偏平足

里山の石神・石仏探訪

石仏411高岩山(東京)

2012年11月02日 | 登山

高岩山(たかいわやま) 客人大明神(まろうどだいみょうじん)

411【データ】高岩山 920メートル▼国土地理院25000地図 武蔵御岳山▼最寄駅 JR五日市線・武蔵五日市駅▼登山口 東京都あきる野市養澤の養澤神社▼石仏 養澤神社境内。地図の赤丸印

41114112【案内】「客人大明神」は高岩山の登山口、養澤神社の境内の隅に立つ石燈籠の竿にある神銘。正確には「門客人大明神」。境内に立つ案内には「大正14年に養沢地区内の熊野神社・八幡神社・日天神社・門客人神社を合祀し、養澤神社を創立した」とある。境内にある「門客人大明神」銘の石燈籠は門客人神社から移したものであろう。ところでその案内には門客人(あらはばき)とある。あらはばきは荒吐・荒脛巾などとも書き、東北地方の古代の神らしいが詳細はわからない神である。文字からして旅の神のようでもある。手元にある「アラハバキ」関係の本をみても、この神を上手く説明することはむずかしい。したがってここでは銘とは若干ちがうが「客人(まろうど)神」として案内する。

 しかし客人神も一言では説明できない。『続日本石仏図典』には「外国から渡ってきた神、よそからきた神、土地や氏子との縁故が新しい神」とあり、『日本民俗大辞典』には「稀に来訪する神。他所から来訪する神。人々に富と長寿をもたらすために、常世の国から時を定めて来訪する神」とある。一方法華経あるいは1日から30日までのそれぞれの日を守護する三十番神の二十番にこの神が「客人権現」として入っていて、『仏像図彙』には女神となって描かれている。またそこには「江州志賀郡 4113 伊弉冉尊」ともあり、比叡山にある白山権現を客人神とする説もあり、複雑である。「文政十二(1829)己丑」建立である。

 高岩山へは神社の右手の尾根に取りついて、あとは山頂まで一本道である。下の写真は養澤神社境内に立つ龍の狛犬。

【独り言】先週まで秋田の保呂羽の神に酔っていたら、今週はアラハバキの神でつまずいてしまいました。古代東北に起源をもつらしいアラハバキを世にだしたのは、青森県五所川原の旧家から出た文書をまとめた『東日流外三郡誌』。昭和50年ごろから話題になって、このなかにアラハバキも紹介されていたそうです。しかしその後、この文書は偽書の疑いが強まり、いまでは話題にものぼらなくなってしまったようです。それでもアラハバキは魅力ある神のようで、手元にあった川崎真治著『謎の神アラハバキ』(平成3年、六興出版)も、この神の名称から正体を解明しようと試みた本でした。この本が家にあるということは、かつて私もアラハバキに興味もったことがあったのだろうと思います。しかしいつ購入したのかまったく記憶になく、本の末尾に鉛筆の殴り書きで「700」とありましたらか、たぶんアラハバキのブームが去ったころ古本屋で定価の半額700円で買った本なのでしょう。

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