり笑っちゃいけないけど、実はおもしろい話が大好きなんです、といった雰囲気。
(勝手にそう思っただけ)

診察室と言うよりは、どこかの社長室みたいな感じのお部屋で
丸1時間かけてじっくり話を聞いていただけました。

私が聞きたかったのは、やはり今続いている下痢と体重減少について。
なにか他に原因は考えられないのか、対処法はないのか
手術をしたらやはりこれはどうしようもないことなのか
専門家の意見を聞きたかったのです。

結果は、やっぱり手術後の後遺症と考えていいのではないかということでした。
ただ、下痢の起こるメカニズムについて詳しく話してくださいました。

普通、味付けの濃いものや甘いもの辛いものなどを食べても
胃の中で他の食べ物や水分と混ざり、濃度は中和されて小腸へ送られます。
でも私の場合、そのまま小腸へ入るため
そこで濃度を中和するのに大量の水分を必要とします。
そうすると小腸は、入ってきた食べ物から栄養を吸収するどころか
逆に栄養とともに一刻も早く体外へ排出しようとして
体内からできる限りの水分をかき集めるので
下痢が起こり、脱水症状や栄養失調に陥るのだそうです。

なるほどね~。
目からうろこってこういうことなんでしょうか。
ものすごく納得のいく説明でした。
これなら、手術後ある程度食べられるようになってから下痢が起き始めたことも
説明がつきます。
私は「普通のもの」を食べ始めるのが早すぎたんですね。
そういうことなら、薬に頼らなくても自分で調節していけるんじゃないかと
安心しました。

N医師から注意されたことは
1.味の濃いものをいきなり食べない
2.少しずつ食べ始める
3.食事と一緒に水分をたっぷり取る

やっぱり専門の先生の話を聞いてみてよかったと思います。

ただ、パスタを食べたときのめまいについては
やはりはっきりとした答は得られませんでした。
ダンピング症状というのは、食べ物によって症状が違うということはあまりないそうで
かといってアレルギーでもなさそうだし、少しずつ様子を見ていったらどうですか、と。

手術後、食事に関する指導がなにも受けられなかったと話すと
この先生、おもしろそうにうなづいていました。
「わかりますよ、栄養指導というのは、食べられないものばかり増えて困るんですよ」と。
I医師が言っていたように
指導を受けると「あれもダメこれもダメ」と言われるばかりでおもしろくないから
受けさせないのも正解かもしれません、と。
実際この先生も「そのくらい食べたっていいんじゃないの?」と口を挟んで
栄養士さんに怒られたことがあるとか。
ふ~ん、そうなんだ。
指導が受けられなかったのは、I医師の個人的な好みの問題じゃなかったのね。

現在受けている治療については、お墨付きをいただいてきました。
癌研のような専門病院でも、これだけの治療はできません、と。
この先生「そんなに正直に話しちゃっていいの?」と思うくらい
ご自分の病院での治療の限界についても聞かせてくださいました。
もし私が今後、病状が悪化して治療よりもメンタルなケアを必要とするようになった場合
癌研ではどの程度のケアをしてくださるのかと聞いてみましたが
それもあまり充実してはいないとのこと。
国立がんセンターなどに行ったほうがいいかもしれない、とのことでした。

今後、もしもそうやって転院を希望するのであれば
もちろん今の担当医と相談も必要ですが
その上で、適切な病院を紹介していただくこともできるのだそうです。

正直で、とても話しやすく、わかりやすい説明をしてくださる先生でよかったです。
とくに目新しい発見というのはありませんでしたし
これで解決!というお薬が見つかったわけでもありませんが
今の状況をちゃんと納得できて
I医師の治療方針もあらためて信頼できる結果になりましたので
無駄ではなかったと思います。

ただ初診料が自費で31500円なり、はちょっと高いかな。
もうちょっと内装を庶民的にして、少しお安めにしていただけると
またなにかあったら来ましょう、という気になれるんですけどね。。。

この先生の第1印象、あながち間違いではなかったと思います。
違う場所で違うお話をしたら、きっと楽しい方だっただろうと思うと
ちょっと惜しいです。


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3 コメント

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Unknown (てつ)
2008-07-26 04:01:48
正直で感じのよい先生にめぐり会えて、よかったですね。
主治医のほかに相談できる頼りになる先生の存在は、とても貴重ですものね。

実は、私の父もダンピング症候群に苦しみました。
食後1~2時間だというのに、採血すると血糖値が60もなくて、診察に呼ばれる前に看護師さんが慌ててやってきて、飴をなめさせてくれたりしたこともありまし、
普段は高血圧の父ですが、そういう時はかなり血圧が低くなっていました。

父の場合、体力が落ちている時にダンピング症状が強くでました。
そこで、漢方専門薬局に行き、体質とその時々の状態に合わせて漢方薬を処方してもらい、その漢方薬が合うようなら同じ漢方薬を病院で処方してもらうようにして、対処していました。
だって、外科医は漢方はあなり得意ではないようなので・・・

余談ですが、漢方薬局の先生によると、怒りは肝に入り熱をもち、悲しみは肺、驚きは腎、思い悩むと脾胃にくると言っていました。
この場合の脾は、脾臓ではなく胃腸で消化した食物を元気のエネルギーに換える役目をする器官のことだそうです。
ただ、これは先生のお話を聞いて、わたしが勝手に理解し記憶していることなので、間違いがあるかもしれません。

症状が改善され、
不安なくお食事を楽しめる日が早く訪れますよう、お祈りしています。
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Unknown (しろみ)
2008-07-26 09:36:13
患者の話しを時間に関係なく聞いてくれる場所があるのは、本当にいいことと思います。
しかも普段から納得いかないことを、
簡潔にお話ししてもらい、これから改善できることと判れば、多少値段が高くても、全てに納得できますよね。
某国立の施設では、メンタル面のケアは期待しない方がよいと聞きました。
国立なので、データ収集が主体であり、
ある程度の長期戦になると、ほかの病院へ・・・みたいな感じになるそうです。

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Unknown (ひざっこぞう)
2008-07-26 16:49:30
てつさま
久しぶりのコメントありがとうございます。
私は普段の血圧も低めなので
ダンピングの症状は強く出るのかもしれませんね。
そんなことに今まで気づかなかったなんてねぇ。。。
やはりみなさま、食事には苦労なさるのですね。
私もまだ手術から5ヶ月ほど。
徐々によくなることを信じてゆっくり精進してまいります。
「思い悩むと脾胃にくる」という言葉、見に沁みる思いです。
あれこれ考えすぎる性格が、胃を破壊してしまったのかもしれませんね。
これを気に、ゆったりのんびり考えようと心がけてはいるのですが
元々の性格を直すのは容易なことではありませんな。

しろみさま
国立の施設もダメですか。
カウンセリング科は設けてあると聞いたのですが。
癌研にはそういう科そのものがないそうです。
患者が多すぎて機械的な治療にならざるを得ず
そこまで手が回らないとおっしゃっていました。
いろんな先生に話を聞いてみると
わかっていたつもりのことでもあらためて別の面から考え直すことができて
有意義だったと思います。
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