BD | 7 | p | 2012/9/12 Wed | |||||||||||||
Vul | Both | アリスの茶屋グループ | ||||||||||||||
ディーラー | S | |||||||||||||||
♠ | 954 | |||||||||||||||
♡ | K52 | |||||||||||||||
♢ | A1082 | |||||||||||||||
♣ | Q52 | |||||||||||||||
♠ | 10632 | ♠ | AJ | |||||||||||||
♡ | QJ98 | ♡ | A643 | |||||||||||||
♢ | 976 | ♢ | J4 | |||||||||||||
♣ | 64 | ♣ | AKJ107 | |||||||||||||
♠ | KQ87 | |||||||||||||||
♡ | 107 | |||||||||||||||
♢ | KQ53 | |||||||||||||||
♣ | 983 | |||||||||||||||
ビッド | ||||||||||||||||
W | N | E | S | |||||||||||||
P | ||||||||||||||||
P | P | 1C | P | |||||||||||||
1H | P | 3H | / |
Q33. パートナーが4番席でオープンしました。Cが2枚しかなかったので、サウンド・オープンであることを想定して、Hをビッドしてうまく行きましたが、システムとしてOKですか?
A. No/Yes
結果的には、パスした場合の1C2メイクの90よりも3Hメイクの140で、2IMP優っていたことになりますし、それは下で述べるように或る程度予想できるので、一定の合理性があることは否定できません。しかし私としては(ゲーム・ビッドの正確な判断が最重要であるチーム戦やIMP採点を前提に)パスの方を支持します。
ハーディは、緑本p88-89(訳本ハンド番号211~213)で、良い5HCP未満で、RHOがパスのとき、1台スーツでレスポンスすべき3例を述べています。しかしBD7はそのどれとも全く異質です。
スーツの在り様としては、正当化できると考えます。もしもパートナーがライト・オープン†だった場合には、「ルール・オブ15」でSpd(3~)4枚が期待できるので、Hがフィットしていなければ、Spdの8枚フィットが有るでしょう。サウンド(堅実=14+HCP以上)までは無くともレギュラー(正規=1,2番席オープンできる強さ)オープンだったならば、1NTかCの7枚フィットでプレイできるでしょう。
むしろ問題は、オープナーがこのBD7の手よりちょっとでも絵札の配置が良いか、または1HCPでも多ければ、二人合わせて21~22HCPなのに、システム上4Hをビッドしてしまうことです。合理的なメイク確率(IMPでほぼ38%)は絶対に有りません。
ビッドの合理的選好の問題として、もう少し掘り下げてみます。
- ブリッジソサエティ掲示板の『Rebensohl after reverse』の静岡ウィークリー(9月12日)BD13のように、結果論ではあるが、レスポンスすれば合理的な出来目のゲーム・ビッドが出来るハンドも確かに存在する。但し、(レスポンス条件の良い5HCPに僅かに及ばない)悪い5HCPでKが有ることで、BD7とは相当に違う。
- BD7は、仮令パートナーがストロング2Cや2NTでオープンしていても、ネガティブで有る。それ故、今の場合合理的な出来目のゲームの見込みは無い。
- オープナーがC3~4枚のときに、エスケープすることと、上述のような不当なゲーム・ビッドを避けることと、長い目で見てどっちが大事か?
(私としては、2/1システムの最優先の目的がゲームの有無を正確に判断することにある以上、前者が大事と考える。その先の議論は、LoTT同様、コンピューター・シミュレーションが結果を示してくれることを期待したい。 ) - 一定レベルの科学的システムを愚直に守ることには、次の五徳が有る。
- 統計的に見て有利。少なくとも損はしない。(そうでなければシステムに重大な欠陥がある。)
- 試合中、余分な頭を使って、自分が疲れないで済む。‡
- 〃 〃 時間を使って、他の参加者に迷惑をかけずに済む。
- パートナーの信頼を裏切らない。
- 初中級者の場合、システムを覚え、正しく素早く適用することを身に付けるためには、最も効率的である。*
† 4番席はライトオープンしないという「標語」は、未だ一部で通用しているようで、それが理由で(そうだとしても使うべきなのだが)ドゥルーリー「無し」という人まで居る。ハーディは、正規(レギュラー・)オープンの手は、4番席を含めて、どの席でも開く。そして、
●4番席のライトオープンに限り、「ルール・オブ15」を使う。
‡ 「科学的」システム(パブリチェク、ロビンソン、ウォルシュらの初期の本格的2/1システムは、あたかも「プレシジョン(精密性)」システムに対抗するスローガンのように、そう名乗っったり呼ばれたりしていた。)とは一言でいえば、在来システムではノウハウだったところを明示的に約束にして、全体を整理することで、(覚える分量が優秀な5枚メジャーに比べて1割ほどは多くなった代わりに、)毎回考えたり、当てずっぽうでやる必要を減らしたもの。
* (‡みよ) ブリッジになるためのパートナーシップが成り立つために、覚えなければならないことが従来のシステムより多いのに、更にビッドの都度同じだけ考えるのは、無駄などころか、当然のこととして悪い方に行く可能性がずっと大きい。しかし、内容以前に、何よりも大抵の中高年者の頭脳の限度を超えてしまうものだろう。
ハーディ風の3つのハンドは4HCPあり長さもあり、ディストリの激しい手の場合、とありますので、該当せず。
ところで連盟の返事は別として、以下の問題を ここに提起します。Wは、Eの1C=3枚を心配してか、下の手を1Hと答えたとします。
Jxxx Qxxx xxx xx
xxxx Qxxx xxx xx
xxxx Jxxx xxx xx
そもそもビッドは自由なので、自己責任、つまり結果がどうなろうと”お咎め無し”が原則です。サイキックもリストD以上ならOKです。
それは(しっぺがえし)こんな手で1Hとレスポンスし、パートナーに2NTや4Hとジャンプされたらメイクしないでしょうから。
しかし、そこそこの試合で、楽しくブリッジをしたい、まっとうなオポーネントやブリッジ普及には、その妨げになる気がします。つまり、
W--N--E--S
1C-P-1H-P
1S-P-P!-P
一番上の手をEが持ち、1Sで終わりました。HCPが、以下だったとして・・・
12-13-3-12
結果はNSが 怒・ボトムでした。よそは、全員、こう進みました。
W--N--E--S
1C-P--P-1NT(10-14HCPハーディ風。一般的多くは12-14)
P--3NT
もちろん、先ほど書きましたように、EWもリスクを背負っているので、1Sが成立した場合、NSが損しても、後で訴えても、お咎めも調整も無しです。(しかし、ビッドは自由派の私でさえ、しっくりこない)
しかも、むしろ、訴えた方がブラックリストに載る場合も有り得るらしいなんて、理不尽では、、、
W--N--E--S
1C-P-1H-P
1S-P-P!-?? ここで何かアクション(1NTなど)を起こさないSが悪いそうです。が、はたしてそうでしょうか。
Eのパスは、Wが17、18HCPでEが5,6HCPかもしれませんよ。だったら、Sの1NTは、やぶへび、DBLされてボロボロに落ちます。
これはこれでNSはボトムです、ああ無情。よって私がSなら、ここで1NTを言う勇気はありません。たとえ言っても
W--N--E--S
1C-P-1H-P
1S-P-P!-1NT
P--2NT all P に なれば、どん底に変わり無し。これではNSはブリッジを やめちゃうかもよん様。
そこでマスター風レスポンス基準をハーディ風で考えてみました。
最初に頼ったのはハーディ緑本の1a,1b,1cはすべて10HCPだが、価値(勝ち)が違う。
次の頼りはハーディ紫本の2Cに2Hはスパネガ(スーパーネガティブ)で、2Cオープンは、最低9勝出来そうな手でパートナーが1勝出来ればゲーム(4Hと しましょう)可能とします。パートナーはAかKかQ2枚なら=1勝出来そうなら2D,全然だめなら2Hです。この考え方を応用します。レスポンダーは5HCP以下でも1勝出来そうならレスポンスしてもよい(せよ!じゃありませぬえ)。
さて、この基準からBD7の、HのQJ98を考えると1勝出来そう。またスペード4枚あるので、もし1C-1H;1Sならパスしちゃうつもりの、おまけつき(ラッキー!なので)1Hレスポンス可能に、(この文章を書いている間に)私の考えは変わりました。
が、これは専門家から見て、あれこれ鑑みての判断ですので、一般の方は単純に6HCPあればマスト・レスポンス、5HCPはパスしてもよい、を御勧めします。