財布

蟷螂はこれまでに、車上荒らしに3回、財布も2回落とし、被害額も半端なものではない。最初の車上荒らしは六本木の交差点のそばで、ほとんど瞬間的な出来事だった。二度目は茅場町、三度目は両国と、場所はバラエティーに富む。六本木と茅場町は全く出てくる気配はなかったが、両国の時はブランドバッグが狙いだったらしく、中身がある家の庭先にぶちまけられていた。なかに入っていた免許証から自宅に連絡があった。財布は自宅近くで、かかりつけ医からの帰り道、胃からの出血をまざまざと見せつけられた時に落とした。我を忘れていたのだろうが、幸い財布は届けられた。当然ながらなかに入っていた札はきれいさっぱり抜かれていたが、内視鏡検査の費用を支払った直後だったため、2万円弱の被害ですんだ。2度目に財布を落としたのは、倅の マンションを下見しにいったときだ。家に帰るまで気づかず、110番にTELすると、なんと届けられていると言う。キャッシュカードや免許証がパンパンに入っていたので慌ててタクシーに飛び乗って月島の警察まですっ飛んで行くと、見覚えのある財布があった。カード類は無事だったが、8万の札はかききえていた。一度、タクシードライバーに転職した友人と昼飯時に町を歩いていて財布を拾ったことがある。超ブランド品の財布のなかには、外資系の銀行のカードや数万円のキャッシュが詰まっていた。もちろん警察に届け、お礼に確か5000円ほどずつもらったと記憶している。落とした財布から金が消え、拾った財布はそのまま届ける。善行を施しても雷のごとく災難が降りかかる。人生と言う数式にイコールと言う記号はないのかもしれない。