goo blog サービス終了のお知らせ 

~青いそよ風が吹く街角~

映画(主にミニシアター映画)の感想文を軸にマイペースで綴っていきます。

『彼女の名はサビーヌ』 ※ネタバレ有

2009-04-26 18:49:10 | 映画【フランス】


フランス女優サンドリーヌ・ボネール
自閉症の妹サビーヌ・ボネールを撮影したドキュメンタリー映画です。

 『彼女の名はサビーヌ』:公式サイト

この作品は観に行こうかどうしようかずっと迷い続けていました。
私の妹も同様の障害者なので私の妹の姿と重ね合わせながら観てしまいそうで
この作品は客観的な見方が出来ないだろうし・・・。
だけど、先日私の母と
障害者自立支援法について話をしていた時に
私は障害者福祉の現状について何も知らなかった事に気付かされました。
日本だけではなく海外の障害者福祉の現状も知っておきたいと思いました。

北欧は福祉先進国として知られているので、
ヨーロッパの国々は福祉が整っているというイメージを持っていましたが、
フランスはケアが行き届いた障害者福祉施設が少ないというのは
日本と変わりはないですね・・・。

サビーヌと同じ福祉施設に入所している青年。
てんかん(発作)を起こしてから強い薬を飲むようになった。」
と青年のお母様が仰っていましたね。

そう言えば、私の母が
「一度、発作を起こしてしまうと
 一生あの子(私の妹)に薬を飲ませなければいけないからそれが怖いの。」
と言っていたのを思い出しました。
それと、私の母は
「あの子がパニック(感情のコントロールが出来ない状態になる事)を起こして暴れ、
 あの子に対して腹が立ったとしてもあの子の首から上は絶対に叩いてはいけない。」
と私や父、学校の先生や周囲の人達に常に言い聞かせていました。
つまり、妹の顔を引っ叩くと精神的にダメージを与えてしまうから
妹は発作を起こしてしまうかもしれない・・・。
それを防ぐ為でした。
そういう母の心がけもあって私の妹は以前と比べると情緒が安定し、
今でも発作は起こしていません。

実話をもとにしたフィクションではなく、
ドキュメンタリーとしてサビーヌのありのままの姿を世間に広めてしまうのは
サビーヌ自身心から望んでいるのだろうか?
私が女優で監督も出来る立場だったとしても
妹の人権を考えるとドキュメンタリー化する事は到底出来ない・・・。
と途中までは思っていました。
でも、ラストで姉と旅した頃の映像が映し出される
DVDを観ているサビーヌはとても辛そうだったけど、
それでもサビーヌは「もう一度観たい。」と言い、
二度目を観始めたサビーヌは少し微笑んでいるように見えた。
サビーヌは姉と旅していた頃の昔の自分も現在の自分も
全て受け入れようとしているんですよね。
自分と向き合っているという意味ではサビーヌは大人だし、
心の奥では自立しようとしているように感じました。
そういう前向きなサビーヌだからこそ
姉が自分を題材とした映画を作る事を了解したのかもしれないですね。


≪『彼女の名はサビーヌ』関連記事≫
①サンドリーヌ・ボネール監督インタビュー

 
「彼女の名はサビーヌ」ボネール監督に聞く~ 〔毎日jp(毎日新聞):09.02.28 〕

②コラム

 
「彼女の名はサビーヌ」~ 〔映画の森:09.01.18〕


6 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

コメント日が  古い順  |   新しい順
近さ (かえる)
2009-05-04 09:44:25
BCさん、こんにちは。
GWいかがお過ごしでしょうか?

とてもデリケートなテーマですが、部外者が一般的なヒューマニズムにのっとって、こういう題材の作品に取り組むよりも、家族のサンドリーヌがあえて妹をカメラにさらしてまで、福祉に切り込んだということに意義を感じました。
BCさんにも受け入れていただけてよかったです。
返信する
真心。 (BC)
2009-05-04 22:38:48
かえるさん、こんばんは。
BCのGWは地道に映画館通いです♪
ここ数日はアメリカ映画やアジア映画ばかり観ていたので
ヨーロッパ映画が恋しくなってきた今日この頃です。

サンドリーヌ・ボネールは身内である妹を撮るというのは色んな葛藤もあっただろうけど、
妹であるサビーヌが姉を信じて了解してくれたからこそ、この作品が完成したのでしょうね。

自閉症の特徴や福祉の現状を伝えた上で、
結婚を夢見ているサビーヌの普通の女の子としての可愛らしさも紹介していたところに
お姉ちゃんが妹を穏やかに見つめているようなサンドリーヌの真心を感じました。(*^-^*


P.S.
サンドリーヌは『親密すぎるうちあけ話』の脚本家ジェローム・トネールと共同執筆する
監督としての次回作を準備しているそうですね。
監督として女優としてのこれからの活躍が楽しみですね☆
返信する
Unknown (latifa)
2011-01-31 11:44:22
BCさん、こんにちは!
この映画、2009年度のドキュメンタリー映画の1位にされていたとは!
私は去年の夏見たのですが、知らなかった事や、海外の福祉の事情など、色々と考えさせられる事が沢山あって、見て良かったな・・と思った映画でした。

そうだ・・そうでしたね・・・。
妹さんが何度も若かった時の自分のフィルムを繰り返し見ているシーン、非常になぜだか、胸にぐっと来ました。
書き忘れてた・・。感想につけくわえておかなくちゃ。
返信する
一位。 (BC)
2011-02-01 23:01:41
latifaさん、こんばんは。

サンドリーヌ・ボネールと同じ境遇だから一位にしたというわけでもないんだけど、
やはり、今でも私だったらこういう妹をカメラの前にさらしてまで
世の中に訴えかける事が出来るだろうか?とふと考えてしまうんです。
こういう事って明確な答えがないから・・・。
多分、私の心から離れる事のない作品になるだろうなと思ったので一位にしました。

サビーヌなりに昔の自分も今の自分も見つめていこうとしているのでしょうね。
この映画の後、サビーヌは髪を伸ばし始めたそうです。
女である自分を取り戻そうとしているのかもしれないですね。
返信する
すいません、こちらで・・・ (latifa)
2011-02-02 10:06:26
BCさん、こんにちは!
自分ちのレスが、どうしても出来なくて・・エラーが出てしまって、何のワードが引っかかっているのか解らず・・・。こちらに貼らせてください。

この映画は、そもそもサンドリーヌさんが好きで、その彼女が撮ったプライベートな映画ということで、手に取って見たのですが、色々考えさせられる事や、知らなかった事を知る事が出来て、見て良かったと思いました。
普段は☆で点をつけるのだけれど、そういうのは、なんだかそぐわないような気がしてつけないでいました・・。

> 同じ事を繰り返し話す傾向があるし、
> また相手がそれを無視するとパニックを起こす可能性もあるので
BCさんのところで、首から上を叩いてはいけない・・ てんかんの薬・・・など、また知らなかった事を拝見しました。
ちょうど昨日の晩、ギルバートグレイプをBSで放映していて、前にも2回くらい見たことがあったのですが、また見てしまい、そこでディカプリオ演じる弟を持つ家族・・を見ていて、まさに下の事をひしひしと感じました・・・
> イライラせず忍耐強くならなければいけないので家族や周囲の人は大変です。
> だけど、家族や周囲の人も人間なので疲れていたりする時は
> 寛容に受け止めきれずイライラして怒鳴ってしまって、後になって後悔したり・・・。
> そういう葛藤を常に抱えているから気が休まる時はないですね。

『ベティの小さな秘密』は、是非に!!というほどの映画ではありませんが(^^ゞ お金出してレンタルせずとも、なにげにTVで無料放映などで見られる機会があった時はチェックしてみてください☆
たぶん「ミツバチのささやき」の方が名作かも・・・
返信する
『ギルバート・グレイプ』 (BC)
2011-02-03 22:28:46
latifaさん、こんばんは。
ブログのコメント機能が不調なのですね。

サンドリーヌさんはフランス映画で何度か見かけた
キレイな女優さんという印象しかなかったので
この作品で彼女の妹さんの事を知り驚きました。

『ギルバート・グレイプ』は個人的に思い入れが強すぎて
ブログにも感想を書けずにいる作品なのだけど、
障害者を描いた映画は本人または親の視点から描かれる事が多くて、
兄弟(姉妹)の視点から描かれる映画は少ないので貴重な作品だと思います。
私は自分でお金を払って映画を観るようになってから今年で20年経ったけど、
今まで観た映画でマイベスト1位は『ギルバート・グレイプ』なのです。
ミニシアター映画を本格的に観始めるキッカケとなったのも『ギルバート・グレイプ』でした。

『ベティの小さな秘密』はポスターが可愛らしかったので気になってはいたんですよ~。
テレビで放映される機会があれば観てみますね♪
返信する

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。