ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

現代カントリー・ミュージックのアルバム・レビューや、カントリー歌手の参考になりそうな情報を紹介しています

LeAnn Rimes リアン・ライムス Family (ファミリー)

2007-12-07 | カントリー(女性)

 若干25歳の若きカントリー・ディーバLeAnn Rimes(リアン・ライムス)の新作。今月12月12日には国内盤も発売予定です。彼女のこれまでの華々しい活躍と大物振りからすると、まだこんなに若かったの?てな印象。デビューしたのが1997年、まだ14歳の時だったのです。何十年に一度の天才少女登場!ってな感じで大いに話題だったのを覚えています。アメリカではデビュー時に同世代の若者達が彼女のファンになり、そして今でも一緒に成長してLeAnnを見守り続けるという構図で支持され続けているみたいです。出すアルバムはことごとくカントリー・チャートのトップ10に入るという、実に安定した人気を維持しています。

 



 今回の「Family(ファミリー)」、そのオープニングのタイトル・チューンでは実に土の風味のするアコースティック・ギターのイントロで期待を持たせ、それに勝るとも劣らないLeAnnのオーセンティックなカントリー・ボイスで聴き手を彼女ならではのカントリー・ワールドへ引き込みます。2曲目の、よりアップ・テンポで緊迫感の増す「Nothin' Better to Do」でも同様のスタイル、コンテンポラリーなディストーションの効いたギター・サウンドがフィーチャーされ、かつてのアメリカン・ロックの歌姫Linda Ronstadt(リンダ・ロンシュタット)を彷彿させるロッキッシュなパワーを発散します。そしてその次のピークが「Good Friend and a Glass of Wine」。ミディアムのルーズなロッキン・サウンド(ズバリ、The Facesの"Stay With Me"調)とLeAnnのピュアでワイルドなカントリー・ボイスのマッチングが素晴らしく、アルバムのハイライトの一つとなってます。 ロック・アーティスト、Marc Broussardとのデュエット"Nothin' Wrong"などは、曲・サウンドは王道アメリカン・ロックなのですが、LeAnnのワイド・レンジな歌声はまごう事なきカントリーのそれ。のっけから、カントリー伝統のしゃっくり声をカマすのです。これぞ本物のアメリカの「芸」!一時はポップ・サウンドにドップリ身をおいた時期もあるLeAnn、その経験が今血肉となって彼女のカントリー・スタイルに消化されています。

 私的にLeAnnの本来の姿と思う、ダウンホームな魅力が最も堪能できるのが「One Day Too Long」。ホーンセクションがフィーチャされたレトロなサザン・ソウル・バラードで、語りも交えエモーショナルでディープなLeAnnに聴き惚れますよ。この曲のようにアルバムの後半ではコンテンポラリー色が少し薄れてきて、他に"Pretty Things"のようなアコースティックなカントリー・バラードも聴けます。スティール・ギターが良い雰囲気を作る、心穏やかに聴けるバラードです。もっとこの手を歌って欲しい!そして新曲のラスト(この後、Bon Jovi("Till We Ain't Strangers Anymore")そしてReba McEntire("When You Love Someone Like That")とのデュエットを2曲ボーナス収録しているので・・・)、"What I Cannot Change"は荘厳なサウンドと美しい歌声~神々しいファルセット~で歌い上げられるバラードで、聴き手を圧倒してくれます。本アルバム収録の全ての新曲でソングライターとしてLeAnnの名がクレジットされていて、これも今作の大きな話題です。

 

  

 

「Blue」        「LeAnn Rimes」



 こうして着実にタレントの巾を拡げて成長し続ける彼女ですが、やはり先にも触れたデビュー盤「Blue」は忘れられません。レジェンドPatsy Clineの為に書かれたもののその突然に死によってレコーディングされなかった、ナッシュビル・サウンドの名曲"Blue"。そして御大Eddy Arnoldとのデュエットで、この若さにして堂々のヨーデルを聴かせる"Cattle Call"などレトロ調ナンバーが彼女のカントリー・フレイバー溢れる歌声にピッタリでした。それにも増して素晴らしかったのが、宝石のようなバラード"Light In Your Eyes"。キラキラと輝くようなエレクトリック・ギターに乗った、情熱的でみずみずしい歌声は永遠のモノと思います。ポップ・チューンでは"One Way Ticket"が若さはじけるような佳曲で、これもシングルヒットしていました。1999年には、カントリー・クラシック曲のカバーアルバム「LeAnn Rimes」をリリース、彼女のカントリー・ボイスが堪能できる良いアルバムでした。特にMarty Robbinsの"Don't Worry"で聴ける縦横無尽のソウルフル・ボイスは強烈でしたね。やっぱりこの手のダウンホームなカントリーを歌うのがLeAnnのあるべき姿だと思うんですが・・・・天才であるが故、周りから多種多様な期待をされイジラれるのは仕方のない事なのでしょう。

 



 1982年ミシシッピ州ジャクソン生まれ、そしてカントリーの聖地テキサス州はGarland育ち。7歳の時初めて歌のコンテストで優勝し、11歳で早くも父Wilburのプロデュースでアルバムを自主制作。この中で既に"Blue"がレコーディングされていました。LeAnnの歌声を聴いたCurb Recordの社長Mike Curbは、聴くやいなや彼女の歌声に惚れ込みすぐに電話で彼女との契約を指示したそうです。デビュー後瞬く間にスターダムにのし上がりましたが、2002年にはそれまでの不当なロイヤリティーで、Curbと父Wilburに対し訴訟を起こすという事件もありました。しかし父とは結婚式で和解しています。アルバム「I Need You」あたりから一時ポップ・シーンをターゲットにしていて、住まいもロサンジェルスに住んでいましたが、今はナッシュビルに居を構え、音楽的にもカントリー寄りなっています。音楽活動以外にも”Jag”という子供向けの本を出しているようで、多彩なところを見せています。



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