Gloriana グロリアーナ - Gloriana

　一足お先にデビューシングル"Wild at Heart"とプロフィールをご紹介させて頂いた、意気の良い男女４人組グロリアーナのデビュー作です。若々しい４人の厚く爽快で、絶妙にアレンジされたハーモニーが随所にフィーチャーされ、既に個性がガッチリ確立されている事を感じさせるとともに、カントリー・フィールドのテリトリーをまたグンと拡大しかねない意欲的な音作りが聴きモノですよ。いわゆる、メインストリームのコンテンポラリー・ポップ・カントリーってことになるのですが、かつてないニュアンスを持つ肌触りに、好奇心をかき立てられます。

　　　　　　　　

　オープニングの２曲で発揮される疾走感とエナジーで、聴き手を早々にノックアウトしてしまいます。ナッシュビル・メインストリームを代表するライターJeffrey Steeleがソングライティングに加わった"How Far Do You Wanna Go?"と、デビュー・シングルの"Wild at Heart"です。前者はメインストリームならではのアカ抜けしたアップ・テンポのロッキン・チューンですが、Tom Gossinの若さあふれるラフなリード・ボーカルと、華やかなシンセ風サウンド(バンジョー？）でバックアップされた輝くようなコーラスが新鮮な響きを聴かせてくれます。そして後者は、スタジアム・ロックのリズムと、彼ら独特のハーモニーで歌われるカントリー的メロディーのコーラスがインパクト。 同じくロッキン系の"If You're Leavin'"もイントロのアカペラ・コーラスで彼らのペースに引きこみます。

　　　　　　　　

　挑戦的なナンバーとしてピックアップすべきは、ポップ・バラード"Lead Me On"。奥行きのあるストリングスをフィーチャーしたモダンなサウンドが、このアルバム中にあっても別世界の雰囲気です。Rachel Reinert、Cheyenne Kimball、そしてTom Gossinがリード・ボーカルをチェンジする様は、R&Bコーラス・グループ(ボーイズ・Ⅱ・メンなど)のよう。中でもRachelの柔らかで雰囲気あるセクシーな歌声がナイス。これがグロリアーナ本来の姿なのかは？ですが、ポップ・ナンバーとしてはクオリティは高いイイ曲と思います。一方、既にソロ・アルバムをリリースしているキャリアを持つCheyenne Kimballがリードを取る"You Said"は、ハードなギターがフィーチャーされたロック・ナンバー。ハイトーンでエッジのあるCheyenneの可憐な声が、エモーショナルにたたみかけます。ここら、ポップ・フィールドのマイリー・サイラスMiley Cyrus を意識した感があるような。

　　　　　　　　

　アコースティックな優しみあるカントリー・サウンドがお好きな向きには、"Come and Save Me"がしっかりラインアップ。フィドルとCheyenne Kimballのマンドリンがソフトでハートウォーミングな雰囲気を創ります。そしてアルバムの最後にも、オーガニックなアコースティック・ナンバーを２曲配して和ませてくれると共に、グロリアーナ・サウンドのベースにある確かなカントリー志向を垣間見せて、彼らへの信頼を高めてくれます。"Change Your Mind"は、Tomの切ないボーカルと控えめなコーラスの絡みが雰囲気のカントリー・バラード。そしてラストがRachel Reinertのボーカルによる、ソフトなブルーグラス・ナンバーと言いたくなる"Time to Let Me Go"。アルバムで唯一、Gossin兄弟とReinertがソングライティングに加わった作品です。マイナー調のリズム・ナンバーで、ジワッと来る本物感がとてもイイ。

　歌詞は、カントリー的な実生活を歌うというより、同世代の若手に向けたラブソング主体のようです。一通り聴いて、フックのあるメロディがたっぷり、サウンドのバリエーションも多様で飽きさせない、よく練り上げられたアルバムだと思います。

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