自宅
フランス映画界の鬼才レオス・カラックス監督が13年ぶりに発表した長編映画。
デビュー作以来、度々タッグを組んできた名優ドニ・ラヴァンを主演に迎え、
夜明けから深夜までの間に11もの異なる人格を演じていく男オスカーの姿を描き出す。
既成概念に捉われず男の心象風景を映し出す。
ある意味、韓国映画界の鬼才キム・ギドク監督の『アリラン』を彷彿させるモノがあったな。
『ホーリー・モーターズ』は役者に自分を投影させているし、
自作他作問わず映画へのオマージュも捧げているので
監督の映画へのアプローチの仕方は全く違うんだけど、現実と虚構を交錯させているところがね。
(端的に言えば、“天才の愚痴”“作品を生み出したい焦燥感”なのかも?)
それにしても、首を刺されても苦しんでいても死なない主人公はゾンビとしか思えず。。。
前衛的な舞踊?やインターミッション、突如ミュージカルのように歌いだすのは舞台ぽかったり、
『ゴジラ』のテーマ曲と共にフラフラながらも突き進むように歩いていったり、
自宅にはチンパンジーの奥様?がいたり、
ハチャメチャと言えばそれまでなんだけど、
次々、様々なジャンルが繰り広げられるのがたまらなく面白い☆
共通しているのは台詞が抽象的な言い回しで哲学的なコトぐらいなの。
一見、入り組んだ“芸術映画”に見えて、実は単純な“娯楽映画”のような気もした。
考えながら見たって監督の夢想の世界?なんだから到底わかりっこないので
頭の中を空っぽにして目に入ってくる映像だけを観るほうが楽しめるから。
本来、映画には“芸術映画”と“娯楽映画”の境目なんてないのかも?
観客が映画のどういう点に面白味を見出すかだけの違いだからね。
まるで玉手箱のような作品でした☆