偏平足

里山の石神・石仏探訪

石仏512矢越山(岩手)

2014年05月02日 | 登山

矢越山(やごしやま) 雷神(らいじん)

 5120 【データ】矢越山 519メートル▼国土地理院25000地図・津谷川▼最寄駅 JR大船渡線・矢越駅▼登山口 岩手県一関市室根町矢越の矢越集落▼石仏 矢越山の中腹に建つ矢越神社。地図の赤丸印

5121 5122 5123 【案内】山中に矢越神社、山頂に羽山神社を祀る矢越山の登山口は矢越の集落。また林道が矢越神社の下まで通じている。林道終点から登りだしてすぐ、右手の池の手前に不動明王が立つ。矢越神社の石段を上ると、岩手に共通してみられる首の短い狛犬。そして境内右手に大きな「雷神」の石塔がある。
5124 5125 高さ
140センチ。「享和三癸亥歳(1803)講中廿一人 九月十七日」の銘がある。岩手県花巻から一関にかけては雷神の文字塔が多いところで、寺社の境内から路傍によく見かける。それはどれも大きな自然石に雷神の二文字だけ彫る豪快な石塔だ。『岩手民間信仰辞典』(平成5126 5127 3年、岩手県立博物館)には「岩手県の県南地方では、落雷した場所に石碑や小祠を建てて祀り、雷神サマ・イカズチサマと呼ぶ」とある。矢越神社の雷神の字は袋文字で、これも珍しい。山麓の大泉寺には同じ袋文字の題目塔があったので、この土地に袋文字を得意とする石工がいたようだ。
 山頂には羽山神社のお堂が建つ。

 5128 5129 【独り言】岩手県の奥州市から一関市にかけては、藤原三代の平泉文化が開花した土地ですから伝承も多く、それを案内する看板がいたるところに見られる楽しいところです。それが山中にもありますから、これには驚きます。そのなかで気になったのが、キリシタン関係の伝承案内です。矢越山の中腹には〝大転場山キリシタン処刑場〟=写真左=の案内がありました。ここには「大転場王神」と刻まれた大きな岩があり、むかし、隠れキリシタンが処刑された場所だそうで、その霊を弔うために岩に大転場王神と刻んだという伝承です。翌日登った平泉近くの束稲山の西山麓には〝矢ノ森八景〟=写真右=のなかにキリシタン処刑場がありました。江戸期の隠れキリシタン信者が処刑された場所と墓地だそうです。石仏を見ている人のなかには、キリシタン関係の石造物を追いかけている人もいるようですが、これに関して私はまったく無関心。というより関東の山ではまったく出くわさない石造物ですから、無関心というより調べる機会がなかったというのが本当のところです。ところで大転場はバテレンとでも読んだのでしょうか。危ない危ない! キリシタン伝承の罠にはまりそう。

 

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