アーロン・ベックによると、
抑うつ状態と婉曲された認知過程、思考過程は、
否定的認知の3微候 「自己」、「世界」、「将来」の
3領域における悲観的な考え方と関係している。
たとえば、鬱患者は、
「集中できないし、物覚えも悪くなった。
だから、自分はダメな人間だ」
← 自己・自分に対する否定的な考え
「自分は何一つおもしろい話しもできなくて、
こんな自分とつきあいたいと思う人はいないだろう」
← 世界・周囲に対する否定的な考え
「このつらい気持ちは、ずっと続いて絶対楽になんて
ならない」
← 将来に対する否定的な考え
といった考えに支配されていると言う。
このように歪んだ悲観的なものの見方や考え方が
気分の沈み込みと関係していて、これらが悪循環を
繰り返していると考えられる。
認知治療は、この悪循環を断ち切るべく、
悲観的で偏った認知に焦点を当てて、
より現実的なものに変化させることで、沈み込んだ
気分を改善しようというものである。