偏平足

里山の石神・石仏探訪

石仏442安中・石尊山(群馬)

2013年04月19日 | 登山

安中・石尊山(せきそんさん) 不動明王(ふどうみょうおう)

442【データ】石尊山 571メートル▼国土地理院25000地図 三ノ倉▼最寄駅 JR長野新幹線・安中榛名駅▼登山口 群馬県安中市東上秋間の安中榛名駅▼石仏 長岩集落からの道の中腹。地図の赤丸印

44214422【案内】長野新幹線の安中榛名駅から里山風景を見ながら登る石尊山は神々の住む山。山頂だけでも10基もの石祠が祀られていた。そんななかに一つだけ像容のある石仏・不動明王が中腹の岩の上に立つ。右手に剣、左手は羂索を持つ坐像。本来の不動は憤怒の表情なのだが、この不動は両眼を大きく開いた愛嬌ある顔だ。不動明王が祀られる場所は行者の修業の場である滝や岩場などが多いのだが、ここは里山の中腹であり不動を祀る座所としては平凡である。こんな場違いな山中に不動があるのは、この山が丹沢の大山の祭神・石尊大権現を勧請した山だからである。
 かつての大山は山頂に石尊社を祀り、これを中腹にある大山寺が支配してきた神仏混淆の山。石尊社は石尊大権現と大天狗・小天狗からなり、大山寺の本尊が不動明王。地方に勧請された石尊社もこの形式を踏襲して、不動明王の石像と石尊・大天狗・小天狗の三基の石祠で構成されている例が多く、これまでも群馬県万場町の桐ノ城山や同じ群馬県桐生市の石尊山などを案内してきた。しかしどういうわけかこれらの山にある不動明王の表情はどれも穏やかである。意識的にそうしたのか……、単に石工の技量の問題か。

【独り言】石尊山というからには丹沢大山の石尊社を勧請した山に違いないと、この安中にある石尊山に出かけました。そして目論見通り大山の本尊・不動明王が出迎えてくれました。あとは山頂で石尊・大天狗・小天狗の石祠があれば目論見はパーフェクト的中になるはずでした。ところが山頂には10基もの石祠が並んでいました。案内の冒頭にも書きましたが、この山は登山道にも石祠が並ぶ神々の住む山なのです。ところで石祠のほとんどは、祀っている神の銘のないのが普通ですから、山頂にある4423 4424 10基のどれが石尊大権現かはわかりません。しかし石尊社を勧請した人びとのすごいところは、石尊・大天狗・小天狗の三基を同時に造立するとこです。この石尊山も、中央にある三基の石祠にはそれぞれ「天明八戊申年(1788)九月吉日」の銘がありました。そして三基の前にはまったく同じ形の石の賽銭箱まで造られていて、目論見通りの石尊山でした。

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