「カネテ婚約中ノ私タチハ コノタビ結婚式ヲ挙ゲ 新シイ第一歩ヲフミダスコトニナリマシタ」という招待状。
ロボット同士の結婚式、その名も「ロボコン」ならぬ「ロボ婚」 が開催されるということで、”よろこんで出席”させていただくことにしました。
会場は青山スパイラルの地下の「CAY」。実際の結婚式の2次会などにも使われる会場です。
何を着ていくか悩みましたが、皆さん、人間の結婚式と同じ正装でいらしてました。
また、海外のプレスの方が多くいらしてびっくりしました。さすが世界初、注目されていますね。
会場には早速ロボットがいっぱい。
ゲストの方の同伴pepperさんのようです。ドレスアップしてかわいい♪
AIBOを連れてらっしゃる方もいました。
予定時間よりちょっと遅れての開演です。
司会は、陣内智則さんと元NMB48の山田菜々さん。そして…
「Pepperデス。」
はい、司会者もロボットです。どんな結婚式になるのでしょうか…
いよいよ「新郎新婦入場」。
両家、父親(=開発者)にエスコートされての入場です。ロボリン、ちょっと緊張気味のようですね。
バージンロード(=搬入路?)を通って、ステージに皆さんがそろいました。
新郎・フロイス & 開発者の明和電機代表取締役 土佐信道さん、
新婦・ロボリン&開発者の藤堂高行さんです。
主役がそろったところで、まずは主賓のゲストからのご挨拶。
主賓は、映画「2001年宇宙の旅」の「HAL9000」に似ている”原様”です。
↑ 原様。
…会場は早速呆気にとられつつも、”原様”からのスピーチです。
"今後、ロボットは開発者や所有者よりも長生きするようになるかもしれないが、もしそうなったら、修理してくれる人もなく、ただ朽ちて行くのを待つしかない。でも、開発者や所有者がいなくなっても、ロボットにパートナーがいたり、周りの環境とつながっていれば生存を続けることができる。"
なるほど、ロボットが結婚することにはそんな意義があるんですね。「ロボットの結婚」を「会社の合併」に例えた興味深いお話もなさっていました。
さて続いて「乾杯」のご発声は、二人のことを産まれた頃からご存じだという、慶応大学でロボットの研究をなさっている稲見昌彦教授から。
(原様とのギャップに、どういった心持ちで聞けば良いのか戸惑います…)
「出会った頃はフロイスは頭だけ、ロボリンはまだ眼だけでした。それが2人ともこんなに立派になって…」
乾杯の後の「祝電披露」では、ファンからの祝電に混じって、ジャーナリストの林信行さんや、大阪大学の石黒浩教授からの祝電も!
続いて、結婚式といえば「ケーキ入刀」。
「カメラをお持ちの方は前へどーぞ!」
とはいえ、この二人、一緒にナイフを持てるの?正確にカットなんてできるの?!…と見守っていると…
?!
ずばっ。
…何が起こったか理解するまでに数秒。
テーブルから出てきたナイフが、オートで見事にケーキをカットしてくれました。
共同作業じゃない…という突っ込みはさておき、二人ともとっても嬉しそう。
続いて、両家の父親からの新郎新婦の紹介&プロフィールビデオの上映。
新郎・フロイスは、「バカロボ」というイベントのために製作された、100円ショップやホームセンターで買える材料ばかりで作られたロボット。その後、CMや ミュージックビデオ、さらにフランスでのステージ公演もこなすエリートのようです。
一方、新婦・ロボリンは目の前の相手を見つめ続けてくれるロボット。”首の動き”と”目の動き”を独立させることで、人型のロボットにより人間味が加わるもので、国プロの”異能vationプログラム”にも採択されてるそうです。
(ロボリンのプロフィールビデオはこちらでも視聴できます。)
歓談を挟んだ後は、友人たちからお祝いのバンド演奏のプレゼント。
ロボットバンドの「MMI」((Musical Mechanical Instrument; TASKOのKIMURAさんらの作品) & 人工声帯を持った”歌うロボット”「seamoons」 による新曲の披露です。
ロボットだけがステージ上で音楽を奏で続けるのは、エモーショナルだけど、なんだかシュール…
(複雑な表情で見守る司会者… )
演奏の後は、またご歓談タイムになったので、新郎新婦にご挨拶に伺ってきました。
ロボリン、じっと見つめてくれてかわいいです。
歓談後は再び余興。まずはPepperによる「ロボギャグ30連発〜!!」
「瞬間湯沸かし器のマネします!(ふるふるふる…)…ピィ〜〜〜〜!!」みたいな1発ギャグをロボットがやり続けるというこれまたシュールな光景ですが、びっくりするほど俊敏な動きや、音声と効果音を使ったテンポの良いギャグが面白くてびっくり!!陣内さんのツッコミもあり、ジワジワ面白い…
さて、結婚式も終盤。今度は、新郎父親からの曲のプレゼント。
明和電機・土佐社長によるオタマトーンで「アヴェ・マリア」。
続いて、フロイスの大勢のお友達も入場して何かをやってくれるようです…
↑ …って、いやいや、後頭部〜!!
社長とロボットたちによる「おめでトーン ありがトーン」(←フロイスがMVに出演している曲) の歌 & ダンス。
さらに、DMM.makeのCMにも出演しているコミュニケーションロボット「Palmi」のボーカルに、NMB48で司会者の山田奈々さんも加わり、みんなで「恋するフォーチュンクッキー」をダンス。
会場が盛り上がったところで、次はブーケトス。ステージ近くに女性陣でつめかけます。(私も欲しい〜!!)
これはまた、どうやって投げるのかと見つめていると…??
↑ ?!
バズーカで発射してくれました!
10Mくらい飛ぶとの情報でしたが…結局、最前列の女性が受け取っていました。(いいなぁ…)
さて、いよいよクライマックス、「誓いのキス」です。
二人とも身体を曲げられる構造にはなっていなさそうですが、どうやってキスするのでしょうか?
↑ ふたりの距離を入念に計測される社長。
さあ、いよいよ…
?!
身体を曲げるのが無理だから、口の方を延ばしてしまうとは…!
入念な計測もむなしくちょっと届かなかったので、手動でキスさせる社長。
そして、最後は新郎・新婦の父からの「贈る言葉」。
新郎父からは、今回の結婚がお見合い結婚であることを発表。
また、新婦父からは 「もともと自分の恋人をつくっていたはずなのに、ロボットのところにお嫁に行くことになってしまうとは…」と。切ないですね。
最後に、新婦の父・藤堂さんからロボリンへ、「関白宣言」の替え歌のプレゼント。
ロボリンも嬉しそうにじっと聞き入っていました。
最後は新郎父も歌に加わり、会場を盛り上げます。
笑いあり、涙ありの感動的なラストになりました。
そして、新郎新婦の退場。
会場出口で、新郎新婦&父親でお見送りしていただきました。
とても素敵な結婚式にお招きいただき、ありがとうございました!!
引き出物もいただきました。なんと、新郎新婦の愛の写真入りマグカップ!!
…ん〜!重い上にもらって困る〜!これぞ正統派(?)の引き出物!!
改めて思い返しても変なイベントでしたが、ロボットに置き換えて客観的に見てみると、人間の結婚式も内輪ウケの変なイベントなんだなぁ… なんて思えてくるのでした。
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最後に。
ロボットの結婚式という初の試み。イベント中はあまりのおかしさに呆然としつつ、後からじわじわと笑いがこみ上げてきたりしています。
”親の都合で決まった縁談、ロボットという自由意志のない者同士が唯々諾々とそれに従いなすがままにされている、という状況の中で、さらに「従順であれ、そうすれば幸せになれる」という内容の歌を父親が泣き声で熱唱したら、客席からもらい泣きする人が出た。オママゴトがリアルに社会性を帯びた瞬間。”
と、イベント後に藤堂さんがTwitterに投稿されていましたが、そんな「従順なロボット」のイメージが、初めの稲見教授のスピーチの中の「死を知らず無私で利他的ロボットは聖人に最も近い」という言葉(ロボット工学の第一人者、東工大・広瀬名誉教授の言葉)につながって、ロボットに対するイメージが少し変わってきたり、
同じく稲見教授のスピーチの中での、
「ロボットの結婚式は、『結婚』と言われているもの、『社会制度』と言われているものについて、われわれが再び考えるためのきっかけである。『社会制度』をいったんロボットに置き換えることでモデル化する」
といった言葉にもあったように、そもそも「結婚」ってどんな意味をもつんだろう?
例えば、通常の男女の結婚、同性婚、ロボット同士の結婚、ロボットと人間の結婚…それぞれがどんな意味を持っていくんだろう?と考えたり、
今回の結婚式は微笑ましく見ていたけれど、もし”人工知能のロボット同士が結婚する”という話だと、人不在のところでロボットが単独でコミュニティを形成できてしまうようで、それはちょっと怖いような気がするなぁ…などと考え始めたり。
面白いイベントの中でも、いろんなことを考えるきっかけになるイベントでもありました。
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長文になりましたが、さいごまでお読みいただきありがとうございました。
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■DATA
日時:2015年6月27日(土)
開場:午後5時30分(受付開始)
開宴:午後6時00分
会場:青山CAY
料金:予約:10000円/当日:10500円/立食パーティー形式【限定100名】
ドレスコード:正装
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