偏平足

里山の石神・石仏探訪

石仏680浅間・石尊山(長野県)迦楼羅

2016年09月05日 | 登山

浅間・石尊山(長野)迦楼羅(かるら)

【データ】浅間・石尊 1667メートル▼最寄駅 しなの鉄道・信濃追分駅▼登山口 長野県軽井沢町追分▼石仏 中腹の濁沢にかかる赤滝下、地図の赤丸印▼地図は国土地理ホームページより▼この案内は拙著『里山の石仏巡礼』(平成18年、山と渓谷社)から転載したものです



【里山石仏巡礼15】 追分から浅間山の中腹にある石尊山への道は林道が交差して分かりにくく、途中に噴火を知らせる施設があって、普通の山ではないという気分になる。山頂は草原が広がり奥には浅間山が大きく立ちふさがる。石尊は丹沢の大山の神・石尊大権現を指し、関東甲信の各地に雨乞いの神としてこの神を勧請した山がある。いずれも里近くの小さな山で、石尊大権現の石祠が祀られている。浅間の石尊山も同じ信仰から勧請されたが、山頂には石祠はない。しかし中腹には座禅窟を中心に、石尊をはじめかつての信仰の名残が色濃く残されている。その一つが血の池。血の池は女人がかならず落ちる地獄の池で『血盆経』というお経では「生理や出産の折に流す血が大地を穢し、その罪により女人は血の池地獄に落ちる」と説く。赤茶けた水をたたえた池の傍らには血の池弁才天の石祠が祀られている。
 血の池から流れ出すのが濁川で、その途中の赤滝に洞窟があり、二体の不動明王がある。ともに立像と思われ、一体は砂礫で胸まで埋まっていた。不動の光背の火炎に鳥の姿が刻まれている。仏像の形を決めた儀軌によると、不動明王は体全体を火炎が包むように表現される。火炎は迦楼羅炎ともいい、竜を捕らえて食うとされるインド神話の空想の鳥・迦楼羅を現す。迦楼羅天としては仏法を守護する八部衆にも見えるが、これを主尊とした信仰は生まれなかった。石仏としては浅間山の尾根続き、地蔵峠下の鹿沢温泉に笛を吹く姿の丸彫り像がある。
 血の池の西には座禅窟がある。大きな岩がせり出した広い岩屋で中央に千手観音が祀られている。かつてこの岩屋に籠って石仏を刻んだ行者がいた。行者を支えたのが山麓の追分にいた女郎や飯盛り女だったそうだが、確かなことは分からない。座禅窟の近くに鉄格子で閉ざされた洞窟がある。行者が刻んだ三十三観音の石仏があるらしいが、見ることはできない。

【参照】鹿沢温泉の迦楼羅はこのブログ・湯ノ丸・地蔵峠(長野)で案内しました。


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