偏平足

里山の石神・石仏探訪

石仏420赤沢富士(茨城)

2012年12月28日 | 登山

赤沢富士(あかさわふじ) 子安観音(こやすかんのん)

420【データ】赤沢富士 275メートル▼国土地理院25000地図 野口▼最寄駅 JR水郡線・常陸大宮駅▼登山口 茨城県城里町石原の赤沢新農村集落センター。地図の青丸印▼石仏 白山神社の入口。地図の赤丸印

42014202【案内】赤沢富士へは白山神社経由で登る。登山口は東山麓の石原集落にある赤沢新農村集落センター。センターの庭に車を置かせていただいて白山神社へ向かう。歩きだしてすぐ神社の鳥居があり、その前に子安観音が地蔵菩薩とともに木祠のなかに祀られていた。どちらも昭和13年の造立。抱いた赤子を見つめる観音は、垂髪で細身の美形。この地方の路傍でよく見かける姿だ。子安観音は仏教の儀軌にはなく、近世になって安産や育児を願う女性たちが造立したものである。片膝を立てる坐り方から、原型を如意輪観音に求めることができる。子安観音のなかには赤子に乳房を含ませる像容も多い。赤沢富士山麓の子安観音は、乳房を出すこともないスマートな姿である。木祠は子安講の人たちが平成10年に建てたもの。この地方には子安講があり子安観音を祀る習わしが続いているようだ。

 子安観音の前に立て懸けてあるのは「犬供養」の塔婆。ザクマタ・ザカマタなどと4203 も呼ばれているもので、多産・安産の犬を供養することにより、自分の安産祈願を目的とするもの。二俣の木に「如是畜生発菩提心 専祈身体健全」「奉修南無願王尊三供養功徳」と墨書きされていた。子安観音の脇には「二十三夜塔」が立つ。二十三夜は月待ち信仰のなかでも中世から続く伝統的な行事。赤沢富士山麓は信仰心の厚い土地である。それは白山神社の参道や境内に祀られた各地から勧請された神々(桑明神、駒形神、別雷神、鹿島神、日光神、稲荷神、熊野神)の木祠からもわかる。

赤沢富士は白山神社の裏から尾根通しに道が続いている。山頂から北へ下ると、御前山の西口登山道へ通じる林道に出る。また林道利用して赤沢新農村集落センターに下ることもできる。

4204【独り言】白山神社にはさまざまな神が勧請されていますが、石造物では不動明王と金精様が祀られています。なかでも2つの金精様は立派なもので、一つは高さ98センチの自然石を祀ったもの。一つは45センチほどのリアルな金精様です。茨城や栃木の山では、ごく稀にこの石造物に出合うことがあります。峠に祀られているところから道祖神4205 4206 的な、つまり悪霊の侵入を塞ぐという意味があると考えられています。しかし神社の境内に祀られている場合は、夫婦和合、子授け、安産、子育てなどの祈願となっているようです。『桂村郷土誌』(昭和42年、桂村郷土史改訂委員会。桂村は平成17年の合併で城里町4207 になる)によると、この白山神社は永正12年(1515)に加賀の白山から勧請されたもので、祭神は菊理媛命(くくりひめのみこと)とイザナギ・イザナミ命になっていますから、この山は全体が夫婦和合、子授けの神の山ということになります。さらに安産祈願の子安観音を祀っていますから、この赤沢富士に祀られた白山神社は、若いカップルにはお薦めの山となります。

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