59歳「じージ」の癌治療日記

2005年11月、胃がんと診断された3人の孫を持つ59歳男性の治療記録

医療の地域格差と経済格差

2006-05-07 09:29:10 | Weblog

5月7日(日曜日)
今日で連休も終わり。といっても私は毎日が連休で代わり映えしないが・・・

最近、新聞や本の宣伝に癌と言う文字がやたらと目に付くようになった。
以前から同じ確率で世の中に出回ってはいたのだろうが、
自分が癌になると、とたんに目に付くようになる。
癌に限らず、今まで見過ごしてきた記事や情報が興味を持つと結構身の回りに沢山あることに気が付く。
人間の注意力はそんなものだ。

朝日新聞に「患者を生きる」というがん患者を対象とした特集記事がある。
いろんながん患者から取材した内容を記事にしたものだが、新しい情報に触れることも有り、興味深く読んでいる。
最近つくづく病気になってもその人の住んでいる場所(地域)や経済状態によって治療の効果や結果が随分と異なるのが現実だな、と思えるようになった。
2,3週間前の記事に九州は佐賀県の患者の話が載っていた。
食道がんを患った53歳くらいの男性患者の話だ。
その患者さんは当初は地元の病院で手術を受ける気持ちで居たが、周りの人や家族の勧めも有り、色々と調べたり悩んだ結果東京の国立がんセンターで手術を受けた。
東京まで出てきて治療を受けるのは時間的にも体力的にも大変である。一番大変なのは経済的な負担だ。患者本人の入院費用のほかに、付き添いの家族も病院近くにホテルを取って入院中は患者の世話をしたそうだ。幸いにその患者さんは奥さんをはじめ家族の理解があり退職金を使ってでも命には代えられないといってみんなで治療に協力してもらえた。
一般の人は「何もそこまでしなくても地方の病院で十分ではないか」と言われるかもしれない。しかしその記事にも書いてあったが現在の日本の医療現場では地方と大都市近辺では確かに格差がある。地方でも大学病院のある中核都市はそれなりの治療が受けられるが、そうでない所では手術例も少ないし専門医も居ないのが現状だ。
前述の食道がんの患者さんが、がんセンターに来た時の印象が新聞に載っていたが、病院に入った瞬間から全てが違ったと言っている。分かる気がする。

今日の新聞には肝臓がん患者の話が出ていた。
肝臓がんの治療方法はいくつか選択肢がある。
新聞記事の患者さんは今有る全ての治療を行ったが効果なく、 病院から見放された。
それでも色々と調べてインターフェロンと抗がん剤5FUとの併用の治療法があることを知った。しかしこの治療法は現在保険診療として承認されていない。つまり自己費用負担の治療となる。それでもなんとかこの治療を受けたいと病院に頼んだがその病院では厚労省で承認されていない治療方法だとの理由で出来ないとのことで大学病院を紹介された。
幸い紹介された大学病院で併用治療を受けることが出来、これが効果を発揮して癌が縮小、完治した。
インターフェロンそのものはC型肝炎などウイルス性慢性肝炎の薬として保険適用されているが、癌に使う場合は保険適用外となる。早く認可して欲しいと願う患者は沢山居るそうだ。
この記事で感じたことは自己リンパ球改造治療などの免疫療法と同じく、最新の治療方法があることが分かっていてもなかなかそれを受けることが難しいことと、治療を受けるにしてもお金がかかると言う事実だ。
病気になってもその人の置かれている環境と経済的な条件によって人の命は随分と左右されるものだ。

2つの例から私は恵まれた環境に居て幸せだと感じた。
まず、首都圏に近いところに住んでいて最新の医療技術を備えた病院にかかれる。
治療方法も納得のいく治療を受けることが出来、幸いにして今のところ治療効果が上がっている。
何よりも家族の理解があり病院の治療のみならず漢方薬、びわの葉温灸、食養生、温泉治療など経済的な負担をかけながらも受けることが出来る。


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