偏平足

里山の石神・石仏探訪

石仏272金精山(栃木・群馬)

2010年08月16日 | 登山

金精山(こんせいやま) 金精様(こんせいさま)

272 【データ】金精山 2244メートル▼25000地図 男体山▼最寄駅 JR日光線、東武日光線・日光駅▼登山口 栃木県日光市湯元の金精峠▼石仏 金精山の北東にある金精峠の

社殿内

27212722 【案内】栃木と群馬の県境にある金精峠。峠への栃木県側の登りはトンネル手前の駐車場から始まる。木の根や梯子を頼りに急な道を登ること30分で、コンクリート製の金精神社が建つ峠に着く。社殿の鉄の扉を開けると、正面祭壇に本尊の石造金精様が鎮座している。高さ50センチ、直径20センチの立派な男根が御神体である。正面に「安永九(1780)」の銘が刻まれている。金精様の信仰は一般的には縁結び・夫婦和合・子授け・安産・子育てなどである。これが村境や峠に祀られると、外部からの邪神の侵入を防ぐ塞ぎの神の性格が強まり、道祖神としてのくくりで取り上げられることもある。こうなると本来の造立背景は見えなくなってしまうので、金精峠という場所でこの石造物が祀られた背景を見てみたいが、なにも無い山の中ではそれも無理な話である。ただ大護八郎著『石神信仰』(昭和52年、木耳社)の金精様に紹介されている写真は、いまとはまったく別物の姿であるのはどうしてだろうか? また同書には金精峠と別の近くの峠に「金精権現と称する小祠があり、銅に鍍金した男根がご神体」というものがあったと紹介している。峠の栃木側の宇都宮市鞍掛山の鞍掛峠にある道祖尊(高さ130センチ)は「石仏82鞍掛山」で紹介した。群馬側の白沢村には6基の金精大明神があると『白沢村の石造文化財』(昭和50年、白沢村教育委員会)にあるので、この峠の麓には金精様が広く信仰されていたのは確かであろう。峠から金精山までも急な登りが続く。

【独り言】金精山の峰続き、日光白根山の下にある五色沼と弥陀が池の二か所で「植生防護柵」を見ました。五色沼に立つ案内には「かつてはシラネアオイの群生地でし2723_2 2724 たが、鹿の食害により、数が減少してしまいました。(略)鹿が入らないよう植生防護柵(電気柵)を設置し、植生の復元を図っています」とありました。電源はソーラーパネルを設置して確保しているようで、この高山での柵の施工から電線の設置まで、たいへんな作業だったと思います。そういえば山梨県の櫛形山の名物・アヤメも鹿に食べられて絶滅の危機とか。長野県の霧ケ峰のニッコウキスゲも鹿の害がでて花はまばらに咲いているだけでかつての黄色のジュウタンのような景色はもう見られないと聞きました。以前、丹沢の鍋割峠一帯に笹がまったくなくなっていたのも鹿の仕業と「石仏153鍋割山」で書きましたが、日本の山岳では鹿が異常繁殖しているようです。鹿が殖える背景は天敵がいなくなったこと、降雪の減少、狩猟者の高齢化などがあげられています。

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