空き巣に遭ってしまった友人 (というか彼) の話を何度かしたけれど。
お給料が入ってすぐに被害に遭ってしまったため、入ったばかりのお給料を根こそぎ盗られてしまってから、もうすぐ一ヶ月 ... 。
(彼の会社は、お給料が手渡し ! )
そう。
まもなくお給料日♪
(ちなみに、給与計算をする人の仕事のすすみ具合・体調・気分・その他もろもろにより、お給料日が可変となるそうである)
この一ヶ月間、さぞ苦しみ抜いたことであろう。
凡そ一月まえ、空き巣に遭ってしまった話を聞いたとき、わたしは、とっさに、「お金、貸してあげようか? 」 とたずねてみた。
すると、即座に、「怒るよ」 と言って、ゲンコを出されてしまった。
ああ。 そうよね。 いくら付き合っているといっても、お金の貸し借りはよくないわよね。 千円二千円じゃないものね。 しかも、彼にも男のプライドがあるのだろう、とも思った。
とりあえず。 お金がなくて食べるものもままならぬだろう、と思い、わが家にまねいて食事をご馳走するようにした。 彼にかえって気を遣わせまいと、なるべくお金のかかっていなそうなメニューを、いろいろ苦心しながらつくった。 だいたい、そういう 「家庭の味」 とか 「冷蔵庫のありあわせのもので、簡単につくってみたの♥ 」 とかいうのが、じつはいちばん難しいような気がする。 いい食材を使って、いい調味料を使えば、それなりのものが作れるかもしれないけれど。 シンプルなものほど、ごまかしがきかないのだから。
そうして、日々、ごはんをつくって差し上げていたのだが、さすがに彼も心苦しいようで、洗い物をしてくれたり、お風呂掃除をしてくれたりなんかした。 「いまのおれにできることは、これくらいしかない」 とのこと。
「一宿一飯の恩義」 なんてことばを、ふと思い出してしまう。
「困ったときは、おたがいさまだから、いいのよ」 なんて言っても、なにかせずにはいられないようで、エアコンのフィルターの掃除をしようか? とか、換気扇の掃除をしようか? なんて言って、なにかしら仕事をしようとする。
先日。 いっしょに映画を観に行こうということになっていて、楽しみにしていたのだが、その前日に彼から電話があり、とつぜん、「ごめん、明日、無理だわ」 と言われてしまった。
「どうして?」 と訊いたら、腰痛がひどくて、映画を観ていられなさそう ... とのこと。 まあ。 体調が悪いのなら、仕方がないわね ... と思い、あきらめることにしたのだが。
翌日になって、またまたとつぜん、「やっぱり、今日、観に行こう」 と言われ、出かけることに。
あいかわらず突発的な人ねえ、と思いつつも、あきらめていた映画が観れることになって、うきうきしながら出かけた。 内心、そういえば、映画を観てしまって、お金は大丈夫なのかしら ... とも思ったけれど。
そして。 先週末、いつものように、わが家で朝食 兼 昼食を食べ終わったときに、彼が思いつめた顔で、
「** ちゃん、どうしてもいやだったらいいんだけど ... お願いがあるんだよ」 と言いはじめた。
彼は、もう、情けなくてしょうがないといった顔で、「おれ、どうしても、この一週間が越せそうもねえんだ」 と言う。
ああ。 その表情とことばで悟った私は、「いくらあれば足りるの?」 と返した。
そうして、約一ヶ月前には怒られてしまったけれど、彼にお金を貸すことになった。 彼としては、もう、ほんとうに困窮してしまって、プライドもへったくれもないほどなのであろう。
フト、気になって、「映画を観に行ったのがいけなかったの?」 と訊いたら、じつは、さいしょ、腰が痛いから映画を観に行くのをやめよう、と言ったのは、ほんとうはお金がなくて行きたくても行けなかったからだそうである。 お金がない、と言ったら、じゃあわたしが払ってあげる、と言われると思って、それで腰が痛いと言ったのだとか。 その電話をかけているとき、たまたま友だちといっしょだったそうで、その電話をとなりで聞いていた友だちが、「金貸してやるから、行って来なよ」 と言って、映画を観るお金を貸してくれたのだとか !
と言っても、彼は、その申し出をさいしょは断ったそうである。 やはり、同性の友人が相手でも、彼の美学がゆるさないのだろうか? けれども、「彼女がかわいそうだから、行ってあげなよ。 おまえのために貸すんじゃなくて、彼女のために貸すよ」 と言われ (なんていい人なのだ ! )、しぶしぶお金を借りることにしたとか。
そんな彼が、恥もプライドも捨てて、わたしにお金を借りる。 その胸のうちは、いったいどのようなものなのか。 わたしには想像できないのだが ... 。
ある知人の男性が、「男ってのは、プライドのカタマリだ」 と言っていた。 男ってのは、プライドで生きている。 プライドがあるうちは、男は、男らしく生きていける。 プライドをもてなくなったとき、男は、男でなくなる。 と。
これは、その方の信条なのだが、もし、それと似たようなものを、彼も有(も)っていたら ... ?
彼のプライドはずたずたに引き裂かれ、地に落ちてしまっただろうか?
一刻も早く、彼が復活できるよう、心から願うばかりである。
trackback to: 『今日の幸せ』 - 「ご意見募集(特に女性)」
--> 回答:
男性がおごるのは、「プライド」?
女性がおごられるのは、「相手を立てるため」?
BGM:
Bob Dylan ‘くよくよするなよ / Don't Think Twice, It's All Right’
(本日、五月二十四日は、Bob Dylan のお誕生日。 おめでとう、Bob ! おめでとう、六十三歳 ! )
# まったく関係ないが、わたしの友人は、『ジョンの魂』 を 『ジョンのカタマリ』 と読みちがえていた。
お給料が入ってすぐに被害に遭ってしまったため、入ったばかりのお給料を根こそぎ盗られてしまってから、もうすぐ一ヶ月 ... 。
(彼の会社は、お給料が手渡し ! )
そう。
まもなくお給料日♪
(ちなみに、給与計算をする人の仕事のすすみ具合・体調・気分・その他もろもろにより、お給料日が可変となるそうである)
この一ヶ月間、さぞ苦しみ抜いたことであろう。
凡そ一月まえ、空き巣に遭ってしまった話を聞いたとき、わたしは、とっさに、「お金、貸してあげようか? 」 とたずねてみた。
すると、即座に、「怒るよ」 と言って、ゲンコを出されてしまった。
ああ。 そうよね。 いくら付き合っているといっても、お金の貸し借りはよくないわよね。 千円二千円じゃないものね。 しかも、彼にも男のプライドがあるのだろう、とも思った。
とりあえず。 お金がなくて食べるものもままならぬだろう、と思い、わが家にまねいて食事をご馳走するようにした。 彼にかえって気を遣わせまいと、なるべくお金のかかっていなそうなメニューを、いろいろ苦心しながらつくった。 だいたい、そういう 「家庭の味」 とか 「冷蔵庫のありあわせのもので、簡単につくってみたの♥ 」 とかいうのが、じつはいちばん難しいような気がする。 いい食材を使って、いい調味料を使えば、それなりのものが作れるかもしれないけれど。 シンプルなものほど、ごまかしがきかないのだから。
そうして、日々、ごはんをつくって差し上げていたのだが、さすがに彼も心苦しいようで、洗い物をしてくれたり、お風呂掃除をしてくれたりなんかした。 「いまのおれにできることは、これくらいしかない」 とのこと。
「一宿一飯の恩義」 なんてことばを、ふと思い出してしまう。
「困ったときは、おたがいさまだから、いいのよ」 なんて言っても、なにかせずにはいられないようで、エアコンのフィルターの掃除をしようか? とか、換気扇の掃除をしようか? なんて言って、なにかしら仕事をしようとする。
先日。 いっしょに映画を観に行こうということになっていて、楽しみにしていたのだが、その前日に彼から電話があり、とつぜん、「ごめん、明日、無理だわ」 と言われてしまった。
「どうして?」 と訊いたら、腰痛がひどくて、映画を観ていられなさそう ... とのこと。 まあ。 体調が悪いのなら、仕方がないわね ... と思い、あきらめることにしたのだが。
翌日になって、またまたとつぜん、「やっぱり、今日、観に行こう」 と言われ、出かけることに。
あいかわらず突発的な人ねえ、と思いつつも、あきらめていた映画が観れることになって、うきうきしながら出かけた。 内心、そういえば、映画を観てしまって、お金は大丈夫なのかしら ... とも思ったけれど。
そして。 先週末、いつものように、わが家で朝食 兼 昼食を食べ終わったときに、彼が思いつめた顔で、
「** ちゃん、どうしてもいやだったらいいんだけど ... お願いがあるんだよ」 と言いはじめた。
彼は、もう、情けなくてしょうがないといった顔で、「おれ、どうしても、この一週間が越せそうもねえんだ」 と言う。
ああ。 その表情とことばで悟った私は、「いくらあれば足りるの?」 と返した。
そうして、約一ヶ月前には怒られてしまったけれど、彼にお金を貸すことになった。 彼としては、もう、ほんとうに困窮してしまって、プライドもへったくれもないほどなのであろう。
フト、気になって、「映画を観に行ったのがいけなかったの?」 と訊いたら、じつは、さいしょ、腰が痛いから映画を観に行くのをやめよう、と言ったのは、ほんとうはお金がなくて行きたくても行けなかったからだそうである。 お金がない、と言ったら、じゃあわたしが払ってあげる、と言われると思って、それで腰が痛いと言ったのだとか。 その電話をかけているとき、たまたま友だちといっしょだったそうで、その電話をとなりで聞いていた友だちが、「金貸してやるから、行って来なよ」 と言って、映画を観るお金を貸してくれたのだとか !
と言っても、彼は、その申し出をさいしょは断ったそうである。 やはり、同性の友人が相手でも、彼の美学がゆるさないのだろうか? けれども、「彼女がかわいそうだから、行ってあげなよ。 おまえのために貸すんじゃなくて、彼女のために貸すよ」 と言われ (なんていい人なのだ ! )、しぶしぶお金を借りることにしたとか。
そんな彼が、恥もプライドも捨てて、わたしにお金を借りる。 その胸のうちは、いったいどのようなものなのか。 わたしには想像できないのだが ... 。
ある知人の男性が、「男ってのは、プライドのカタマリだ」 と言っていた。 男ってのは、プライドで生きている。 プライドがあるうちは、男は、男らしく生きていける。 プライドをもてなくなったとき、男は、男でなくなる。 と。
これは、その方の信条なのだが、もし、それと似たようなものを、彼も有(も)っていたら ... ?
彼のプライドはずたずたに引き裂かれ、地に落ちてしまっただろうか?
一刻も早く、彼が復活できるよう、心から願うばかりである。
trackback to: 『今日の幸せ』 - 「ご意見募集(特に女性)」
--> 回答:
男性がおごるのは、「プライド」?
女性がおごられるのは、「相手を立てるため」?
BGM:
Bob Dylan ‘くよくよするなよ / Don't Think Twice, It's All Right’
(本日、五月二十四日は、Bob Dylan のお誕生日。 おめでとう、Bob ! おめでとう、六十三歳 ! )
# まったく関係ないが、わたしの友人は、『ジョンの魂』 を 『ジョンのカタマリ』 と読みちがえていた。
誇りを捨てたら男じゃない!どんなくだらない事にも意地を張るのが”オトコノコ”です!!彼氏さんかっこいいです!!
たまには甘えるのもオトコノコ。
彼氏さんの”誇り”が、一日も早く復帰する事をお祈りいたします。
> 「男から全てを奪う事は可能だ、誇り以外は・・・。」
かっこいいことばですね。
えっと、北方さんのおことばでしょうか?
紳さんの blog で、たしか北方さんの作品を紹介されていましたね ...
『週末の翼 -RIDE or DIE!- 』のページ、「ヤマト」テンプレートにしたのですね。
だいぶ印象が変わるので、さいしょびっくりしました。
記事ともども楽しみにしています。
> 彼氏さんかっこいいです!!
... なんて、本人が聞いたら、よろこびそうです。
ここのところ、甘えてくれるようになってうれしいのですが、やはり、「誇り高い」彼でないと、彼らしくないような気もします。
貧すれば窮すると言いますが ... ほんとうに早く彼の経済状況がよくなることを願います ...
(ありがとうございました)
彼氏の、お友達。 かっこいい。
ついでにもう少し貸してくれれば...(^_^;
ほんとに、よくもまあ、今まで耐えてきたなあ ... と思います。
彼の友だち、かっこいいですよね。
わたしも、彼のせりふを真似したい(?)です。
# ほんとに、映画代だけでなくもうちょっと貸してくれれば ... ?
(コメント、ありがとうございました)
太宰の誇りは、死ぬるほどの苦悩を経てきたことですね。
あと、いつも勝たねばならぬ男というものに疑問を持ってましたね。
プライドというのは、微妙な言葉ですね。
どちらも必要だと、だれかが言っていましたっけ ... ?
いずれも苦闘の連続かもしれませんね。