偏平足

里山の石神・石仏探訪

石仏312瀬尾愛宕山(栃木)

2011年04月22日 | 登山

瀬尾愛宕山(あたごやま) 猪(いのしし)

3121【データ】瀬尾愛宕山 510メートル▼25000地図 今市▼最寄駅 東武鬼怒川線・大谷向駅▼登山口 栃木県日光市瀬尾の松原市営住宅▼石仏 愛宕山山頂

【案内】日光にはいくつかの愛宕山があるので、ここは登山口がある地名の瀬尾をつけた。市営住宅の手前に標識があり、軽自動車が入れるぐらいの道をしば3122 3123 らく歩いて山道になる。小さいながら目立つ山様の愛宕山であるが、これが各地にある愛宕山の特徴の一つであり、展望の良い場所にある山が選ばれて愛宕神社を建立しているところが多い。瀬尾の愛宕山もその様な山で、山頂に愛宕神社があり社殿の裏にある石造愛宕社に猪が置かれている。猪は愛宕の神使、置かれているように見えたが社殿を護っているとうのが正しい。日光の愛宕山にはこの形の猪がいくつかあり、これを初めに紹介したのは瀧澤龍雄氏であろう。『日本の石仏』№77(日本石仏協会、平成8年)に瀧澤氏の「馬と猪に乗った三面二臂将軍地蔵像との出逢い」がある。愛宕の本地仏は甲冑姿で馬に乗る勝軍地蔵だが、瀧澤氏は勝軍を「将軍」とし、日光とその周辺に建立された猪に乗る愛宕を紹介しながら「将軍」「なぜ愛宕信仰に猪なのか」などについて、持論を展開している。そし3124 3125 3126 て猪については「県内でも宇都宮などの近郊平野地になると、それら猪像は見られなくなって圧倒的に馬乗り将軍地蔵となっている」と紹介している。猪がかかわる神仏は愛宕山のほかに日蓮宗や臨済宗の摩利支天堂、和気清麻呂を祀る護王神社があり、それぞれ境内に猪の狛犬を見ることがある。しかし山中にある名もない石祠の前に猪が置かれていたら、判断に迷うところであるが、少なくとも日光周辺の山で猪を見たら、それは愛宕の猪である。写真は左から京都の禅居庵(臨済宗)、護王神社、本法寺(日蓮宗)。

【独り言】栃木県宇都宮市にお住まいの瀧澤さんに、日光周辺の猪石像を案内していただいたのは10数年前でした。山も登山口も道もはっきりしない小さな里山の石祠に祀られた猪に乗る勝軍地蔵(瀧澤さんは将軍としている)や猪の神使を、何か所も手際よく回っていただきました。そのときの印象は、その姿もさることながら、こういう地元の人もあまり知られていない山の石造物を探し出すのは大変な作業だと、つくづく思いました。それまで山の石仏調べを標榜していた私としては、看板を替えたい心境でした。ところで愛宕と猪についてですが、10年ぐらい前、初めて京都の愛宕山に登ったとき山頂の社務所で猪の土鈴を見ました。しかし買わずに下山したもののどうしてもほしくなり、63127 年後に再び登って手に入れたことがありました。なにしろ私は猪歳生まれですから、愛宕と猪についても猛進していろいろ調べましたが、わからずしまいでした。ただ、江戸時代はじめの古瑠璃本に猪に乗る勝軍地蔵が描かれていたこと、京都では11月の亥の日に火防せ祈願をして炬燵を出すこと、茶道の世界では11月の亥の日に炉開きをするなど、少なくとも京都においては愛宕と火防せと亥は芸能や日常生活にすっかり溶け込んでいたことがわかりました。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 石仏311小山(栃木) | トップ | 石仏313薬師岳(栃木) »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。