Overflowing

あふれる想い

当たり前のことが

2011-03-22 11:47:49 | Weblog

mさん、あかりさん、桃花さん、温かいコメントをありがとうございます。
皆さんがご無事でよかったです。
被災を免れた皆さんが一生懸命、自分たちにできることはないか、と
考えたり祈ったりしてくださることに、大変感謝しております。
今日の記事もまだ少しショックを引きずっていたころのことですので暗いですが(苦笑)、
今は僕も彼女も落ち着いてきており、元気です

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彼女を置いてきてしまって以降のことは、あまりよく覚えていない。
祖母を藤沢に送り届けさえすれば、僕はすぐに戻れると思っていたのに、
あまりにも予想外の事態になってしまい、あれこれと対応することに追われ、
いつ、何をして今日まで過ごしてきたのか、あまり記憶が鮮明ではなく。

ただ、震災直後から数日は被災地にいたので、窮状も経験していた。
東京に辿り着いた時、姉貴も叔母も僕たちをとてもいたわってくれて、
「何が欲しい?」とか、「何を食べたい?」と聞いてくれた。
だけど、僕は何も思い付かなかった…。
何かが欲しい、という欲求すら消え去っていたのかもしれない。

とりあえず自分たちのものをほとんど持ってきていなかったので、
当面必要なものを買うために買い物に連れて行ってもらったのだが、
僕は、売っているものの豊富さに愕然とする気持ちだった。
被災地ではお店さえ開いておらず、何もなかったのに…
ここには物があふれている。

買い物の途中で、テナントに入っているスタバに連れて行かれた。
僕は、自分ばかりこんな贅沢をしていいのだろうか、とオドオドした。
姉貴や叔母は、被災してきた僕たちを温かく迎えていたわってくれているのだが、
それがわかっていても、気持ちが落ち着かなかった。
「疲れてるだろうから、少し甘いものも食べたら?」と言われて見たショーケース。
ケーキが並んでいて、そのことにさえ驚いてしまった(苦笑)。

「こんな贅沢、できないよ」と僕は思わず言ってしまったのだが、
結局は四人で二つを分け合おう、ということで買ってもらってしまった。
普段はほとんどケーキは食べない僕だったが、
買って頂いたものを無駄にはしたくないので、食べた。
美味しかった…。それと同時に、悲しい気持ちになった…。

そして、閉店間際だというのに、たくさんのお惣菜が売れ残っていて。
僕はぼんやりとそれを眺め、ふいに苦しくなった。
その気になれば好きなものを手に入れられる自分。
だけど、皆はそうではない。
売れ残った惣菜はどうするんだろう?捨てるのだろうか?
捨てるくらいなら僕にくれ、今すぐ皆に届けてあげたい、と心から思った。
何だかすごくせつなくて、僕は泣きそうになってしまった…。

街中の自動販売機ではジュースも売っていて。
被災地では断水が続いたため、自販機のジュースはほぼすべて売り切れていた。
売り切れても補充が来ないから、どこにも売っていない状態が続いていて。
自販機でジュースが買えるのは当たり前のことなのに、
今の僕は、ジュースが売られていることに驚いている…。
それに今までの僕だったら、売れ残る惣菜のことなど考えもしなかった。

自分の家では断水生活が続いていたため、
トイレの水は流せない、お風呂など到底入れない、洗濯も無理。
手を洗うのも大変だった。そんな生活が何日も続いていた。
さらに余震に備えて普段着で寝ていたため、着替えることさえ忘れるくらいで。
だから、叔母の家でお風呂を勧められた時も、入っていいのかと聞き返してしまった。
トイレの水を毎回流してもいいのか、今も一瞬迷ってしまう。
パンツを毎日変えなさい、と言われて「いいの?」と戸惑ってしまう(苦笑)。

それまでは当たり前だったことが、そうではなくなるということ…。
そして、「当たり前」のことが本当はどれほどありがたいことか実感する。

被災地では、まだ厳しい環境の中で苦しんでいる方々が多くいる。
僕の地元でも、まだライフラインが復旧していなくて食料も手に入らず…。
だけど、被災していない地域の皆さんが普段の生活に戻っていかれてこそ、
復興の一歩になりうるのだろうと思う。
僕と彼女も、何度か電話で話した。そして笑うことができた。
明るい被災者でもいいんじゃないか。
もちろん、この大きな悲劇を忘れるわけではない、亡くなられた方を悼まない訳ではない。

だけど僕たちはこの環境の中で生き抜いていかなければならないのだ。
だから…多少不謹慎かもしれないが、
以前のようにブログにいろいろとつづっていけたらと思う。
もちろん、彼女に逢えないでいるのでラブラブなネタはないのだが(笑)。
でも、今回のことで彼女との間でもいろいろあったので(苦笑)、
自粛せずに、ありのままを書いていけたらと思っています。


4 コメント

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Unknown (M仔)
2011-03-28 12:56:54
お久しぶりです、地震の被害心配です。keyさんが生きていらして安心しました。私にとってブログという繋がりしか在りませんでしたが、彼女さんとの微笑ましいやりとりを見るのが好きでしたから…
今、あなたが生きているという事だけで価値や意味があるんです。多くの被災者の方の為に私自身何も出来ない不甲斐なさ、当たり前の生活、確かに申し訳ないです。

もう一度彼女に会って時間かけてでも決めるべきですよ。フェードアウトなんて悲しすぎる。
お互い家庭も大事ですけどね。特に私も母が浮気してたの目にしてますから。笑
今考えると、お陰で父は母を大事にするようになったし、母も女だったんだと思います。
どういう形になるにせよ、2人で話合える日まで頑張って生き抜いてください。応援しております。
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Unknown (ココア)
2011-03-28 22:22:27
Kさん、はじめまして。ブログを読ませていただいてます。
震災に合われて、大変な思いをされていることとお察しします。
どうか、生きてください。生き抜いてください。ブログから、Kさんの心の奥底が本当に清く、優しいことが伝わっています。震災によって、例えようがないくらい傷ついていることも感じます。
共に生きましょう。会ったこともないKさんのことを、私は応援したい。事態は必ず好転します!手をのばして救いを求めれば、その手をしっかりつかんでくれる手が必ず存在します。信じて生きましょう!!!東京の片隅から、応援しています。
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M仔さんへ (KEY)
2011-03-31 00:20:07
本当にお久しぶりです!
ご心配くださり、本当にありがとうございます。

個人的な地震の被害は、僕の実家が絶望的かつ復興のめどが立たないので、父の精神的な負担が心配でありますが、祖母の件などは、ようやく落ち着きました。
彼女の家は今日もまだ水道が復旧していません。
震災前の生活には当分戻れそうにありません。
ですが、こうして生きていて頑張っています!
ありがとうございます。

僕が生きているということだけで価値や意味がある、と言ってくださり、ありがとうございます。
ブログを通じて温かなコメントをたくさん頂き、感謝の気持ちでいっぱいです。

どうか、何も出来ないとか、そういうことでご自分を責めないでください。
当たり前の生活を送れていることを申し訳なく思うこともないんです。
被災を免れた皆さんが日常を送ってくださることが、被災地を助けることに繋がると思います。
お心遣いが、とてもありがたいです…。

彼女とは、一度電話で気持ちを話し合い、想いを伝え合えました。
そして、先週、僕は戻ってくることが出来まして、彼女にも逢えました。
こちらに関しては記事で書かせて頂きます

M仔さん、お母さんの浮気を目にされたんですね…。
そのような思いをしていながら、家庭のある彼女との関係を全面的に否定することなく、むしろ励ましてくださり、本当にありがとうございます。

今回の震災で、これからいろんなことが変わっていく気がします。
もう元の生活には戻れない…
そう思うと不安にもなりますが(苦笑)、
彼女にとって最善の道をいつも探していきます。
彼女の幸せが僕の幸せだと思うので…。

本当に、ありがとうございます!
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ココアさんへ (KEY)
2011-03-31 00:29:49
初めまして。ブログ作成者のKEYです。
とても温かなコメントを、本当にありがとうございます。
すぐにお返事できなくて申し訳ありませんでした。

震災で、あらゆるものが崩れていきました。
家だけではなく、生活も仕事も…。
復興の目処さえ立たないので、正直なところ、先のことを考えられないという感じです。
考えると立ち止まってしまいそうだからです(苦笑)。

それでも、事態は必ず好転するというココアさんの力強い言葉に励まされました。
応援してくださって、本当に感謝しています。
先の明確な希望が見えなくても、今は一日一日を見て生きていられます。
僕よりもずっと厳しい苦境に立たされた方々、愛する人を亡くされた方々を思うと、こうして生きている僕が立ち止まっていてどうする、と思います。

気弱になりたくないので今は本当に目先のことしか考えていませんが、目先のことで精一杯という現実もあり、精神的には落ち着いてきました。
何より、地元に帰れたこと、彼女に逢えたことが一番大きいと思います。
だから、頑張って生きていきます!

本当に、ありがとうございます。
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