『ふたつの人生』:【第20回 大阪ヨーロッパ映画祭】公式サイト
家族
旧東ドイツの施設で育ったカトリーヌ。
今は母国ノルウェーで家族と共に暮らしているが、
弁護士が現れたことから、しだいに彼女の秘密が明らかになっていく様子を描く。
ヨーロッパ映画にはナチを題材にした作品が多いけど、
ノルウェー女性への性的迫害があったことはこの作品を観て初めて知りました。
純粋に母に会いたいが為に命がけで亡命し、やっと母が住む家にまで辿りついたのに
残酷な目に遭ってしまった、純な女性・・・。
その一方、施設から生き残る為に諜報員にならざるおえなかった、したたかな女性・・・。
ただ、家族の愛が欲しかった、家族の愛を求めていた。
女ならば誰もが一度は望みそうな、ささやかな幸せを得たかっただけなのに
現実は世知辛いよね・・・。
ヨーロッパの負の歴史?に翻弄された二人の女性の行く末がやるせなかったけど、
彼女が実の家族ではなく、
一般家庭に忍び込んだ諜報員(残党)だったという真実を何も知らなかった母・夫・娘が気の毒・・・。
諜報員は変装の時に黒髪ロングのウィッグをつけていた。
それは自分のせいで殺されてしまった女性へのせめてもの罪滅ぼしなのでしょうか?
それとも、彼女の分まで生きる決意めいた意志表示だったのでしょうか?
この作品は日本で一般公開してほしいな。
少しでも多くの方達の感想をきいてみたい。
考えさせられる重厚な作品でした。