~青いそよ風が吹く街角~

映画(主にミニシアター映画)の感想文を軸にマイペースで綴っていきます。

*『悲しみのミルク』* ※ネタバレ有

2011-05-18 21:33:38 | 映画【スペイン・ラテンアメリカ・カナダ】


  『悲しみのミルク』:公式サイト

人間の義務
人間の意志

2010年のアカデミー賞外国語映画賞にノミネート、ベルリン国際映画祭で金熊賞。
南米ペルーにおける歴史の傷跡を描くと共に、未来への希望を美しい映像に結実させた作品。

最近はメジャーな映画を多く観ていたので、
ドキュメンタリー以外の生粋のアート映画は久々に観たような気もします。

ファウスタの母は目の前でテロリストに夫を惨殺され、母自身も凌辱を受けた。
ファウスタ〔マガリ・ソリエル〕は母親のトラウマが母乳によって伝染した“恐乳病”だと思い込んでいて、
レイプから身を防ぐ為に胎内にジャガイモを埋めています。
そのじゃがいもが発芽してくる度にファウスタはその芽をハサミで切り取るんだけど、
肌の表皮を突き破っているはずなのに血が全く出ないのが不思議だったな~。
ある意味、ファンタジーなのかしら?
ファンタジーと言えば『Ricky リッキー』なんかは
赤ちゃんに羽が生えてくる過程でこぶが出来て血が出たり毛むくじゃらだったり生々しかったけどね。

 ~『Ricky リッキー』~ ※ネタバレ有

こういう作家性の強い監督の作品はジャンルが曖昧なんだけど
色々想像をめぐらせる事が出来るのでたまらなく面白く感じる私なの。

死ぬのは“人間の義務”それ以外は“人間の意志”というような事を言っていたけど、
なんかわかるような気もしてしまったな。
“人間の義務”人間はどんな人間であってもいずれは死期を迎えるのだから逃れる事は出来ない・・・。
“人間の意志”親世代の凄惨な歴史の傷跡は消せないけど、子供世代までが引きずる必要はない・・・。

ファウスタはまだ若いからそれを理解しきれていない感じだったけど、
ラストのファウスタの決意から彼女なりに前へ一歩踏み出そうとする
希望が伝わってきた作品でしたよ。


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