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LoTTの原点は、「自分の切札の枚数まではトリックが取れるから、ビッドできる(せよ)。」です。それで「ナイン・エバー、エイト・ネバー」([自分たちの切札が]9枚は必ず[3台まで競れ]。8枚は絶対にだめ。)という分かりやすい指針が出来ました。
それで、3NTを必ずのように落としてばかりいるアメリカの御婦人が言った。
「だって、ナイン・ネバーっていうじゃ有りませんか。」
もっと深いのが、相手(彼ら)と自分(我ら)の切札の合計枚数を「トータルトランプ」、彼我それぞれの切札で取れるトリック数の合計を「トータルトリック」と呼ぶと、両者は一致する。即ち
トータルトリック = トータルトランプ
が成り立つという「法則」です。
これはラリー・コーエンやマーティ・バーゲンが強く支持して居ますが、NISHIDA様が指摘されているように、トータルトランプ数が20以上、つまり4Sに5Hで競るかどうかのケースでは余り信用されていません。これらの人たちも消極的です。
これに対して、今回ご紹介しているブルーム(Steve Bloom)の理論は、この辺りの競り合いの指針になることを目指しているわけですが、その基本となる公式は、トータルトランプの代わりにSFという尺度を使って次のように述べられます。
自分達の側でフィットしている2スーツの枚数をSF(セカンドフィット数)とすると、完全純粋ハンドでは、
トータルトリック = SF + 3
である。
これは、前回述べた「定理」で、
SF=17のとき、トータルトリック=20
とされたことの一般化ですが、実際にこれと同程度に数学的根拠が有る計算で、
SF=18のとき、トータルトリック= 20.7 (ほぼ203/4)
SF=19のとき、トータルトリック= 21.8 (ほぼ213/4)
になります。
が
私たちににとって、より興味が有り実際的であると見られるのは、絵札が欠けている普通の場合ですが、それについては次のように主張しています。
「純粋」度が完全でない場合には、
トータルトリック = SF + 2
が出発点になる。これは2011年にコルチャミロと共に(恐らく数学的な根拠は左程確立していない状況で)、トータルトランプよりもはっきりと良いということを発表してあるとのことです。
ここまでは切札が9枚だったことに注意してください。SFが16であると、切札は8枚になるケースが混じってきます。これについて、著者は一定の計算に基づいて、次のように勧めて居ます。
8枚切札ならば、半トリック減らせ。
7枚切札ならば、1トリック減らせ。
この計算は、相変わらず完全純粋ハンドでやっていますが、純粋度が不完全でもトータルトリックの推定のためには、差し当たりこれを採用しても、無いよりましでしょう。そしてこの辺まで来ると、ゲームレベルに限っても、適用できるハンドが、相当に増えて来ると思います。
今日は、午後から、私共のブリッジゼミナールのゲームの公開日(CCG)にしておりますが、私も早速「能天気に」試して見ようと思います。
ただ、SFの情報は、ゲームトライを古典的な長さによるヘルプスーツでなく、絵札フィットにしているハーディ-つくばSciの方が、在来のシステムよりも情報が取りにくい懸念が有ります。
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