3/2 Number
UEFA CHAMPIONS LEAGUE SURVIVORS
ファビオ・カペッロ
「誇り高き指揮官の野望」
カペッロにインタビュー。その中で出てくる“ディアゴナーレ”という戦術。
ボールにチェイスする選手を基点にして、対角線上に選手が並ぶ。これではわかりにくいので、わかりやすくすると。(4-4-2前提)相手レフトサイドアタッカーがボールを持っている。そこにライトサイドバックがチェイスする。ライトセンターバックライトサイドバックの背番号が見えるようにポジションを取る。レフトセンターバックはライトセンターバックの背番号が見えるようにポジションする。レフトサイドバックはレフトセンターバックの背番号が見えるようにポジションする。
基点の選手から一直線に、フィールドに対して斜めにラインを取る。
カペッロはこの戦術を実戦していて、かなりの精度を選手に要求している。ディアゴナーレを形成するまでのスピードや、ラインの質を細かく要求している。ベンチから指示を送り微調整を行うほど。「わずかな狂いも許されない」と言っている。
ディアゴナーレは相手に“縦のスペース”を与えることになることが問題とされている。しかしカペッロは、相手に“前線でボールをキープ”されること許している。というよりは、前線でボールキープをさせている。カペッロのサッカーはプレスをかける位置が後方から始まり、“センターラインから敵陣10m”を目安としている。この位置に相手のボールが侵入してきたらプレスが開始される。
地上波とBSとWOWOWしか見れない僕はユーべのサッカーをほとんど見ることができないので、実際の動きを確認できていないのだが、この記事から想像できることは、コンパクトなサッカーを自陣で展開し、カウンター攻撃を仕掛けるということ。
プレッシングサッカー全盛の現代において、致命的なことは「間延びする」こと。DFとMF、MFとFWが縦の位置関係において短い距離を保つことが重要。最も前線に位置する選手と最も後方に位置する選手との距離を適度に短くする。10人のフィールドプレーヤーを点とし、その点を結んでできた歪な円の面積を適度に小さくする。それにより密度の高いプレッシングができる。相手選手は狭いスペースでの高度なボールタッチが要求されることになる。
カペッロの言う“センターラインから敵陣10m”からゴールラインまでは60m。センターバックはゴールラインから10mくらい前に位置しているので、実際の間隔は最大でも50mということ。センターバックとキーパーの間は少ししかないので、このスペースをつくのは難しい。サイドバックの後ろには10mから15mくらいのスペースがあるが、突破してセンタリングをあげても、突破をはかる時点で既にラインが形成されているので点には繋がりにくいだろう。
「横幅60m縦幅40m」という小さなスペースに相手選手と相手が保持するボールを誘い込み、このゾーンに入ってきたら10人でプレスをかける。
「バスケットコートより少し広いスペースに敵が10人。7人でボールをキープしなさい。もしくは、このゾーンを突破しなさい。」難しい注文だ。
カペッロはこれだけコンパクトなスペースを狂いなく作り出しプレスを欠けている。その上でのディアゴナーレ。ここにただのディアゴナーレではないということがうかがえる。後方からプレスを開始することで、DFラインを低い位置にとることができる。DFラインを低い位置に保つことができれば、ディアゴナーレの弱点である、「相手の縦のスペース」も短くなるということ。これで、ディアゴナーレの弱点といわれているものは無くなってしまう。
さらに、センターラインより敵陣10mまでプレスをかけないことで、相手の最終ラインは少しずつ前に上がってくる。ユーべのプレスをかける位置が低いことで、相手のDFラインは高くなる。ユーべが自陣への進入を許しているので、自然に高くなってしまうのである。これによって後方のスペースができてしまい、そこに世界屈指のアタッカー陣が速攻をかけてくる。
難しいことは全然していない。とてもシンプルなサッカーだ。しかし、カペッロは世界最高の精度を必要とし、忠実に実践することを選手に要求する。かなりの体力も必要だろうが、馴染みやすく大きく崩れることのないシステムである。個の突出した能力よりも監督の指示に忠実である選手を必要とし、指示に従えない者をプレーさせないという徹底も、カペッロの“安定”には欠かせないことだ。ある程度の能力があれば、あとは適性があるかを見ているのだろう。
チーム戦術の徹底なので個の能力にはさほど左右されずに、チームレベルをキープできる。多くの試合をこなすヨーロッパのトップチームには適した戦術だと思う。
しかし、アタッカーは誰でも良いとは言えない。カウンターチームにおいてアタッカーの質は最重要である。中盤のプレス、ディアゴナーレは組織的に行うので個の能力に左右されにくいが、アタッカーは最高級の速攻ができるスキルが必要。性格なボールタッチとスピード、なによりもゴールへの嗅覚と決定力が必要だろう。特にスピードと決定力だろう。オフォエンス面ではサイドアタッカーとサイドバックの能力もプラスされると力強い。そういった面ではカモラネージとザンブロッタは強烈。とくにザンブロッタ。縦に恐ろしく強く、視野も広い。クロスの精度も高い。何よりもサイドバックから前線に駆け上がり攻撃に参加して、低めのラインに参加する体力が素晴らしい。
現在の監督でNo.1は、カペッロだと僕は思う。今回のNumberの記事を読んで、さらにそう感じ取ることができた。
ずーっと前から思っていたが、最もスタジアムで見てみたいサッカー。TVではディアゴナーレ形成の動きなどはほとんど確認できない。世界クラブ選手権に出場してくれたら安くあがるのだが・・・
UEFA CHAMPIONS LEAGUE SURVIVORS
ファビオ・カペッロ
「誇り高き指揮官の野望」
カペッロにインタビュー。その中で出てくる“ディアゴナーレ”という戦術。
ボールにチェイスする選手を基点にして、対角線上に選手が並ぶ。これではわかりにくいので、わかりやすくすると。(4-4-2前提)相手レフトサイドアタッカーがボールを持っている。そこにライトサイドバックがチェイスする。ライトセンターバックライトサイドバックの背番号が見えるようにポジションを取る。レフトセンターバックはライトセンターバックの背番号が見えるようにポジションする。レフトサイドバックはレフトセンターバックの背番号が見えるようにポジションする。
基点の選手から一直線に、フィールドに対して斜めにラインを取る。
カペッロはこの戦術を実戦していて、かなりの精度を選手に要求している。ディアゴナーレを形成するまでのスピードや、ラインの質を細かく要求している。ベンチから指示を送り微調整を行うほど。「わずかな狂いも許されない」と言っている。
ディアゴナーレは相手に“縦のスペース”を与えることになることが問題とされている。しかしカペッロは、相手に“前線でボールをキープ”されること許している。というよりは、前線でボールキープをさせている。カペッロのサッカーはプレスをかける位置が後方から始まり、“センターラインから敵陣10m”を目安としている。この位置に相手のボールが侵入してきたらプレスが開始される。
地上波とBSとWOWOWしか見れない僕はユーべのサッカーをほとんど見ることができないので、実際の動きを確認できていないのだが、この記事から想像できることは、コンパクトなサッカーを自陣で展開し、カウンター攻撃を仕掛けるということ。
プレッシングサッカー全盛の現代において、致命的なことは「間延びする」こと。DFとMF、MFとFWが縦の位置関係において短い距離を保つことが重要。最も前線に位置する選手と最も後方に位置する選手との距離を適度に短くする。10人のフィールドプレーヤーを点とし、その点を結んでできた歪な円の面積を適度に小さくする。それにより密度の高いプレッシングができる。相手選手は狭いスペースでの高度なボールタッチが要求されることになる。
カペッロの言う“センターラインから敵陣10m”からゴールラインまでは60m。センターバックはゴールラインから10mくらい前に位置しているので、実際の間隔は最大でも50mということ。センターバックとキーパーの間は少ししかないので、このスペースをつくのは難しい。サイドバックの後ろには10mから15mくらいのスペースがあるが、突破してセンタリングをあげても、突破をはかる時点で既にラインが形成されているので点には繋がりにくいだろう。
「横幅60m縦幅40m」という小さなスペースに相手選手と相手が保持するボールを誘い込み、このゾーンに入ってきたら10人でプレスをかける。
「バスケットコートより少し広いスペースに敵が10人。7人でボールをキープしなさい。もしくは、このゾーンを突破しなさい。」難しい注文だ。
カペッロはこれだけコンパクトなスペースを狂いなく作り出しプレスを欠けている。その上でのディアゴナーレ。ここにただのディアゴナーレではないということがうかがえる。後方からプレスを開始することで、DFラインを低い位置にとることができる。DFラインを低い位置に保つことができれば、ディアゴナーレの弱点である、「相手の縦のスペース」も短くなるということ。これで、ディアゴナーレの弱点といわれているものは無くなってしまう。
さらに、センターラインより敵陣10mまでプレスをかけないことで、相手の最終ラインは少しずつ前に上がってくる。ユーべのプレスをかける位置が低いことで、相手のDFラインは高くなる。ユーべが自陣への進入を許しているので、自然に高くなってしまうのである。これによって後方のスペースができてしまい、そこに世界屈指のアタッカー陣が速攻をかけてくる。
難しいことは全然していない。とてもシンプルなサッカーだ。しかし、カペッロは世界最高の精度を必要とし、忠実に実践することを選手に要求する。かなりの体力も必要だろうが、馴染みやすく大きく崩れることのないシステムである。個の突出した能力よりも監督の指示に忠実である選手を必要とし、指示に従えない者をプレーさせないという徹底も、カペッロの“安定”には欠かせないことだ。ある程度の能力があれば、あとは適性があるかを見ているのだろう。
チーム戦術の徹底なので個の能力にはさほど左右されずに、チームレベルをキープできる。多くの試合をこなすヨーロッパのトップチームには適した戦術だと思う。
しかし、アタッカーは誰でも良いとは言えない。カウンターチームにおいてアタッカーの質は最重要である。中盤のプレス、ディアゴナーレは組織的に行うので個の能力に左右されにくいが、アタッカーは最高級の速攻ができるスキルが必要。性格なボールタッチとスピード、なによりもゴールへの嗅覚と決定力が必要だろう。特にスピードと決定力だろう。オフォエンス面ではサイドアタッカーとサイドバックの能力もプラスされると力強い。そういった面ではカモラネージとザンブロッタは強烈。とくにザンブロッタ。縦に恐ろしく強く、視野も広い。クロスの精度も高い。何よりもサイドバックから前線に駆け上がり攻撃に参加して、低めのラインに参加する体力が素晴らしい。
現在の監督でNo.1は、カペッロだと僕は思う。今回のNumberの記事を読んで、さらにそう感じ取ることができた。
ずーっと前から思っていたが、最もスタジアムで見てみたいサッカー。TVではディアゴナーレ形成の動きなどはほとんど確認できない。世界クラブ選手権に出場してくれたら安くあがるのだが・・・