石岡将の複雑骨折

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小説「落花生-アトピー成人の恋と人生 」
短編自主映画「返り血の帰り」

映画感想 6 「ターミネーター」  ※ネタバレ含

2012-08-26 14:03:59 | 日記




まだ自分にとって映画がどんなものかよく分からない頃からずっと観続けてきたこの映画を久しぶりにDVDで観た。9割以上のシーンを覚えてるこの映画を久しぶりに観ると、時々照れくさかったり、安心して泣きそうになる瞬間があったりする。

映画の中でいいシーンは沢山あるのだけど、今回最初から最後まで観て改めていいなと感じたのはカイルの死のシーンだ。

最初は怯え、疑っていたサラが、一点の曇りもなく命をかけて自分を守ろうとするカイルの姿に次第に気持ちを許し、頼り、共に戦おうとしていく。
しかし、愛し合い、笑顔でやり取りをするまでになったカイルの死は、ある意味唐突に提示される。死んだカイルは目を見開き、口も開いたままで、顔には血がべたりとつき、自分を必死で助けようとしていた面影はほとんどない。やっと愛し合った男の死が目の前にあっさりと出されるが、その悲しみに暮れる間もなく、上半身だけの101が再び襲ってくるわけだ。二人の恋人らしいシーンと言えば、モーテルの中で爆弾の入ったバッグを渡そうとするところだけだと思う。
お蔭でカイルが死体袋に入れられ、病院に連れて行かれるサラとは別の方向に運ばれるシーンは、とても切ない。サラとカイルの愛など誰も知らないのだ。

サラが息子へのメッセージをテープに吹き込みながらカイルを思い起こすシーンも、とても切ない。それは二人の愛の瞬間と、儚さを見せられたからだ。

中学二年の頃、映画館で「ターミネーター2」を観た時、面白かったのだけれど何か面白くない、足りないと感じたのは、こういった人間同士のプロセスよりも、アクションシーンや最新技術の使い方、設定の収束に重点が置かれていたからだと思う。L・ハミルトンはしっかりとしていたし、E・ファーロングはとても良かったのだけれど、ドラマ性を演出するシーンは、何か冷めた印象を受けてしまった。パート1のような感覚を期待した自分も良くなかったのかもしれない。

アクションシーンの巧さや、柔軟な演出、シュワルツェのターミネーター演技もさることながら、サラとカイルを通して、運命の中で愛し合っていく人と人の姿を見ることが「ターミネーター」の魅力なんだと改めて感じた。


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