週明けの欧州時間、公表された弱い独6月のIFO景況指数を嫌気し、ユーロは一本調子で下落、1.5500を割り込み、ニューヨーク時間で1.5468の安値を付けた。一方で、イングランド銀行金融政策委員会のアンドリュー・センタンス委員の発言に圧迫されて、ポンドも下げた。アンドリュー・センタンス委員は、英国はインフレ高進が賃金上昇につながらないことを確実にする必要があるとの見解を示すとともに、景気減速は今後数年、物価上昇圧力の緩和に寄与すると指摘した。委員は軟調な住宅市場や金融セクターの厳しい状況が「景気不透明感」を高めていると指摘、「こうした要因で今後数年、経済成長はかなり減速し労働市場は一層弱くなり、それがインフレの上方圧力を相殺する一助となる」と述べた。金融政策委員会の中で最もタカ派的な委員のひとりとみられている同委員の発言を受け、市場の利上げ観測は後退し、ポンドの悪材料となった。ニューヨーク時間、これといった材料の発表がなく、ユーロとポンドは小幅に反発した。
先週火曜日のアジア時間及び欧州時間、ユーロドルは緩やかに上昇した。ニューヨーク時間に入り、発表された米消費者信頼感指数やリッチモンド連銀製造業指数は弱い数字だったことから、軟調な消費支出は米経済拡大の足かせとなる可能性があると思われ、ユーロドルは一時1.5621の高値を付けた。が、米金利決定の発表を控え、すぐ1.5560の付近まで反落した。
水曜日の欧州時間、ユーロドルはもみ合いながら上昇した。ニューヨーク序盤、公表された米5月の耐久財受注は予想と一致だったものの、4月の指数は下方修正された。過去6ヶ月間、耐久財受注指数はただ2回プラスとなり、経済の不況は米製造業に悪影響を及ぼしたことを示したので、ドルの売り材料となった。よって、ユーロドルは一時1.5614の高値を付けたが、すぐ1.5560の付近まで回復した。米連邦公開市場委員会(FOMC)は25日、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標水準を2.00%に据え置くことを決定した。フィッシャー委員は、今回の会合ではFF金利誘導目標の引き上げが好ましいとして、反対票を投じた。FOMCは年内にインフレが緩和するとの予想をしめしたので、8月に利上げする観測が後退した。金利決定の発表を受け、ユーロドルは1.5539の安値を下トライした後、すぐ急伸に一転し、1.5685の高値を付け、2週間ぶりの高値を更新した。
米早期利上げする観測の後退や商品価格の全面高で、木曜日のドルは引続き弱含み展開となった。リビアが減産検討していることを示した上に、石油輸出国機構(OPEC)のヘリル(Chakib Khelil)議長が、原油相場は今後数カ月で170ドルまで上昇する可能性があるとの見解を示した。これらの買い材料に支えられ、NYMEX原油先物8月限は140ドルの関門を突破した。スポット金も30ドルあまりの上げ幅を収穫した。ほかに、欧米株は全面安となり、市場ではリスク回避志向が高まり、円やスイスフランなど低金利通貨は上昇した。
金曜日、米国の面では一連の指数を発表した。中には、5月の消費支出などのインフレ関連指数は予想と大体同じとなり、相場への影響は限られた。一方で、商品価格の続伸はドル安に一助を果した。