~青いそよ風が吹く街角~

映画(主にミニシアター映画)の感想文を軸にマイペースで綴っていきます。

*『終の信託』* ※ネタバレ有

2012-10-23 01:50:42 | 映画【日本】


  『終の信託』:公式サイト

愛は傍から見たら喜劇
空と水

朔立木の『命の終わりを決める時』に収録された同名小説をもとに映画化。
Shall We ダンス?』の周防正行監督・草刈民代・役所広司の3人が再び顔を合わせた作品。

女医:綾乃〔草刈民代〕は病院の職場内の恋愛のいざこざで当直室で自殺未遂して、
患者にもその事が知れ渡っていたみたいなのに、クビにならないのが不思議だわ。。。
病院内の職場の人間関係が省かれていたので、
女医である綾乃が部長になった事で嫉妬をかい、
患者:江木〔役所広司〕の最期の件を3年後に暴露されたというのも説得力なかったよな・・・。

前半は綾乃と江木のいきさつ。
後半は検察での取り調べ。
特に、検察での長回し名台詞は凄かったね。
大沢さんも草刈さんも声の大きさは衰えず持続していて迫力あった。
草刈さんは前半の浅野さんとのベッドシーンではバストトップもチラッと見せていた。
日本の女優さんはそこまで見せる人は少ないし、
監督は夫なのにそういう場面もやってのけるのは度胸あるよね。
表情はポーカーフェイスだし、台詞回しは単調でたどたどしいし、演技は未熟な感はあるけど、
ステージ慣れしているだけあって集中力は優れてそう。

相手を尊重するがゆえに・・・ってとこは
ある意味『愛の流刑地』みたいな感もよぎったし・・・。
だって、医師としての客観的判断を通り越して、
人間としての感情からの判断だったから・・・。

観る前はもっと社会派なのかと思っていたけど、
職場にまつわる事にリアリティが乏しかったし、
結局は愛の物語のような気もした作品でした。


P.S.
上映前に周防正行監督と監督の奥様でもあり、
この作品の主演女優草刈民代さんの舞台挨拶がありました。
私は会社帰りに直行したので会場に着いたのは2・3分遅れですでにお二人が登壇されていました。
私が聞いた中で印象に残ったのはこの3つ
(メモをとっていなくて記憶に頼っているので言葉は正確ではないかもしれないです。m(_ _)m
 大体のニュアンスで読みとって下さいね。)

 ◇ 『Shall We ダンス?』も『終の信託』も草刈さんの役は先生役というのが共通している。

 ◇ 草刈さんと浅野さんのラブシーンに関しては
     (実際の妻が俳優と演じるラブシーンではあるけど)監督としては画を撮る事しか考えていないから、
      浅野さんのほうが気を使ったのでは?

 ◇ 草刈さんは『Shall We ダンス?』の時はバレリーナで(映画は)この1本だけならという事で
     バレエ界からお招きしたゲストという感じ。
     今回(『終の信託』)はバレリーナ辞めてからなので女優としてという点が変わった。

舞台挨拶終了後、監督と草刈さんがステージから降りるときに
監督がそっと草刈さんの手をとってエスコートされていて素敵でした。
仲睦ましいご夫婦ですね。


≪『終の信託』関連記事≫

 映画『終の信託』草刈民代&役所広司&周防正行監督 単独インタビュー 〔シネマトゥデイ〕


4 コメント

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こんにちわ (にゃむばなな)
2012-10-28 17:36:25
後半の検察庁でのやりとりは面白かったのですが、でも普通は医療のプロとして本人の意思を明確にする承諾書とか作るべきだと思ったので、どうもこの映画からは説得力を感じれませんでしたよ。

それにしてもあのベッドシーンに他意はなかったのですね。
てっきり監督の趣味かと思いましたよ。
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書類。 (BC)
2012-10-29 21:48:36
にゃむばななさん、こんばんは。

そうですよね、患者の意志を口頭のみではなく、
書類として形に残しておくのが医師の務めですよね。
この女医は医者としての客観性を見失っていますね。

テレビ番組のインタビューで草刈さんは取り調べ場面の撮影の時は演技に集中する為に自宅には帰らず、
ホテルに泊ってそこから現場に通っていたと仰っていたので、
現場では夫婦ではなく、監督と女優として割りきっていたみたいです。
ただ、舞台挨拶では草刈さんを女優としてスタートさせたいという監督の思いは強く感じました。
だから、ハードな場面もやらせたのかもしれないですね。
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家庭も~ (cyaz)
2012-11-02 12:46:40
BCさん、こんにちは^^

>病院内の職場の人間関係が省かれていたので
確かにそうですね、長尺なのでもう少し触れてあっても良かったような(笑)
ついでに言うと、江木が仕事人間で家庭を顧みなかった
部分も少しぐらい触れても良かったかも。
このテーマからすると、そこも避けて通れない部分だと思いましたが・・・。
闘病日記に「もしもの時は早く楽にしてほしい」と、
綴られていたことが救いでした。
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答え。 (BC)
2012-11-03 15:02:24
cyazさん、こんにちは。

前半は綾乃と江木のいきさつで後半は検察での取り調べに的を絞った構成だけど、
職場の中の綾乃の立場や江木の家庭内での立場が省かれていたので
心情に入り込み難い面もありましたね。

闘病日記に江木の意志が書かれていたのは救いでしたね。
だからこそ、綾乃の量刑も軽減されたのだと思うし。
ただ、江木が最後にもがき出したのは
危篤になる前の本人の意志とは別に
本能的には生きようしていたようにも感じとれたし・・・。
こういう問題はそう簡単に答えが出せないから考えさせられますよね。
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